一房の葡萄 の商品レビュー
美しい余韻に何日も浸っている。 少年の繊細な心の動きが手に取るよう。 西洋絵画の世界に入ったような心持ち。 こんな体験を誰もが幼少年にしていれば、悲しい事件なんて起こるわけないのに。 この小説を美しと、泣けるようなひとを友にしたいなと思いました。
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昔の国語でやったかもしれない物語を読むシリーズ第二弾。 男手一人で3人の男の子を育てた作者。自身の子供に向けた5つの童話と子に宛てた手紙のような小さき者へ、が収録されている。末尾に作者の遍歴と重松清のあとがきがあるが、遍歴とあとがきを読んだ上で小さき者へを読み進めると涙が止まらなかった。 結核の妻が自身の死が子供達への大きな影とならぬよう、離れることを決意し、葬式の間も子たちは遊ばせてやってくれ、と。宮崎駿の風立ちぬの菜穂子のような病を想像すると妻の孤独の中の子供への大きな愛がひしひしと伝わってきた。 末尾には古い言葉の解説もあるので自分の子供にも読ませたい。重松清のあとがきも秀逸。彼の言う通り5つの童話を読んだ後に小さき者へ、を読むことをおすすめする。 雑な言葉選びが多くなってきた今、この時代のきれいな日本語に触れ続けていきたいと思った。
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昔の本なので、少し言葉遣いなど違いもありますが、問題なく読めます。 子ども心をすごく的確に捉えていて、主人公の心の動きにすごく共感ができた。 妹を見捨てる訳では無いけど、都合良く自分だけが助かろうとする姿や弟が苦しんでいるのに、どうでも良い水を自分が持っていく事に執着したり。...
昔の本なので、少し言葉遣いなど違いもありますが、問題なく読めます。 子ども心をすごく的確に捉えていて、主人公の心の動きにすごく共感ができた。 妹を見捨てる訳では無いけど、都合良く自分だけが助かろうとする姿や弟が苦しんでいるのに、どうでも良い水を自分が持っていく事に執着したり。 母親の指示された事をすれば、何か事態が好転するような気がして。 この辺の子ども時代に確かにこんな感覚あったな。(あったような気がする)ということを的確に文章にしている。
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電車の中でサッと読めて ぐっと物語に入ってこられる1冊。 280円でこのクオリティ、没入感は コスパがよすぎます。
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【火事とポチ】 明治時代の火事の様子が知れますね…。 なーんか有島さんって優しそうな人柄なんだけど、ちょっとプライドの高い感じも文章に表れてるよね。いいところに住んでました、火事の原因は放火です、みたいな。昔は犬の種類でマウントとかもとってたんだなぁって思いました。 最後ポチは死んでしまったんだ。でも、有島たちがいた時は起きていた。なんか、意識が「生きたい」と願うなら、生き物は生きていられるのかな…?諦めたら死んじゃうのかな…? 【燕と王子】 読んだことがある本だなと思えば、オスカー・ワイルド氏の『幸福の王子』から翻案された作品だそうです。 読み進めていくうちに、武士とか瓦とか日本っぽい単語が出てくるなとは思っていたのですが、なるほど、日本向けの作品にしていたからなのかなと思いました。 原作では最後、ツバメは王子の銅像の下でツバメは亡くなるイメージだったので、「あ、死なないんだっけ?」と思いました。ですが、原作のツバメは帰ろうとしていたのになかなか帰らせてもらえなくて可哀想だなぁと私は感じていたので、有島さん流に燕の願いも叶えてあげたのかなと思いました。 この作品は有島さんの妹さんのご長男の病気見舞いとして書き送ったものだそうです。有島さんの児童向け作品は自分の幼少期を振り返るような作品が多かったので、なるほど、そういうことかと思いました。
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明治から大正を生きた作者が描くお話。とても丁寧な言葉で、古き良き日本を伝えてくれるような作品。 基本の考え方や、出来事は現代と変わらないため、充分に楽しめる。
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主人公の気持ちの変化や、学校の様子がありありと描写されていて爽やかな読後感があった。心の傷にならなかったのは、先生の指導力や人間性のおかげかもしれない。
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40を越えた有島が、幼い頃の盗みを犯してしまうという衝撃的な出来事を通して様々なことを伝えてくれる童話。 描写が美しい。様々な色が出てきて、印象的で、効果的である。 そして何より、盗みを冒した少年に対する先生の対応が素晴らしい。 少年が先生を大好きなのは、少年のことを心から理解し...
40を越えた有島が、幼い頃の盗みを犯してしまうという衝撃的な出来事を通して様々なことを伝えてくれる童話。 描写が美しい。様々な色が出てきて、印象的で、効果的である。 そして何より、盗みを冒した少年に対する先生の対応が素晴らしい。 少年が先生を大好きなのは、少年のことを心から理解してくれているからだ。 この時も少年の気持ちを一番に考え言葉を掛けている。 そして少年はこの出来事をとしてさらに先生を、信頼し好きになったと思う。さらに人は信頼できる。失敗から自分を、成長させることができることを学んだのだろう。 人は誰でも失敗をするし、罪深い。それでもそれを反省し成長へと繋げることができる。 教師として、未熟で失敗する生徒たちを温かい眼差しを持って成長を促して行きたい。 「明日学校に来るんだよ。君の顔を見ないと寂しから」 いつも私が言っている言葉の意味の大きさを改めて知った。
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もっと早く読んでおけばよかったなと思うほど、一つ一つの作品から何かしらの強いメッセージを感じました。間違いなく生涯何度も読み返すであろう一冊です。
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表題作の一文で「そういって先生は僕のカバンの中にそっと葡萄の房をいれてくださいました。」とあるが、なんでもない言葉だけど、無駄のない文体が心地よく、優しく心に残っていました。これがいつまでも親しまれる近代文学の良さなのだと思います。
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