若者を見殺しにする国 の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
この本の最大の欠点は、筆者の社会への問題意識や憤りが正確なものであったにも関わらず、「平和」を「敵」に置いてしまったことだと感じる。2020年代半ばになってみれば、この本で書かれている若者バッシング及び「貧困労働層」の放置の“結果として”取り返しの付かない少子高齢化、失われたX0年が到来し、「安定労働層」がどんどん減少していっていることは明らかで、つまり筆者は「平和」を敵として、彼らも自分たちも「戦争」に巻き込もうと叫ぶのではなく、「平和」が“そのまま”「戦争」に繋がっていることを示すこともできたのではないか。そのような視点はこの本では、「安定労働層」への反感の影に隠れてしまっているように思える。
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正直な感想は「(ちょっとくどいけど)これだけの文章が書ける人を雇ってくれる職場」がないとは思えなかった。もちろん労働者を階層化してかつては考えられなかった「使い捨て労働者」を堂々と社会システムに組み込んでいる現体制はあまりにひどいとは思う。身勝手な「自己責任論」にも賛成はできない...
正直な感想は「(ちょっとくどいけど)これだけの文章が書ける人を雇ってくれる職場」がないとは思えなかった。もちろん労働者を階層化してかつては考えられなかった「使い捨て労働者」を堂々と社会システムに組み込んでいる現体制はあまりにひどいとは思う。身勝手な「自己責任論」にも賛成はできないし、戦争になることで一時的に固定化されていた格差が「ガラガラポン」されることは事実だろう。だが、恐らく多大な犠牲を払って格差がなくなっても恐らく10年もすれば元の格差社会に戻っていてしかも戦争前の構造がほとんど維持されたままで再生すると思う。(高齢化などで這い上がれない人はいるだろうから、その点では若い人の方が有利だろうけど・・・) なんらかなドラスティックな変化が必要なことは筆者が訴えるとおりであるし、それに対して労働貴族に支配されたかつての労働組合がなんの助けにもなっていないのも事実だろう。ただ、筆者は「身近な格差」(正規の職を持ち家庭も持っている普通の人、と非正規労働者の間など)を特に問題視しているが、そこでいがみ合っていたのではピラミッドの上層に安住している支配者層の思うつぼである。 戦争によって丸山眞男をひっぱたくことはできるかもしれないが、ひっぱたいた本人も最前線で最も危険な状況に追いやられているわけだし、そもそもひっぱたく相手が違うだろう・・・
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http://yasuyukima.typepad.jp/blog/2012/02/the_country_which_kills_young_people.html
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非常に面白かった。元々「『丸山眞男』をひっぱたきたい~」を最近(ここ1年くらい?)知って、著者を知って、読もうと思った本。 私は著者よりももう少し下の世代だし、住環境も若干違うけど、共感する部分は多々あった。 憎み散らすことはないと思うけど、でも、ポストバブル世代から搾取して高齢...
非常に面白かった。元々「『丸山眞男』をひっぱたきたい~」を最近(ここ1年くらい?)知って、著者を知って、読もうと思った本。 私は著者よりももう少し下の世代だし、住環境も若干違うけど、共感する部分は多々あった。 憎み散らすことはないと思うけど、でも、ポストバブル世代から搾取して高齢者を養う、都会の金で地方を養う、っていう図式は二項対立を煽ってるように見えるけど、事実は事実。 「俗流若者論」に対する反論?もきちんとデータに基づいた発言をしていて、参考になった。 これの前に読んだシノドスの本は赤木節が全然なかったので、今回のはよかった。 厚みの割に、サクサク読める本です。言いたいことが著書内で何度か重複する部分もあるけど、「それだけちゃんと言いたいこと」ってことが分かっていいと思う。
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012059. 弱者は社会が崩壊する夢をみる~赤木智弘『若者を見殺しにする国』 インターネット出身、社会批評に携わる著者は 富裕層、貧困層の二極化が進む一方の「平和」な社会に異議を唱え 戦争によってもう一度世の中がリセットされることを待望する。 いまの世の中では自分た...
012059. 弱者は社会が崩壊する夢をみる~赤木智弘『若者を見殺しにする国』 インターネット出身、社会批評に携わる著者は 富裕層、貧困層の二極化が進む一方の「平和」な社会に異議を唱え 戦争によってもう一度世の中がリセットされることを待望する。 いまの世の中では自分たち弱者は生活の向上など望めず、人間としての尊厳も奪われ、 このまま生きながらえても末はホームレスか首を吊るしかない。ならばいっそ戦争でも起きたほうが…。 こんな論旨の「31歳フリーター、希望は戦争」という文章は大きな反響を呼び、職者からさまざまな意見が寄せられたということです。 たしかに暴論といえば暴論にも思えますが、貧困層の苦しみはそこまで深刻化しているのだと著者はいいます。 ジャーナリズムが煽りたてる「俗流若者論」を著者はまず攻撃する。本当に少年犯罪は増えているのか、昔はいまよりも凶悪犯罪が少なかったのかをデータをつかい検証を試みる。 さらに監視カメラによる不審者締め出しにも言及し、 「安定した地位にある層が中高年フリーターやニートなど「うさんくさい」連中の行動を警戒している」と指摘。 著者の持論にはやや私怨がまじっている印象もありますが、同じ弱者の目線から見た実感がこもっています。 朝日文庫刊の本書の冒頭、著者はみずからのプロフィールをこう紹介します。 文化とは疎遠な北関東の小さな町に育ち、社会へ出る頃にはバブルがはじけて就職氷河期、 東京でカルチャーに関わる仕事に就きたくても、地元を出て自立する生活力もなく アルバイトで生計をたてながら細々とライター活動を続けている… なんだか僕と境遇がよく似ています(事実、著者は文中で「このような人間はクサるほどいる」と書いています)。 ただ、この著者と僕のあいだに一点ちがいがあるとすれば、著者が現状を悲観的にとらえているのに対し、 僕はわりと現状を楽しんでしまっているという点でしょう。 もちろん年収への不満とか将来への不安はふつうにありますが、それは正社員になれば霧消するというものでもないでしょう。 リストラや倒産の不安は常についまとい、責任はフリーターより重くなる。しかも簡単なことでは辞められないという重圧感。 等々をテンビンにかけて現状もまあ悪くはないと思っているのですが、いつか大きなシッペがえしがくるかもしれませんね…。 最近僕はとある劇団の公演のために芝居の台本を書きましたが、その中で自分をモデルにしたような中年フリーターに 「いいか見てろ。大きな地震が来て世の中の仕組みが全部がらがらと崩れたときには、そのときは俺だっておおいに実力を発揮する。ああ、早くそんな日が来ないかなあ…」 というセリフを言わせました。 もちろんあの震災のあとなので観客にどう受け入れられたか定かではありませんが、 この「地震」と「戦争」を入れ替えれば、僕と本書の著者の考えは非常に近くなるような気もしました。 世の中がいまのままでは一生這い上がれそうにない人間たちは、 硬直した現状に変化を与えるためとあれば、それが戦争だろうが地震だろうがカタストロフを待ち望むのかもしれない。 震災後、著者はいったい何を考えたのか。過激とも思える持論はどう変化したのか。それは文庫版のあとがきで。 http://rcnbt698.blogspot.jp/2012/08/blog-post.html
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迫力で押されっぱなしだ。自分の生活確保からの視点では、さもあらんと言う所か。 日本の経済に明るい光を見つけることは困難で、生活に根付いた発言はリアルさを加え、読み初めはどんよりしてしまい、辛かった。自らの論文を解説し、そこに応答した政治家や学者に反論する手法が良いのか、筆者の自虐...
迫力で押されっぱなしだ。自分の生活確保からの視点では、さもあらんと言う所か。 日本の経済に明るい光を見つけることは困難で、生活に根付いた発言はリアルさを加え、読み初めはどんよりしてしまい、辛かった。自らの論文を解説し、そこに応答した政治家や学者に反論する手法が良いのか、筆者の自虐的なキャラクターの成せる技なのか、進めば進むほど暗くならずに済む。心いれて読める感じだ。 奇しくも作者と生まれはあまり変わらない。私も含めて、団塊Jr世代が割りを食っていることは薄々わかっていた。私はそれを逆手にとるだけの気概を持っているつもりだったが、甘ちゃんだったかもしれない。揺るがない経済階層を感じるにはいたっていなかったのだから。 問題提起が筆者の目的なので、十分に達成されていると感じる。 大きくは高度成長期を支えた資本主義そのものが行き詰まっているし、小さくいえば企業の年次ピラミッド、階級ピラミットのいびつさは今後の日本をどうしようもない所に追い込んで行くだろう。働き盛りの世代を見殺しにするしっぺ返しは大きい。筆者はそういった角度からは訴えてはいなかったけれど。 結局、今後を考えれば、社会は若者を育てなければならないのだから、世代交代は必須だ。子供や孫の顔をみれば思わないものだろうか? 筆者は最低限の金がなければ、子供を可愛いとは言っていられはないというだろう。そう思う。だからこそ、余裕のある所から、取るしかないし、それが富の再配分だろうと思う。 失礼な言い方だが、やはり、システムまでいかなくても、ちょっとした策でも、筆者から自論が展開されれば面白いだろうなと思った。今後に期待してしまうな。
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エゴの塊。あまりにひどくて読んでいてどんどん落胆していった。せっかくの時間を返してほしい。 そう、世間の視野の狭い大人達に言いたくなる本。ですね。 大人って「最近の日本人はダメになった。」って必死に悲観する。けど、アンケートをとったらこうなるんじゃないかな。 「Q:日本人はダ...
エゴの塊。あまりにひどくて読んでいてどんどん落胆していった。せっかくの時間を返してほしい。 そう、世間の視野の狭い大人達に言いたくなる本。ですね。 大人って「最近の日本人はダメになった。」って必死に悲観する。けど、アンケートをとったらこうなるんじゃないかな。 「Q:日本人はダメになっていってると思います? /A:たぶんそうじゃないかな。」「Q2:あなたもそうですか?/A:自分はそうでないけど周りには結構いる。」 その結果、「多分日本人はダメになっていってる。けど自分はそうでない。」という人がほとんどになる。 本当にエゴ。 結局自分本位にしか物事を考えられないんだな。こりゃあ確かに日本人はダメになってるわ。 ただ大人の言い分はこう付け加えられる。「特に若者がダメになってる。嘆かわしい。」 本当に本当にエゴ。 まいったね。 ・・・ 的な本でした。 若者の僕には痛快爽快な読みものでした。 自分が大人になったら読みなおして、我が振り見直すきっかけになればいいなと思います。
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衝撃うけました。自分はまだまだ甘ったれだなぁと。 しかし、3.11後の政治を新聞で見ていても、これだけのことがあっても政治家は思いやりのないひとなんだなぁと絶望するしかないですね。ここでポカンとしている私も最低なのかもしれない…。と自己嫌悪に陥ってしまう自分がいます。募金以外何も...
衝撃うけました。自分はまだまだ甘ったれだなぁと。 しかし、3.11後の政治を新聞で見ていても、これだけのことがあっても政治家は思いやりのないひとなんだなぁと絶望するしかないですね。ここでポカンとしている私も最低なのかもしれない…。と自己嫌悪に陥ってしまう自分がいます。募金以外何もできない自分が。
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「希望は戦争」以後、何となく気になって、名前を見かける度に、彼の文章は何となく追い、何となく嫌な気分になっていた。なんか嫌。でも嫌いになりきれない、気になるアイツ。 本書を読んで、著者のバックグラウンドや立ち位置、発言の動機を知り、私が感じる「なんか嫌な感じ」の正体も明らかになり...
「希望は戦争」以後、何となく気になって、名前を見かける度に、彼の文章は何となく追い、何となく嫌な気分になっていた。なんか嫌。でも嫌いになりきれない、気になるアイツ。 本書を読んで、著者のバックグラウンドや立ち位置、発言の動機を知り、私が感じる「なんか嫌な感じ」の正体も明らかになりました。彼が攻撃しているのは私自身だから。強欲で自分を守る為なら、何の罪もない貧困層を見殺しにすることも厭わない、にもかかわらず、そのような態度を一般的で当たり前の「フツーの人」のものだと信じて疑わない。明日も同じように続く平和を望む善良な市民を気取っておきながら、その実、自分に都合の悪い他人の痛みは無視する、ずるい正規雇用の労働者。あー、耳が痛い。 複雑なのは、自分自身もいつ、非正規貧困層になるかわからんというところです。これだけ不安定な世の中、必死で今の階層を維持せんとし、弱者が這い上がれない仕組みを支持するのではなく、いつなんどき自分が貧困層となってもそこそこ幸せになれるための仕組みを支持するべきなのでは?でも、それって、これまであたかも正しいように言われてきた「自由競争」なんかじゃないような。もちろん戦争でもないような。もっと他の価値観や知恵がなきゃ、どの階層も、もはや救われなんのではないかなあ。
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タイトルに偽りあり。著者がひっぱたきたいと願っているのは丸山眞男ではない。戦争も望んでいない。 「上の世代は何も努力せず安定した社会的経済的地位を手に入れた」「なぜ私の世代がその甘い汁を吸えないのか」 本書の主張はこれにつきる。 もう少し丁寧に補うと「なぜ私の世代は努力しないと、...
タイトルに偽りあり。著者がひっぱたきたいと願っているのは丸山眞男ではない。戦争も望んでいない。 「上の世代は何も努力せず安定した社会的経済的地位を手に入れた」「なぜ私の世代がその甘い汁を吸えないのか」 本書の主張はこれにつきる。 もう少し丁寧に補うと「なぜ私の世代は努力しないと、あるいは努力しても、その甘い汁を吸えないのだ、不公平ではないか」というもの。 こういう若者がいるのだ、と声をあげたこと自体には意義があるが、主張の内容には意義を見出せなかった。嫉妬ねたみひがみが並んでいるだけなのだから。 著者は「エリート層は関係ない」「自分よりちょっと上の安定正社員層を憎む」という。見事に分断統治の手法にはめられている。 三分の理はあるが、抗議する相手を間違っている。 それに加えて気になったのが、抗議の相手が階層だったり地位だったり集団だったりすること。特定の個人や存在ではなくてカテゴリーやジャンルに抗議しているので、顔を持った個人から返事がないのは当たり前。 『論座』に論文が載ったのに反論と噛み合ないのも当然。 残念な著作でした。
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