ネット大国中国 の商品レビュー
中国ではジャスミン革命は起こらないだろう。 想像以上に特殊な国なんだ、中国は。 それにしても筆者の遠藤さんの経歴が強烈。
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著者自身の手による後書きによれば、著者の遠藤さんは戦後、中国内戦時に長春市にて中国共産党により兵糧攻めにあい家族を失った過去があるそうです。 また、その時の余りにもすさまじい光景により一時期記憶喪失になり、その後、中国人の中で罵られて暮らしながらも中国共産党の理念に深く共鳴を覚...
著者自身の手による後書きによれば、著者の遠藤さんは戦後、中国内戦時に長春市にて中国共産党により兵糧攻めにあい家族を失った過去があるそうです。 また、その時の余りにもすさまじい光景により一時期記憶喪失になり、その後、中国人の中で罵られて暮らしながらも中国共産党の理念に深く共鳴を覚えたとも書いたありました。 しかし、だからと言って、遠藤さんが中国共産党、あるいは日本よりに事実関係をゆがめて認識していると言う訳ではないらしく、本書の内容も(少なくとも私には)おかしいのじゃないかと思う箇所は見あたりませんでした。 さて、前置きはこれ位にして本書のご紹介に移りたいと思います。 本書は題名からも分かる様に中国のインターネット事情を取り上げた内容となっております。 中国では共産党政権による激しい検閲が行われており、その検閲の眼をかいくぐって社会への不満や批判などを書き込むネットユーザー達と政府との間でインターネット上の世論誘導の主導権争いが行われていると言うのが本書の主旨です。 ネットユーザー達の怒りの告発により腐敗した役人達の罪が暴かれ、それが激しい抗議活動を引き起こして役人達が破滅した等の事例紹介が多くなされており、読んでいて、中国のインターネット事情に関する総論ではなく事例紹介がメインの本なのかなと感じる箇所もありました。 事例紹介以外に中国のインターネット検閲システムについても書かれており、例えば、自国民に外国のサイトを自由に見せない万里のファイヤーウォール・GFWとは何かと言った簡単な説明やポータルサイトに対する(日本の交通違反罰則制度みたいな)点数制度の導入等が紹介されていました。 また、中国政府のインターネット対策の方針として以下があるらしいです。 ・中国政府としては、ネットユーザー達の批判が自分たち中央政府に向かう事は断固阻止するが、地方政府に向かう分には丁度良いガス抜きになると考えているらしく、時に地方政府の腐敗を告発するネットユーザー達と歩調を合わせる様な行動を取る場合がある。 ・五毛党と蔑まれている、中国政府に都合の良い書き込み一つに対して5毛(1元の半分の金額)の報酬を得るネットユーザーを使ったインターネット世論の誘導。 ・ネットユーザーの中心である80后(1980年代生まれ)、90后(1990年代生まれ)達を頭から押さえつけるのではなく、中国政府を擁護するインターネット上のオピニオンリーダーを育成し、彼らを使って80后、90后の誘導を謀る。 この様な各種対策を取って国民を誘導支配しようとしている中国政府ですが、対するネットユーザー達は社会風刺、ブラックユーモア、パロディなどを用いて対抗しているとの事。 本書ではそれらの実例も紹介されていました。 これ以外に、若いネットユーザー達の深刻な就職難やインターネットを通じて様々な視点から物事を見る様に習慣などが政府に対する批判の背景にあると指摘。 しかし、中国人は共産党政権が国家を発展させた事も覚えており、(共産党の代わりがないという自覚も重なり)政権転覆までは考えていない点も記載されていました。 更にグーグル中国撤退の経過に関する解説やポルノ取り締まりを契機にした検閲システムの強化などについても書かれており、中国って検閲がすごいんだよなあと言う事しか知らない方(つまり、私を含めたほとんどの日本人にとってと言う事になるのでしょうが。。。)にとって色々と参考になる事が多い内容です。 一読をおすすめします。
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ネットの力で人民が政府に圧力をかけ、政府の動きを変える事例が何件も出てきている事に驚きました。 中国にとってインターネットとは新しいステージに向かうきっかけになったと思います。
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たまたま、手に取った一冊。 中国のインターネット環境は、いったいどのようなものなのか? 何が許されて、何がNGなのか、大変興味があった。 あまりにも日本と違う場面に、理解に苦しみそうになったが、これが中国の民主化、ネット環境の現実なのだろうと思う。
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ネット空間は官と民のネットパワーの攻防戦の様相を呈している。中国の憲法では言論の自由がうたわれている。 しかし現実的にはそれは政府を礼賛し共産党を讃える自由である。 グーグルが中国から撤退したことは大きな痛手となった。 携帯電話からインターネットにアクセスするのは3.3億人で全体...
ネット空間は官と民のネットパワーの攻防戦の様相を呈している。中国の憲法では言論の自由がうたわれている。 しかし現実的にはそれは政府を礼賛し共産党を讃える自由である。 グーグルが中国から撤退したことは大きな痛手となった。 携帯電話からインターネットにアクセスするのは3.3億人で全体の62%。 中国大陸のネット空間はGFW、Great Fire Wallと呼ばれている。 ソ連崩壊から中国が学んだのは社会主義国家体制を維持するためには経済強国にならなければならない、ということ。でももう中国は世界2位の経済大国になった。
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中国の事情がとてもよくわかった。北アフリカ、中東などの独裁国家ではないということ。ですから、網民が炎上してもそのまま革命にはいたらないこと。中国をもっと正確に理解しなければならないなと強く感じました。
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