身近な雑草の愉快な生きかた の商品レビュー
道端でよく見かける雑草たちの知られざる生態。 手厚く世話してもらえる園芸用植物や栽培植物と違い、自力で生き抜かねばならない雑草たちの努力(?)と工夫にはただただ感心する。 芽を出したその場から動くことができない(ネナシカズラなんてやつもいるが…)弱い草たち。 脳も心臓もない生物...
道端でよく見かける雑草たちの知られざる生態。 手厚く世話してもらえる園芸用植物や栽培植物と違い、自力で生き抜かねばならない雑草たちの努力(?)と工夫にはただただ感心する。 芽を出したその場から動くことができない(ネナシカズラなんてやつもいるが…)弱い草たち。 脳も心臓もない生物なのに、確実に意思を持って行動している。 おかれた環境を上手く使い、他の植物や動物をしたたかに利用し、また自らも利用される。 ゴルフ場の芝の長さに合わせて穂をつけるスズメノカタビラや、水田で稲に擬態し続けて繁栄してきた結果、田んぼでしか暮らせなくなったタイヌビエなど、人間の営みの中で適応している植物も多くあり、人も自然の一部なのだなあとしみじみ。 よく似た外来のアサガオとは違いたくましく生き抜くヒルガオの話、力強いオヒシバに比べて臨機応変に成長戦略を変えるメヒシバの話が印象に残った。 それから野暮な人に可哀想な名をつけられた草たち。当の本人(本草!?)はそんなこと気にも留めてないと思うが、今後は瑠璃唐草(オオイヌノフグリ)、早乙女蔓(ヘクソカズラ)と呼んであげたい。
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コミカルでリズミカルに話を進めていき、時には歴史や社会とも絡め、身近な彼らのことを面白可笑しく語る。 擬人化された植物たちのハッと驚かされる策略の数々、人間なんかよりはるかに高等な進化を遂げ、強い存在であることに気付かされる。 そしてこんな知的で笑える文章に添えられた繊細なな描写...
コミカルでリズミカルに話を進めていき、時には歴史や社会とも絡め、身近な彼らのことを面白可笑しく語る。 擬人化された植物たちのハッと驚かされる策略の数々、人間なんかよりはるかに高等な進化を遂げ、強い存在であることに気付かされる。 そしてこんな知的で笑える文章に添えられた繊細なな描写の画が素晴らしい。 この世は知らない不思議に満ちている。
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いわゆる「雑草」に分類される様々な植物の生態を親しみやすい文体で紹介している本。 ひとつひとつの植物にちゃんと絵がついてるので名前を聞いてピンとこなくても絵を見てああ、あの植物かと分かるのが良い。 雑草たちの生態自体が面白いのはもちろん、文章もくすりと笑えるような言い回しが多くて...
いわゆる「雑草」に分類される様々な植物の生態を親しみやすい文体で紹介している本。 ひとつひとつの植物にちゃんと絵がついてるので名前を聞いてピンとこなくても絵を見てああ、あの植物かと分かるのが良い。 雑草たちの生態自体が面白いのはもちろん、文章もくすりと笑えるような言い回しが多くて読みやすい
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1章ずつが短くて分かりやすく面白く書いてあり、とても楽しい本だった。 特にそれぞれの雑草のびっくり生存戦略に重点を置いて書かれているので、飽き性な私でも中弛みせずに読めた。 学生になぜ勉強をするのかと問われた時には、知識は人生をより楽しいものにするからだと答えている。その最たる...
1章ずつが短くて分かりやすく面白く書いてあり、とても楽しい本だった。 特にそれぞれの雑草のびっくり生存戦略に重点を置いて書かれているので、飽き性な私でも中弛みせずに読めた。 学生になぜ勉強をするのかと問われた時には、知識は人生をより楽しいものにするからだと答えている。その最たる例が「身近な虫と草の知識」ではないだろうかと個人的に思う。 名前がわかり、区別がつくだけでも楽しいけれど、信じられないくらいに凝ったそれらの生態を知ると世界を見る目が変わる。動物園に行かなくても、面白い生き物はその辺にたくさんいる。いや、面白くない生き物なんていないのだと思う。 雑草はただ単に生命力が強いのではなく、様々な戦略を巡らしているから生命力が強いのだと知ることは、無駄な知識とは呼べないだろう。
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毎日草取りをしているけど 知らない名前の雑草の多いこと! 本来の生命は こういうふうに 置かれた環境に 適応して進化する その進化を やめてしまった種は 大量に繁殖していても弱い 足元が少し崩れるだけで 全て滅びる 今の人類はどうかな? 主人の本棚から拝借
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本書は、持ち運べる雑草図鑑という認識だが、他と比べて異なるのは、作者によるユーモアある一文が含まれている点である。普通だったら、雑草の説明を淡々としていくと思うが、本書ではその一文があることで、楽しく読めた。 雑草といえば、生存能力が高く、周りの植物を枯れさせることで有名だ...
本書は、持ち運べる雑草図鑑という認識だが、他と比べて異なるのは、作者によるユーモアある一文が含まれている点である。普通だったら、雑草の説明を淡々としていくと思うが、本書ではその一文があることで、楽しく読めた。 雑草といえば、生存能力が高く、周りの植物を枯れさせることで有名だが、その方法は個々で異なる。そんな雑草たちが生きるために得た能力を十分に発揮しているのは、私たちも見習わなければならない。 スギナの生命力には驚かされた。スギナとは、良く知られているつくしのことだが、原子爆弾を落とされてもすぐに生えてきたそうである。 カラスエンドウは、周囲のものを利用して生きている。根には窒素を利用してエネルギーを生み出す根粒菌を住まわせ、そのエネルギーをもらっている。ハナバチによって、花粉を運んでもらっている。さらに、アリによって外注を追い払ってもらっているのだ。 ヒメムカシヨモギは葉の位置を少しずらしながら成長していく。この並びは、フィボナッチ数列の規則性を持っており、日光を効率よく浴びるためだと考えられている。
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どの雑草もお馴染みのもの。その生き様や成り立ちをユーモアたっぷりに解説してある。それぞれの挿絵も繊細で素敵。植物好きだけでなくエッセイとしても楽しい。 雑草とは「未だその価値を見出されていない植物」
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読みやすく、文としては面白い。植物の繁殖について人間に置き換えた話が多いせいか、女性蔑視のように感じる箇所がいくつかあったので星ひとつ。
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綺麗な絵つきの本なので、雑草の名前がわからなくてもなんとなく見たことがあるな〜と思いながら読んだ。短いエッセイが続く構成で、一気に読み終えてしまった。 植物の受粉の仕組みや生存戦略は、複雑な仕組みがあったり、シンプルでもよく考えられたものになっていたりと、本当によくできている。厳...
綺麗な絵つきの本なので、雑草の名前がわからなくてもなんとなく見たことがあるな〜と思いながら読んだ。短いエッセイが続く構成で、一気に読み終えてしまった。 植物の受粉の仕組みや生存戦略は、複雑な仕組みがあったり、シンプルでもよく考えられたものになっていたりと、本当によくできている。厳しい環境で生き残りをかけて競っている雑草はなおさらすごい。 また、単に植物の説明に終わるのではなく、身近な言葉の語源になっていたり、和歌に詠まれていたり、雑草にまつわる話が多岐に渡り展開されていきおもしろい。
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本書には、わたしたちの馴染みのある雑草たちが、多数登場してくれる。 名前をよく知ってるものから、見かけるけれど名前は知らなかった。というものまで、そして、雑草学に詳しいの著者の楽しいエッセイに三上修さんの絵がまた美しい。 知らなかった雑草たちに纏わる話が盛り沢山なのだが、記憶に残...
本書には、わたしたちの馴染みのある雑草たちが、多数登場してくれる。 名前をよく知ってるものから、見かけるけれど名前は知らなかった。というものまで、そして、雑草学に詳しいの著者の楽しいエッセイに三上修さんの絵がまた美しい。 知らなかった雑草たちに纏わる話が盛り沢山なのだが、記憶に残ったものをいくつか引いてみる。 オオイヌノフグリは、英名は「キャッツ・アイ」というそうである。瑠璃色の美しい小花を咲かせるきれいな花なのでこの名前は納得。しかし日本ではオオイヌノフグリ漢字で書くと大犬の陰嚢である。それまたどうしてだろうと常々思っていたが、花ではなく実が後ろから見た犬のふぐりに似てたところからその名がついたらしい。 この花の学名は「ベロニカ」。ベロニカは十字架を擔いでゴルゴダの丘に向かうイエスの顔の血や汗を拭き取った女性。その布は聖顔布と呼ばれる。オオイヌノフグリを良く見るとイエスの顔が浮かび上がってくるのだそうだ。これが命名の由来らしい。来春、花をじっと見てみよう。 シロツメクサの頁では、四葉のクローバーは生長点が傷つけられることによって発生する説があり、よく踏まれる場所で見つけやすいとか、 スギナの仲間はおよそ三億年前の石炭紀大繁栄したことがあるとか、 タンポポは在来タンポポと外来タンポポがあるが、外来タンポポの勢力拡大甚だしく在来タンポポに危機が訪れている。外来タンポポはクローン種子で増えるので交雑しなければならない在来タンポポは増殖に負けてしまうらしい。 曼珠沙華の頁は、特に学ぶことがたくさんあった。 「葉見ず花見ず」と呼ばれるように曼珠沙華が咲いているときには、葉は一葉もなく、真っ直ぐに伸びる茎のみである。 大阪の天王寺公園を歌人さんたちと歩いている時、曼珠沙華の葉を教えていただいた。 思えば、曼珠沙華は彼岸のころに、パッと咲いて、その紅に目を奪われ、「ああ、もう曼珠沙華が咲く季節になったのね」などと思ってる間にいつのまにやら姿を消して、その後のことは知らずじまいで・・・ 水仙や韮に似た葉っぱだったように記憶している。 曼珠沙華は種子を作れず球根の分根のみで増えていくそうで、日本の曼珠沙華はほとんど同一クローンらしいです。だから、あんなにも一斉に曼珠沙華は咲くのですね。 曼珠沙華が田んぼの畦道や土手などに多いのは、根が牽引根といって球根を土中に潜り込ませる様に縮む性質を持ってるため、土の崩れるのを防ぐことができるそうです。モグラ避けにもなり種子で増えない曼珠沙華が全国で見られるのは、人が植えたからだそうですが、このような知惠を持って昔の人は曼珠沙華とつきあってきたのですね。 よく知られるように、曼珠沙華は別名を多く持つ花です。死人花、幽霊花なんてもいわれます。 墓地にもよく見られたりもするのですが、球根が毒を持ってるために埋葬した遺体を守る意図があったのではないかと想像されている。 しかし、遠い昔、曼珠沙華の球根は食用されていたそうで、曼珠沙華を全国に植えた一番の理由はそれらしいです。毒は水にさらすと簡単に取り除けるそうです。 曼珠沙華の花の魅力だけでなく土中の球根にまで思いを馳せてみる愉しみ・・・
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