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オーケストラ大国アメリカ の商品レビュー

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2023/03/30

アメリカの主要オーケストラの歴史を辿っている。とは言っても、固い内容ではない。教科書的にオケの歴史を紹介するのではなく、主要オケごとに、アメリカで活躍した指揮者の経歴やエピソード紹介を中心にしている為、気軽に読める。 読みやすい文章であることも利点である。「世界の10大オーケスト...

アメリカの主要オーケストラの歴史を辿っている。とは言っても、固い内容ではない。教科書的にオケの歴史を紹介するのではなく、主要オケごとに、アメリカで活躍した指揮者の経歴やエピソード紹介を中心にしている為、気軽に読める。 読みやすい文章であることも利点である。「世界の10大オーケストラ」など、似たような本を上梓している中川右介氏の羅列的な文章より、はるかに読みやすく、面白みがある。 必聴音源の紹介文も所々に掲載されているのも良い。ここは著者のクラシック音楽好きが伝わってくる好ましい文章だった。ただ、ジャケット写真が掲載されてないため、見た目は地味である。また、録音年の記載がないのは不親切である。例えば、ブーレーズ&クリーブランド管による「春の祭典」は、1969年の録音盤なのか、1991年の録音盤なのか、わかりづらい。紹介文を読んで行くと、「当時指揮を始めて間もない」と書いてあるので、1969年の方だとわかるが...。ライナー&シカゴ響の「ツァラトゥストラ」にも1954年盤と1962年盤があるが、こちらは紹介文に「SACD」という記述があるので、旧盤であろう。このようなことは、ビギナーの方にはわからないだろうし、中級者以上であってもわかりづらいので、やはり記載するべきところであろう。 もっとも、必聴音源は、おまけの様なコーナーとも言えなくもないので、サッと通り過ぎてしまっても良いのかもしれないが、良く書かれている名盤紹介文なだけに、惜しいと思わせる所である。 本書で取り上げられている時代は、主に1970年代まで。トスカニーニ、ストコフスキー、ワルター、バーンスタイン、ライナー、セル、ショルティなど主要オケで活躍した指揮者は漏れなく取り上げられているが、なぜか、オーマンディについては、ほとんど紙幅が割かれていないのには違和感を感じた。 フィラデルフィア管の黄金時代と言えば、オーマンディとの時代だが(約40年間も音楽監督を務めた)、このことが全く出てこなかった。 踏み込みが浅い部分もあるが、新書なので及第点には達している。新書で、キャッチャーなタイトルである為、門外漢も手を伸ばしそうな本だが、固有名詞が多い為、全くの門外漢よりは、クラシック音楽ファンにお勧めの本である。

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2014/10/04

[ 内容 ] アメリカはクラシック音楽の伝統のない国だと思われている。 しかし、現代のオーケストラのスタイルは十九世紀に成立したものであり、アメリカのオーケストラは、その形成過程でヨーロッパのオケに優るとも劣らない役割を果たした。 そして今も高い演奏能力を誇り、ヨーロッパを凌駕す...

[ 内容 ] アメリカはクラシック音楽の伝統のない国だと思われている。 しかし、現代のオーケストラのスタイルは十九世紀に成立したものであり、アメリカのオーケストラは、その形成過程でヨーロッパのオケに優るとも劣らない役割を果たした。 そして今も高い演奏能力を誇り、ヨーロッパを凌駕する魅力を備えている。 高い音楽性を達成し、地域社会に根ざしたアメリカのオーケストラ。 そのドラマティックな歴史をたどり、スター指揮者や名オーケストラの実像を紹介しながら、実力の源泉に迫る。 [ 目次 ] 第1章 オーケストラ大国の礎(オペラハウス・ブーム;オーケストラの伝道師トーマス―地域オーケストラの誕生;スパルタ指揮者!マーラー―アメリカ音楽界の飛躍;ドイツ音楽界からの脱皮) 第2章 オーケストラ大衆時代の到来(スター指揮者誕生;アメリカで花開いた現代指揮法) 第3章 悲劇と栄光の指揮者たち(新しい音楽界ビジネスの出現;レコード業界の飛躍;幻のシカゴ響音楽監督フルトヴェングラー;最後の勝利者ライナー) 第4章 スーパー・オーケストラの登場(アメリカ生まれのスター指揮者;ゲオルグ・ショルティ;クリーヴランド管弦楽団―セルとその遺産) 第5章 オーケストラ大国アメリカの発展(オーケストラ・ダイナミズムの時代;米国オーケストラの発展を支えたもの) [ 問題提起 ] [ 結論 ] [ コメント ] [ 読了した日 ]

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2014/02/12

ドイツを中心にして発展した古典派からロマン派へ続くクラシック音楽。アメリカは飛び地のように思われがちであるがトンデモナイ。フルヴェンをはじめとしてワルター、トスカニーニほか、名だたる有名指揮者がアメリカに渡り音楽を作り上げた。 そういった歴史がしっかりと本著に書き上げられていて...

ドイツを中心にして発展した古典派からロマン派へ続くクラシック音楽。アメリカは飛び地のように思われがちであるがトンデモナイ。フルヴェンをはじめとしてワルター、トスカニーニほか、名だたる有名指揮者がアメリカに渡り音楽を作り上げた。 そういった歴史がしっかりと本著に書き上げられていて面白く拝読した。 驚いたのはズービン・メータとロリン・マゼールの凋落について。クラウディオ・アバト、小澤征爾を入れて「時代の四天王」と呼ばれていたのに。 メータはニューヨークフィルの音楽監督、マゼールは栗ーヴランド管弦楽団音音楽監督になり、名声は手に入れたが実力が追いつかなかったとのこと。この情報は知らなかった。

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2011/09/19

今年5月に購入した本書は、入試受験が終わってから、最初に読む本と決めていた。期待通り私にとって、とても示唆に富む内容となっていた。特に第1・5章は、手に汗を握りながら種々のことの関連付けなされた。 ニューヨークフィルの設立は1842年。ニューヨーク・パーク劇場がオペラの専門劇場...

今年5月に購入した本書は、入試受験が終わってから、最初に読む本と決めていた。期待通り私にとって、とても示唆に富む内容となっていた。特に第1・5章は、手に汗を握りながら種々のことの関連付けなされた。 ニューヨークフィルの設立は1842年。ニューヨーク・パーク劇場がオペラの専門劇場として開設されたのは1825年。シカゴ交響楽団が活動を始めて、シカゴ・モデルができたのは1891年。両オケでドイツ系の移民がドイツ音楽文化圏を形成したのは19世紀末。 これらの時期と内容は、アメリカの大学の発展過程と非常に親和性があると思ったのは私だけではないはずだ。ハーバード大学で最初の大学改革が進められたのは1820年頃。シカゴ大学の開校は1892年。ドイツから帰国した留学生たちによる研究大学・大学院の発展が見られたのも19世紀末。 とりわけ、シカゴ交響楽団とシカゴ大学には開設時期以外にも多くの共通項がある。本書によればシカゴ交響楽団は、地域の有力者や篤志家が「オーケストラ協会」を設立・出資し、理事としてオケの経営にあたったという。アメリカの多くの大学も信任理事による理事会で経営事項を決議する。シカゴ交響楽団の経営スタイルはシカゴ・モデルと呼ばれるようになり、これが一般化した。シカゴ大学は、高等教育に係るあらゆる活動を取り入れた。カレッジ、大学院、専門職教育、地域貢献、大学出版事業、通教は、シカゴ大学から始まり、そのシステムそれぞれは世界の多くの大学で展開されている。何よりも大学経営者としての学長ハーパーの業績を、我々大学職員の中にも畏敬する人がいるはずだ。 その後も、アメリカのオーケストラは産業技術の発展と共に発展し、ビック3、5と呼ばれる指揮者の芸術も生み出された。ある意味、高質な音楽がステレオ録音によるレコード販売で、爆発的に広がりある意味クラシック音楽の大衆化を促したのではないかと思った。 また、本書5章では、オーケストラのガバナンス、グローバル規模のマーケティング、アウトリーチを、アメリカがオーケストラ大国となった理由として指摘している。これらのことも、今日の大学経営の視座と、かなり類似しているといえるはずである。

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2011/07/11

これほどまでにアメリカがオーケストラ先進国であるとは。久しぶりにセルとショルティが聴きたくなった。 もちろんクリーブランドとシカゴで。

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