赤の他人の瓜二つ の商品レビュー

磯崎憲一郎【著】

2011/07/31

人格と時間が口の中のチョコレートのように溶けていく、読書でした。昭和のある時期のフレーバーを濃厚に吸い込みました。

2011/07/25

こういう作品に高評価をつけられない自分は知識や感性のレベルが低いのだろうか、想像力が欠如しているのだろうか・・と思いながらも素直に評価してみる。

冒頭は入りやすかったが、読みやすかったのはそこまで。話も時系列もだいぶ飛ぶので。そもそも機械工場に勤めていたはずの父がなぜチョコレート工場？という疑問はまだ甘いもので、カカオの歴史とコロンブスの事など史実と想像が融合していて、もはや作者の意図は・・？？と思いながらもなんとなく文体は心地よいので読み進める。

そして、最後の妹の所でようやく題名とのつながりは理解できたが、すっきりしてのはそこだけ。

ある意味、想像力で作る「小説」の本質はこういうものなのだろうか、と考えたが好みではなく残念。

終の棲家も読みたいと思っていたのだが、スタイルはやはり本書のようなものなのだろうか・・だとしたら読むかどうか考えてしまう。

2011/07/24

「赤の他人の瓜二つ」（磯崎憲一郎）読了。いやー面白かった。流れゆく時間を写すのではなく「時間」そのものをわしづかみにしてしまうような力強い文章がすごい。老いる事への躊躇いなど微塵もない両親や愛情にブレのない確信犯的な妻の姿が心地よい。迷路のような物語の中をさまよう快感に酔う。

2011/05/23

カカオとチョコレートの起源についてお勉強になりました。又戦後から昭和30年代の往時の労働者たちの暮らしぶりもリアルでした・・・がッ・・・・テーマも読者に伝えたいことも・・・よく解りませんでした。私の見識の浅薄さかもしれません・・・？

読後感＝・・・そういえば、うちの父親も似た様な暮らしぶりだったな・・

2011/07/16

実に奇妙な小説だ。出だしだけを読むと、自分とよく似た男をみかけた人物の話かと思うのだが、その先はまるで迷路に入り込むよう。次から次へと新たな場面展開が続き、ある工場で働く労働者家族の話かと思えば、その工場がチョコレート工場であったところから突然に時代が遡り、15世紀のコロンブスの話へと変転していく。 コロンブスとカカオの話は、いつしかルネッサンス後のトスカーナへと飛び、メディチ家の物語へ。こんな風に説明していたのでは、他人には分かりにくいだけだなと思う。まあ、しかし読み始めると、段落のない淡々とした続きの話として、何だろうこれはと奇妙に思いながらも否応なく先へ進むしかないのも事実だ。この混沌とした物語にどう決着がつけられのか疑問に思ううちに、最後にいたって「赤の他人」という言葉が効いてくる長い長い伏線に納得？いや、なんだか納得は出来ないな。ボルヘス好きと公言する著者だからやむを得ないのか？

2011/05/08

こういう小説は一気に読まないと散漫になってしまってコメントがかけないや。とにかく、読み終えようとして読みきった本となってしまった。段落を、もっと区切って、会話ごとに改列したら、もっと厚くできるのに、なんて書いているようじゃだめだな、こりゃ。

2011/07/16

一冊の本を読んでいるのに複数の本を読んでいるような不思議な感覚がします。コロンブスの時代かと思えば、現代だったり。チョコレートの起源に関して詳しくなりました。なんで欧州に高級チョコレートメーカーが多いかってのも。（春先のシーズンでしたか記憶が曖昧ですが、ドイツのチョコレート屋さんで天道虫の形をしたチョコレートが店頭に沢山ならぶ時期がありますよね。あれはどんな意味があるのでしょうか？）