小惑星探査機「はやぶさ」の超技術 の商品レビュー
苦難の末の「はやぶさ」の帰還を受け、世にたくさん出ている「はやぶさ」本。 それら類書の中でも本書は「はやぶさ」プロジェクトのメンバー自身による「はやぶさ」の技術的な側面に関する解説本です。 #技術解説の本と聞いて敬遠する方も多いかも知れませんが、数式は一切出てきていなかった(と...
苦難の末の「はやぶさ」の帰還を受け、世にたくさん出ている「はやぶさ」本。 それら類書の中でも本書は「はやぶさ」プロジェクトのメンバー自身による「はやぶさ」の技術的な側面に関する解説本です。 #技術解説の本と聞いて敬遠する方も多いかも知れませんが、数式は一切出てきていなかった(と思う)のでその点はご安心を。 逆に解説の為の挿絵がちょくちょくと載っており、「はやぶさ」本体とその運用過程への理解を深めてくれました。 本書は2部構成から成り、1部はプロジェクトマネージャーの川口教授によるプロジェクトの意義や自身も関与した日本の宇宙開発の歴史、そして打ち上げ前から帰還までを扱った「はやぶさ」プロジェクトの解説などが載っており、2部には各プロジェクトメンバーによるそれぞれの担当部分の技術的な解説が載っています。 川口教授による1部では、当時、大学院生として研究所にやってきた教授が、アメリカでスペースシャトルの運用が始まっていると言うのに固体ロケットの開発に打ち込んでいた日本の後進性に失望した様子や、リスクを取って巨大組織NASAがやろうとしないプロジェクトを成功させ、世界の宇宙開発における日本の存在感を示そうとする意欲などが率直に書かれており、「はやぶさ」運用過程の解説のみならず、一人のプロジェクトマネージャーとして自身のプロジェクトに対する想いを知ることが出来ます。 また、イオンエンジンから「はやぶさ」の構造、搭載センサー、サンプル採取技術などに関するメンバーによる解説が載っている2部は、途中、FPGAとASICと言う単語が何の事前解説なしに使われている箇所が計2箇所(つまり、各単語ごとに1箇所)あり、そこに戸惑う人もいるかもなあとは思いましたが、上記しましたが、数式は一切無く、工学系のトレーニングを受けた経験のある人にはごろりと横になって気楽に読める内容です。 工学系のトレーニングを受けたことがない人でも、解説図がちょくちょくと載っていますので、少し気合を入れて読めば十分理解できるのではないかなと思います。 #少なくとも、プロジェクトの雰囲気は十分感じ取れると思います。 2部を読んで、厳しい重量制限にも関わらず、これまで報道や類書を読んで何となくイメージしていたよりもかなり徹底的にフェイルセーフの仕掛けが「はやぶさ」には組み込まれていた事が理解できたのは良かったです。 それだけでなく、ここまでフェイルセーフを徹底させてもあの様な困難な状況下に追い込まれると言う宇宙空間、宇宙開発の厳しさも併せて理解できる内容となっています。 1部、2部と併せて、日本の宇宙開発を取り巻く世界や日本国内の状況、日本の技術水準、世界的に見ても貴重な人材の存在など、世界における日本の立場や、日本の宇宙開発に関して今後どの様な基本方針を取るべきかと言った事を自分で考え始める良い切っ掛けになる本ではないでしょうか。 一読をお勧めします。 #それに充実した内容の割にお値段が安いですしね。
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はやぶさを支えた技術について既刊よりさらにくわしく突っ込んで語ってくれるが、頭いい人たちが分かりやすく説明してくれるので物理かじった人なら理解できる/かじったことなくてもなんとなく分かる。例え方に個性が出ていておもしろい。
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先日みたテレビ番組の影響もあるけど、三省堂さんの策略にはまり(笑)購入してしまった。あぁ、未読書籍の山が数センチ高くなった。 《講談社BOOK倶楽部HPから》 決して「奇跡」や「運」ではない 計算しつくされた技術の裏づけがあった プロジェクト関係者らがはじめて明かす立ち上げから...
先日みたテレビ番組の影響もあるけど、三省堂さんの策略にはまり(笑)購入してしまった。あぁ、未読書籍の山が数センチ高くなった。 《講談社BOOK倶楽部HPから》 決して「奇跡」や「運」ではない 計算しつくされた技術の裏づけがあった プロジェクト関係者らがはじめて明かす立ち上げから帰還までの舞台裏 どうやって「はやぶさ」プロジェクトを成功に導くことができたのか 打ち上げから帰還に至るまでの約7年にわたる宇宙の旅で何度も絶体絶命と思われた状況を切り抜けプロジェクトを遂行できた本当の理由とは? 企画立案時から開発、運用に携わってきたプロジェクトリーダーと技術者、研究者たちがその時何を考え、どう行動してきたのか、その舞台裏がはじめて明かされる。 強く言いたいのは、「世界初、世界一を目指すべき」ということです。アメリカの後追いをしていたならば、「はやぶさ」はあり得ませんでした。未知の領域に挑み、切り拓き、人類の歴史に新しいパースペクティブを提示することこそが、これからの日本が行うべきことなのです。――<本文より> <執筆> 國中均……イオンエンジン/安部正真……科学観測機器/堀内康男……イオンエンジン/久保田孝……自律着陸システム/萩野慎二……探査機の設計/矢野創……サンプラー/橋本樹明……姿勢軌道制御機器/大島武……救出運用/小湊隆……光学複合航法/山田哲哉……再突入カプセル/白川健一……地形航法/吉光徹雄……ミネルバ http://www.bookclub.kodansha.co.jp/bc2_bc/search_view.jsp?b=257722
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