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日本倫理思想史(1) の商品レビュー

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2021/02/14

古代国家の統一に祭祀的要素があったことは説通りに了解できても、そこから「清さ」「慈愛」「社会正義」と古代社会をユートピアに持ち上げる筋書きにはついて行けない。祭祀的集団の「清と穢」の考察でも、「慈愛」よりも「穢れ」に対する集団による差別や迫害の存在を想像するのだが、和辻氏には天皇...

古代国家の統一に祭祀的要素があったことは説通りに了解できても、そこから「清さ」「慈愛」「社会正義」と古代社会をユートピアに持ち上げる筋書きにはついて行けない。祭祀的集団の「清と穢」の考察でも、「慈愛」よりも「穢れ」に対する集団による差別や迫害の存在を想像するのだが、和辻氏には天皇の権威に基づいた民族統一というご自分のシナリオへの希求が勝るようだ。「感情融合的な精神共同体」なる幻想の思想史は、「利己心」は「私心を没して全体に帰依する」利他心にかわり、牧歌的な「慈愛」になる。

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2017/10/25

日本に倫理と呼べるほどの思想的潮流があったのかと、タイトルを見たときに胡散臭く感じたのが第一印象だった。 そんな思いを引きずりながら導入部を読んでみると、倫理学と倫理思想は別物だとある。 倫理学が大系的なものであるの対し、倫理思想はかくあるべきという教えのようなものだと。 それで...

日本に倫理と呼べるほどの思想的潮流があったのかと、タイトルを見たときに胡散臭く感じたのが第一印象だった。 そんな思いを引きずりながら導入部を読んでみると、倫理学と倫理思想は別物だとある。 倫理学が大系的なものであるの対し、倫理思想はかくあるべきという教えのようなものだと。 それでやっと、なるほどと思った次第。 日本では西洋と異なり、行動規範に係わる原理や基底を要求する傾向が少なかった。 あるときはキリスト教義だったり、あるときは近代的理性だったりするものが日本には無い。 そのため倫理を原理から演繹的に派生するものと捉えるのではなく、和を持って尊しとなすというような空気で捉えるしかない。 その空気を感じさせてくれるものとして本書はあると思っている。 ちなみに我々の生きる現代の視座に近い4巻から読んでみることにした。

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