“不安な時代"の精神病理 の商品レビュー
勝間さんと香山さんの人間理解は違っているので対談をしても相互理解に至らない、という話が面白い。人間は効率だけで動けるわけではないことは明白だと思うのだが。3.11後、いままでの日本人の考えがこれからは変わってくるという。それの可能性もあるだろうけど、政治を見ると情けなくなるな。
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ハイペースで本を出している筆者らしく、粗製乱造の感は否めず、あまりまとまりが良い本とはいえない。若年層の賃金が低下して雇用が不安化しているなかで、「結婚したくてもできない」という声が聞かれたり、「家族」の絆を見直そうとする傾向が見られることに対する視点もなんだかヘンだ。驚いたこと...
ハイペースで本を出している筆者らしく、粗製乱造の感は否めず、あまりまとまりが良い本とはいえない。若年層の賃金が低下して雇用が不安化しているなかで、「結婚したくてもできない」という声が聞かれたり、「家族」の絆を見直そうとする傾向が見られることに対する視点もなんだかヘンだ。驚いたことに、保守系の政治家の発言やイギリスのサッチャリズムを例にあげ、こういった傾向は「家族の面倒は家族でみろ」といわんばかりの社会保障費削減につながるものとしているのだ。言いたいことは分からなくもないが主張があまりにも一面的なような気がする。ここに、筆者が結婚していないことの限界を見てしまうのはうがち過ぎだろうか? 私にはむしろ、最後の第6章が興味深く読むことができた。アメリカでは製薬会社と保険会社の巧妙な陰謀によって「病」が捏造され、極端な効率主義や二項対立などのシンプルで分かりやすい理屈が歓迎される社会性と相まって、さらにその病理を加速させているという。こういった陰謀論の妥当性は容易に判断しにくいとろこがあるが、ありそうな話ではあるので興味深く読むことができた。 このアメリカ社会が抱える病理を説明するうえで、筆者は「スプリッティング」という概念をあげ、「この病的なメカニズムを用いている人は、対象には『良い面』と『悪い面』の両方が混在、併存していることを認識できず、目の前にある対象や心の中にある対象を『良い対象』と『悪い対象』のどちらかに分割(スプリット)して『完全によい、大好き』『まったくダメ、大嫌い』といった極端な価値判断をしてしまう」と説明。「アメリカ社会あるいはアメリカ精神医学会は、ある種の複雑さや困難を回避するというメリットを、知らないうちに得ていたということだろう」と述べている。 この流れのなかで、手間のかかる精神分析は時代遅れのレッテルのもと排除され、DSMの操作性診断によるシステマティックな診断によって安易な薬物治療が横行。本書では、「しかし操作性診断では、多軸評定という手法を採用しているため、うつ病の根底にどんな性格が原因にあるのか、もちろんどのように関係しているのかは問われない。DSMでは、臨床疾患と人格の特徴は、別の次元(軸)ととらえられることになる」と説明している。そうなると、心の病の一部は自己責任で解決する必要があるのに、「私はうつ病だから直してちょうだい」というリクエストになってあらわれ、その原因にあるパーソナリティや性格などからは目をそらすことになり、患者の責任放棄を助長してしまうというのだ。 かくして、精神医療の現場から深い人間洞察が次第に姿を消していく。行きつくところは病が病を生み出す悪循環。これは、まさに新自由主義そのもので、アメリカ型の金融・経済のあり方が反映された結果とも言えそうだ。経済や精神医療ほど、そのときどきの社会の状況を如実に映し出すものはないと思う。
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最近香山さんの本を何冊か読んでいて、これもその一環で?手に取った本。 でもこれは、率直にあんまり面白くなかったです。何が言いたいのかあまり伝わって来なかったですし、一般論の寄せ集めって感じでした。 ただ、第二章の、「若者の心理の変化」は同意。ここに書かれている若者はまさに自分た...
最近香山さんの本を何冊か読んでいて、これもその一環で?手に取った本。 でもこれは、率直にあんまり面白くなかったです。何が言いたいのかあまり伝わって来なかったですし、一般論の寄せ集めって感じでした。 ただ、第二章の、「若者の心理の変化」は同意。ここに書かれている若者はまさに自分たちのことで、香山さんよく見てるじゃん!って感じでした。笑 私たちは"嫌消費世代"で、大学生で海外旅行をバンバンする人も少ないし、春休みとかもバイトしまくっている・・・ハイ。その通りでした。 ポストバブル世代から、嫌消費の傾向は続いていて、「自信のなさや劣等感」はむしろ強まっている。ハイ。 この章の話題は当事者として概ね同意です。 あとは日本の精神医学の話で、製薬会社の陰謀説は半信半疑ながらもわくわくしました。笑 あれ・・・そんなに面白くない本じゃなかったかも。
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うつ病が作為的に作られた? p 139には以下の記述がある.「軽症のうつ病は自然に治るものも多い.しかし日本ではうつを早く発見し,薬を飲べば治るという流れが続いており,本来必要がない人までが,薬物治療を受けている面があるのではないか.」製薬会社の薬剤拡販の動きととアメリカの新しい...
うつ病が作為的に作られた? p 139には以下の記述がある.「軽症のうつ病は自然に治るものも多い.しかし日本ではうつを早く発見し,薬を飲べば治るという流れが続いており,本来必要がない人までが,薬物治療を受けている面があるのではないか.」製薬会社の薬剤拡販の動きととアメリカの新しいうつ診断方法から来るとの見解が出ている.恐ろしいことだ.
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ホモエコノミクス=経済人 という考え方 プロザック(フルオキセチン)2001特許切れ パキシル(パロキセチン)2003特許切れ
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ここ二十年くらいに精神科の診断と治療においてまだるっこい精神分析から主力の座を奪ったDSM(精神障害の診断と統計の手引き)によるマニュアル的な診断とそれに対応した投薬治療が、新自由主義経済による「勝ち負け」「儲かる・儲からない」の二分法に近似性が高く、それによってうつ病が「作り出...
ここ二十年くらいに精神科の診断と治療においてまだるっこい精神分析から主力の座を奪ったDSM(精神障害の診断と統計の手引き)によるマニュアル的な診断とそれに対応した投薬治療が、新自由主義経済による「勝ち負け」「儲かる・儲からない」の二分法に近似性が高く、それによってうつ病が「作り出されている」という分析に説得力あり。二分法的価値観からこぼれた部分はみんなうつ病に分類されてしまうような構造があるというわけ。 製薬会社のロビイ活動によって治療の主力が変わっていくのはマイケル・ムーアの「シッコ」の世界そのまんまで、それがアメリカだけの問題ではない(DSMによる診断は日本でも主力になっている)のもわかる。
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彼女の過去の著作は彼女自身のぼやき?的意見も多かったと感じていたが、本書は精神科医としての豊富な知識、大量の参考文献などを駆使し''精神医学の「経済と心」''を理論的に説いている。とても興味深かった!今回の震災直後の出版。震災にも少し触れて...
彼女の過去の著作は彼女自身のぼやき?的意見も多かったと感じていたが、本書は精神科医としての豊富な知識、大量の参考文献などを駆使し''精神医学の「経済と心」''を理論的に説いている。とても興味深かった!今回の震災直後の出版。震災にも少し触れている。
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日本は「国家的うつ病」にかかっている。誰も信頼できず、「自己の矮小化」「自己の砂粒化」し、人と人とのつながりが希薄になっている。つながりがあったとしても、ものすごく狭い世界に、もしくは自己の中に完結していて、モンスター○○なるものが登場しているのではないかという話や、精神医学と経...
日本は「国家的うつ病」にかかっている。誰も信頼できず、「自己の矮小化」「自己の砂粒化」し、人と人とのつながりが希薄になっている。つながりがあったとしても、ものすごく狭い世界に、もしくは自己の中に完結していて、モンスター○○なるものが登場しているのではないかという話や、精神医学と経済の関係の話がなるほどなぁと思った。震災をとおして日本の進むべき道をもう一度考える岐路にたっている。今、何が必要か、何が大切なことなのかを考えていこう。再生の道を歩んでいこう。そんな希望を最後に述べる筆者に共鳴したい。それにしても、震災から約ひと月後に出されたこの本に、もう震災が日本社会に与えることを言及している香山さんの執筆力にはただただ驚くばかり。
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東北関東大震災と原発事故。重なる大惨事は、私たち日本人の心と社会にも深い傷を残した。だからこそ、この国をあきらめない、希望を失わずに生きるよう、と著者は強く感じる。希望は一人では実現できない。支え合う心、守るべき命の尊さを共有しながら、日本がどのように立ち直ればいいのか、私たちが...
東北関東大震災と原発事故。重なる大惨事は、私たち日本人の心と社会にも深い傷を残した。だからこそ、この国をあきらめない、希望を失わずに生きるよう、と著者は強く感じる。希望は一人では実現できない。支え合う心、守るべき命の尊さを共有しながら、日本がどのように立ち直ればいいのか、私たちができることは何なのか、精神科医が緊急提言する。 【目次】 まえがき どのようにして立ち直るのか 第一章 長いデフレがもたらす大きな不安 第二章 若者の心理の変化 第三章 苦境に立つ親世代 第四章 高齢者が安心して生きるには 第五章 絆を求めて暮らす私たち 第六章 日米の精神医学 あとがき 希望を失わないために
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