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廃疾かかえて の商品レビュー

3.7

27件のお客様レビュー

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2024/04/11

「廃疾をかかえて」 秋恵シリーズ。 同棲をはじめて慣れ始めた頃の話し。 彼女が過去に女友達に貸してやった借金の話しを皮切りに、秋恵の過去の彼氏に対する嫉妬心や、いつもの妄想的な猜疑心と暴力性で、結果的に破滅に向かっていく。 思いやりを持ちたい気持ちと猜疑心とのあいだを行ったり来た...

「廃疾をかかえて」 秋恵シリーズ。 同棲をはじめて慣れ始めた頃の話し。 彼女が過去に女友達に貸してやった借金の話しを皮切りに、秋恵の過去の彼氏に対する嫉妬心や、いつもの妄想的な猜疑心と暴力性で、結果的に破滅に向かっていく。 思いやりを持ちたい気持ちと猜疑心とのあいだを行ったり来たりして、自己嫌悪でフィニッシュ。 「瘡瘢旅行」 秋恵シリーズ。 同棲生活末期の話しで、すでに気持ちが離れていった秋恵の心情を理解出来ないまま、藤澤清造関連のコレクション蒐集に身勝手に騒ぎ、有頂天になる話し。秋恵はすでに心ここにあらず。 「膿汁の流れ」 秋恵シリーズ。 秋恵の祖母が体調を崩して入院したことにより実家に帰省する。 そのあいだ貫太はひとり、貯金を勝手に崩して豪遊して散財する話し。 中盤でこのままいけばハッピーエンドになるんじゃないかと思いきや、ラストはやっぱり破滅的なエンディング。秋恵はいい女。

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2022/06/30

2022/6/30 読了 一度読み始めたら止まらない。やっぱり、人間の堕落というものには強く惹きつけられる。

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2022/06/06

解説で酒井順子さんが書いてた 負のヒーロー貫多 がしっくりきすぎた、、、解説で感想や気持ちが言語化されてる

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2021/08/22

先日、千葉真一さんが鬼籍に入られたので、思いを馳せるため再度「仁義なき戦い 広島死闘編」を一部見直してみた。 かの大友勝利が映画史に残る名ゼリフをいうシーンがあるが、あれはやはり痛快というしかない。 こういうことを言うと世の女性には蔑視されること間違いなしだが、この貫太&...

先日、千葉真一さんが鬼籍に入られたので、思いを馳せるため再度「仁義なき戦い 広島死闘編」を一部見直してみた。 かの大友勝利が映画史に残る名ゼリフをいうシーンがあるが、あれはやはり痛快というしかない。 こういうことを言うと世の女性には蔑視されること間違いなしだが、この貫太&秋恵の夫婦漫才的悲劇はそれに似た痛快感がある。 罵りの後の迷いのない謝罪、そして見え見えの功利的目論見。何回おんなしことやっとんねん、と、突っ込みたくなる。 西村賢太はいくつか読んでるが、この本の解説者である酒井女史が述べる西村作品の魅力についての考察は的確であり、大いに同感する。

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2019/09/18

西村賢太の本は、刊行されればどんな内容かは考えず、とりあえず買って読んでみたいのだが、後で感想を求められれば、どの本にどんな内容が書かれていたのか、どうにも思い出せない。ここまで書いてしまえる作者の切迫感(作者が、私淑する藤澤清造を形容する際に用いた言葉は、作者自身の文章にもあて...

西村賢太の本は、刊行されればどんな内容かは考えず、とりあえず買って読んでみたいのだが、後で感想を求められれば、どの本にどんな内容が書かれていたのか、どうにも思い出せない。ここまで書いてしまえる作者の切迫感(作者が、私淑する藤澤清造を形容する際に用いた言葉は、作者自身の文章にもあてはまるので使う)がすごいんだ、としかいえない。それで十分だと思う。 また、秋恵を殴るんでしょう?と静観しても、その印象を読後まで持ち続けられない良質な私小説。

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2015/05/09

自分のやりたいように生き、後先を考えない様、まるで幼稚でロクデナシと言える主人公。 三編の短編、いずれも同棲する女性がおり、よくその女性に好き放題やるのが本作の本質。読んでてウンザリしてしまう為体。起点は同じだが指針が異なるのは面白い。だが、やはり主人公の行動にはウンザリしてしま...

自分のやりたいように生き、後先を考えない様、まるで幼稚でロクデナシと言える主人公。 三編の短編、いずれも同棲する女性がおり、よくその女性に好き放題やるのが本作の本質。読んでてウンザリしてしまう為体。起点は同じだが指針が異なるのは面白い。だが、やはり主人公の行動にはウンザリしてしまう。私小説作家の極みここに在り。

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2015/01/01

ヒトデナシっぷりは先に読んだ『小銭をかぞえる』収録の2編よりは和らいでいる感じ。というか、続けて読んだもんで麻痺した。荒んだ風景だが、同時にコミカルな要素も感じられ、どんよりとした暗澹さはあまりないのが救いではある。 今回は、貫多の身勝手で粗暴な行いよりも、秋恵の許諾してしまう態...

ヒトデナシっぷりは先に読んだ『小銭をかぞえる』収録の2編よりは和らいでいる感じ。というか、続けて読んだもんで麻痺した。荒んだ風景だが、同時にコミカルな要素も感じられ、どんよりとした暗澹さはあまりないのが救いではある。 今回は、貫多の身勝手で粗暴な行いよりも、秋恵の許諾してしまう態度に病巣を感じてしまった。 果たして、秋恵はパート先で知り合った優男のところへ逃げ去った後、幸せな暮らしをしているのだろうか。いやしてない。かなりの確率で殴られ、再び肋を折られ、金をせびられていると思われる。いまも王子のスーパーでレジ打ちのパートを続けたりしないで欲しい、のだが。

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2014/07/03

苦役列車の続編的なものだったので読んでみた。 北町貫多シリーズの短編仕立て。 昼一時頃、満腹になった主婦達がソファに寝そべって 毎日定刻に始まるドラマに目をやりながら「ふぅん...こんな人たちもいるんだー。」などと食後のお菓子をほおばりながら、そんなことをつぶやきそうな内容。 廃...

苦役列車の続編的なものだったので読んでみた。 北町貫多シリーズの短編仕立て。 昼一時頃、満腹になった主婦達がソファに寝そべって 毎日定刻に始まるドラマに目をやりながら「ふぅん...こんな人たちもいるんだー。」などと食後のお菓子をほおばりながら、そんなことをつぶやきそうな内容。 廃疾を抱えた主人公にもそろそろ飽きてきたので 西村賢太著の本はこれで打ち止めかな。 私小説でなければ手に取ることもなかったであろう一冊。

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2014/02/05

損得よりも、こだわりやその場の欲に任せて動く。なんて正直な私小説。男なら、共感できる部分があるだろうし、最低な野郎だと思う部分もあるだろう。ただ、最低な野郎と思った所で、自らが隠し持つ一面に触れられた気がして、これまた妙な正直さ。汚い兄貴の小便を、自らと変わらぬ排泄行為としてリア...

損得よりも、こだわりやその場の欲に任せて動く。なんて正直な私小説。男なら、共感できる部分があるだろうし、最低な野郎だと思う部分もあるだろう。ただ、最低な野郎と思った所で、自らが隠し持つ一面に触れられた気がして、これまた妙な正直さ。汚い兄貴の小便を、自らと変わらぬ排泄行為としてリアルに想像するような、西村賢太の生き様はそんな雰囲気を醸すのである。

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2014/02/03

進撃の巨人OP「紅蓮の弓矢」 歌詞の中に「嚆矢(こうし)」と出てきます。 「ものごとのはじまり」という意味なのですが 意図しないとなかなか使えませんよね。 でも、西村賢太の作中にはするっと出てきます。 あと「奇貨をとれ」とか。 タイトルの「廃疾」もしかり。 言葉の多様さ、崇高さ...

進撃の巨人OP「紅蓮の弓矢」 歌詞の中に「嚆矢(こうし)」と出てきます。 「ものごとのはじまり」という意味なのですが 意図しないとなかなか使えませんよね。 でも、西村賢太の作中にはするっと出てきます。 あと「奇貨をとれ」とか。 タイトルの「廃疾」もしかり。 言葉の多様さ、崇高さに見合わない下劣な主人公の行い....ギャップにやられている気がします。

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