地球移動作戦(下) の商品レビュー
とにかく詰め込まれたアイディアが知的好奇心くすぐられるネタばかりで、ピアノドライブ、タキオンを利用した過去への通信、AR、人工意識、仮想現実、抗老化技術、クレイトロニクス(ナノマシン)、ミラー物質などなど聞いただけでワクワクする。またSF的未来予測も非常にありそうだなと納得できる...
とにかく詰め込まれたアイディアが知的好奇心くすぐられるネタばかりで、ピアノドライブ、タキオンを利用した過去への通信、AR、人工意識、仮想現実、抗老化技術、クレイトロニクス(ナノマシン)、ミラー物質などなど聞いただけでワクワクする。またSF的未来予測も非常にありそうだなと納得できるものが多く、個人動画P、カルト宗教、小惑星の資源利用、地殻変動などがリアリティをもって膨大な知識と共に詰め込まれている。人間ドラマとしてもAIと人間、家族など多種多様なものが描かれて、深み厚み共に申し分がなかった!
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地球を移動させてシーヴェルの影響を減らそうとする作戦。経済と人命とどちらをとるのか(どこかのコロナと同じだ)等々の後色々あって、動き始めた作戦。途中もきっと色々あっただろう。いよいよシーヴェルがそこまで来て本格的な移動が始まっても敵対勢力の妨害は続く。 思わず「やめてよ!」と憤っ...
地球を移動させてシーヴェルの影響を減らそうとする作戦。経済と人命とどちらをとるのか(どこかのコロナと同じだ)等々の後色々あって、動き始めた作戦。途中もきっと色々あっただろう。いよいよシーヴェルがそこまで来て本格的な移動が始まっても敵対勢力の妨害は続く。 思わず「やめてよ!」と憤ってしまう。 命と意思が続きますように
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山本弘の小説で鼻白むのは人物造形。何だかアニメみたいで、読んでいる方が気恥ずかしくなってしまう。と思いながら、「アニメみたい」ということの内実をきちんと論ずるのが難しいことに気づく。なぜアニメみたいと思うのかうまく言語化できないのだ。登場人物たちの会話がアニメに出てきそうな感じ...
山本弘の小説で鼻白むのは人物造形。何だかアニメみたいで、読んでいる方が気恥ずかしくなってしまう。と思いながら、「アニメみたい」ということの内実をきちんと論ずるのが難しいことに気づく。なぜアニメみたいと思うのかうまく言語化できないのだ。登場人物たちの会話がアニメに出てきそうな感じだからというのもあるだろうが、人物造形そのものにアニメ臭さがあるようにも思う。だからといって人物に葛藤がない、というわけでもない。だが、何だか人物が複雑じゃない。 そこまで考えて、こんなことを思いついた。アニメの登場人物はまずは絵として演出されたものが作られ、その後に、声優が声で演ずる。アフレコである。極言すれば作画監督と声優とが表現を持ち寄って1つの演技を作り上げるのである。まさに絵と声とが複雑に葛藤する状況。のはずだが、その葛藤が露呈してはいけないのだ。作画監督は声優が演じやすいように絵を描き、声優はその絵と葛藤を生じないように演ずる。2つのものを組み合わせるがために、アニメの質が上がれば上がるほど、必要以上に統一的な表現、もっといえば平板な表現が生まれるという状況があるのではないだろうか。例えば、名優は言語的な表出と非言語的な表出を微妙にずらしながら演技するといった複雑なことをしているはずである。アニメでもそれは原理的には可能だろうが、表情の声との分業体制によって、言語と非言語の不一致ならば、にこやかな表情で脅迫するといった紋切り型の表現に陥ってしまうのではないか。 山本弘は論理的であることに美徳を見出している作家である。そして『地球移動作戦』は、負の側面が強調されてすっかりダサくなってしまった「科学」の力と、人間の意志の力で未曾有の天災に立ち向かう物語である。いくつかの科学的フィクションを導入した上で、それ以外については科学的に考証してストーリーを組み立てており、その点では大した力業だと思う。もちろん情感に訴えるエピソードにも事欠かない。『日本沈没』に比肩してもいいだろう。 しかしながら、もはやわれわれは広島後、3.11後を生きているのだとは言わずも、善人と悪人しか出てこない物語が厚みを欠くように、科学と非科学しか出てこない物語には謎めいた空虚がないのだ。人間というものは謎めいた空虚を持った存在で、論理的にでもなく、非論理的にでもなく、無論理的に思考し行動する瞬間があるのだ。その無論理に人間的な何かが宿り、謎めいた空虚が物語に魔術的な駆動を与えるはずなのに。
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確かに妖星ゴラスではあるんだけど、そういうことを知らない方が良いのかも知れない。これは、科学と人類社会に関して極めて現代的なテーマを取り扱っているお話であって、そこには、と学会で作者が得たさまざまな事例が反映されている。それは、一言で言えば、人類の大半は、昔ながらの無邪気なSF好...
確かに妖星ゴラスではあるんだけど、そういうことを知らない方が良いのかも知れない。これは、科学と人類社会に関して極めて現代的なテーマを取り扱っているお話であって、そこには、と学会で作者が得たさまざまな事例が反映されている。それは、一言で言えば、人類の大半は、昔ながらの無邪気なSF好きが待望する未来を実現するのには向いていないというか、抵抗勢力にしかならない人たちで占められている、ということ(一言じゃねぇ)。 ハードSFと呼ばれる分野であっても、どうしても、フィクションとしての科学理論及びその応用としての技術を投入せざるをえない物語が多いのだけれど、今回使われているのは、そういう分野でも特に目新しいものじゃなく、つまりは、そうしたアイディアによってSFらしさを出そうとしているわけではない。推進機関はともかく、ミラーマターって斬新ではとか思う人は、重力の影とか読んでみて……というか、その場合、ミラーマターだけの天体というのも都合が良すぎと思うだろうけれど。 そういう仕掛けは別にして、中盤、プロジェクトを実現に向けるための支持集めの戦い、そして、人々は論理で動くわけじゃないことの対比として、じゃあ人工知能が論理で動いた結果の皮肉というか、実際、効は奏しているのだけれど、望まない結果を内包しているなんてすごいでしょ。さらに、それが大勢になったら、今度はカルト化、先鋭化して、テロの形でさまざまな邪魔が降りかかる。この中でも、DHMOネタみたいなものがあったり、作者として込めたい思いの複雑さを見た気がしますね。 さて、潮汐力の大きな変動に見舞われた結果の典型が津波で、この小説が出版されてから文庫化される途中で東日本大震災があったことは、たぶん、この小説の受け止め方にいろいろな個人的影響を与えているんですよね。かくいう私は、仙台駅前で地震に遭い、地震がなかったら乗ってたはずの常磐線に乗らなかったために津波を免れた経験をしましたが、テレビで見てた仙台空港の映像で、たいした水位じゃないのにどうすることも出来ないという様子は、驚きをもって受け止めたところです。こうした点、描写は難しいですね。恐らく、事実に近い方がリアリティを欠くというような領域が、この世界には結構たくさんあるんです。
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未知の天体が地球に直撃(正確には甚大な影響を及ぼすまでに接近)することがわかり、もしそのまま放置したら24年後の大接近で地球は確実に滅んでしまう。それに対して人類が行う策が地球を移動するという壮大なプロジェクトである。 何故その天体の直撃を他の方法、例えばアルマゲドン風に、で回避...
未知の天体が地球に直撃(正確には甚大な影響を及ぼすまでに接近)することがわかり、もしそのまま放置したら24年後の大接近で地球は確実に滅んでしまう。それに対して人類が行う策が地球を移動するという壮大なプロジェクトである。 何故その天体の直撃を他の方法、例えばアルマゲドン風に、で回避することが出来ないのかといった設定から、地球を移動するのに伴う弊害、そもそもそれ以前に計画を実行する前に存在する様々な障害などが巧みに描かれている。 そして、忘れてはならないのが山本弘得意のいつものAI(作中ではACOMと呼ばれる)と人間の関係性。何冊読んでも改めて心を動かされる。毎度のことながら人物・感情の描写がとても素晴らしい。 ネタバレになるので詳細は省きますが、山本弘の作品にはあまりない珍しい要素があって驚きました。 これ以上ネタバレせずに上手くは書けませんw
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クライマックスの地球移動作戦の描写は手に汗握った。 仮に文明が消滅するレベルの災厄が現実に起こった時、本書のように人類は団結できるのかと考えてしまう。きっと、本書で描かれたようなテロリズムが発生するのだろう。そういう、愚かな行動に走る人間の描写が現実感があると感じる。
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華麗なる映像美の『2001年宇宙の旅』に対し、埃まみれの未来像を描いた『ブレードランナー』。一方、本作はオタク文化が基盤となったアニメチックな未来という日本人にしか書けないSF。肝心の地球移動の描写はやや冗漫であったが絶体絶命の危機の中、突発的に歌い広がる『シュテルンシフリ―ト』...
華麗なる映像美の『2001年宇宙の旅』に対し、埃まみれの未来像を描いた『ブレードランナー』。一方、本作はオタク文化が基盤となったアニメチックな未来という日本人にしか書けないSF。肝心の地球移動の描写はやや冗漫であったが絶体絶命の危機の中、突発的に歌い広がる『シュテルンシフリ―ト』にちょっぴり感涙。「人間の中には、少ないパーセンテージではあるが『遠くに行きたい』という欲求に突き動かされている者がいる。彼らが大陸を渡り、海を渡り、人類を地球全土に押し広げた。次には宇宙に…」には大共感。フロンティアスピリット! http://www.youtube.com/watch?v=4weIYVh-JFU
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やっぱり主人公が好きになれない。 が、やっぱり世界観は楽しい。 で、歌が流れる場面は胸熱。 終わり方も好き。
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後半戦。実際の地球移動作戦のオペレーション。迫り来る見えない星、交差する国々の思惑、テロリズムに訴えるカルト教団。いろいろな障害を乗り越えながらも、一人の天才少女(だった大人の女性)がオペレーションを遂行する。傍らにはマスターを亡くした失意から立ち直り、少女(だった大人の女性)の...
後半戦。実際の地球移動作戦のオペレーション。迫り来る見えない星、交差する国々の思惑、テロリズムに訴えるカルト教団。いろいろな障害を乗り越えながらも、一人の天才少女(だった大人の女性)がオペレーションを遂行する。傍らにはマスターを亡くした失意から立ち直り、少女(だった大人の女性)の無二の親友になったACOM(ボディ付き)。愛する女性を守るために、危険な戦闘任務に赴く女性(同性愛)。 ワクワク、ハラハラの展開が面白かった。オペレーションの遂行の為に命をかけてあらゆる妨害を排除するべく宙を飛ぶ戦士たちの活躍に涙。
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おもしろかった! ハードSFの装いを持ちながらも、現代のオタク文化の進化の先にあるものを、世界観の中心にどっかりと据えていたりするので、SF慣れしていない人でも十分に読めると思う。特にARの使い方には驚きつつ感心してしまいました。なるほどARがこう使われると、SFアニメで描かれて...
おもしろかった! ハードSFの装いを持ちながらも、現代のオタク文化の進化の先にあるものを、世界観の中心にどっかりと据えていたりするので、SF慣れしていない人でも十分に読めると思う。特にARの使い方には驚きつつ感心してしまいました。なるほどARがこう使われると、SFアニメで描かれているあんなことやこんなことがリアルに実現できる。そんな感じに。 SF的ギミックは少し堅苦しいところもありますが、しっかりとエンターテインメントに仕上がってる作品なので、結構おすすめです。
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