アライバル の商品レビュー
原書で読みましたが、背中のあとがき以外は内容の同じものだと思います。なぜならこれは、台詞のない絵本。 さてどうでしょう。新しい、未知の「都会」にarriveして、安住の地をみとめる家族のお話です。 安住の地の描かれ方が、どうしても私にとって、不気味で馴染みにくいものに思えたので...
原書で読みましたが、背中のあとがき以外は内容の同じものだと思います。なぜならこれは、台詞のない絵本。 さてどうでしょう。新しい、未知の「都会」にarriveして、安住の地をみとめる家族のお話です。 安住の地の描かれ方が、どうしても私にとって、不気味で馴染みにくいものに思えたのです。それは東京へ対する私のイメージ、「人のごった煮」と重なります。 というのも、タンが突然に不安をえぐり出すように持ち出す「大衆化」がどうしても私にとっての恐怖として残るからだ。 個人としてズームアップされた登場人物(それは主人公も含む)から一瞬にして引き下がり、他の膨大な数の類似ストーリーを映すとき、入り混じって秩序を失った東京を思い浮かべるのだ。 もちろん、タンが描く都市に個別の特徴はないのだから、これは私の想起にすぎない。 また、表層をみるかぎり間違いなくハッピーエンドであることを申し添えたい。
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ものすごい表現力だと思います。台詞はない本ですが、音や会話、光が自然ときこえてきます。一度だけでも開いてほしい本です
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文字がまったくないグラフィック・ノベル。住み慣れた街に不穏な空気が漂い、男は妻子を残して新天地へと旅立つ。言葉はもとより、食べ物も、動物すら見たことのない世界。それぞれの人生を背負い、過去を抱えてこの地にたどりついた人たちと巡り合いながら、心細げな男の足元が少しずつ確かなものとな...
文字がまったくないグラフィック・ノベル。住み慣れた街に不穏な空気が漂い、男は妻子を残して新天地へと旅立つ。言葉はもとより、食べ物も、動物すら見たことのない世界。それぞれの人生を背負い、過去を抱えてこの地にたどりついた人たちと巡り合いながら、心細げな男の足元が少しずつ確かなものとなっていくのがわかる。 ページをめくっては息をのみ、胸ゆすぶられる。文字がないからこそ表現できた世界。
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いつか、辿り着くものたち。 失われたと思ったものが、かたちを変えて傍らにあることに気づくには時間が必要なのです。
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王様のブランチか何かで紹介されたのかな。 見たときにとても衝撃を受けてしまって即買い。 中身は台詞が全くない絵本なので、少し安い海外版のほうを購入。 後ろの解説に日本語訳がついていない以外は、装丁も全て日本語版と一緒なので海外版の方がお財布に優しい。 物語は、主人公が全く見知ら...
王様のブランチか何かで紹介されたのかな。 見たときにとても衝撃を受けてしまって即買い。 中身は台詞が全くない絵本なので、少し安い海外版のほうを購入。 後ろの解説に日本語訳がついていない以外は、装丁も全て日本語版と一緒なので海外版の方がお財布に優しい。 物語は、主人公が全く見知らぬ土地に家族をおいて一人やってきて、そこで生活を始める、というものなんだけれどもこの世界がすごい。 見るもの全てが不思議。 細部にわたって書き込まれているので、読むたびに新しい発見がありそう。 台詞はないけれども、ぐいぐいと引き込まれて途中うっかり泣きそうになってしまった。 最後には本当にほっと安心した。 大人の絵本だと思うけれども、子どもが読んだらどう思うのか聞いてみたい。 とても大事な一冊になりそう。 お気に入りは見知らぬ土地で初めてものを食べるシーン。 ジブリでは食べ物のシーンがとてもおいしそうに見えるけれど、これは真逆で笑えるくらい全くおいしそうに見えない!(笑) ちょっとツボでした。
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言葉のない、絵だけの物語。 圧倒的な雰囲気に飲み込まれる。 http://feelingbooks.blog56.fc2.com/blog-entry-841.html
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音、声、その情景や動物の鳴き声、人の動きなんかが、体全体に伝わってきたようだった。 文字がないからこそ、だからこそこの物語がなりたったんだと思う。 場面場面で涙がとまらなかった。
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20分ほどで読める、文字のない絵物語。密度が濃くてどっと疲れるほどに、読み応えは十分だ。 第二次大戦前夜のヨーロッパからアメリカへの移民をモデルに、異界にたどり着いた、しかし人の触れ合いは変わらないという空気を見事に描き出している。 諸星大二郎を写実的にしたようでもあり、宮崎...
20分ほどで読める、文字のない絵物語。密度が濃くてどっと疲れるほどに、読み応えは十分だ。 第二次大戦前夜のヨーロッパからアメリカへの移民をモデルに、異界にたどり着いた、しかし人の触れ合いは変わらないという空気を見事に描き出している。 諸星大二郎を写実的にしたようでもあり、宮崎駿のコンテを緻密にしたようでもあり、素敵な短編アニメーションを見せられた感があった。
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職場の司書さんに教えてもらった文字のない絵本。 「出発」というタイトルがついているが読んでいると、近代以降に多くの日本人が南米やハワイへ移民として移る際、同じように不安を抱え、一つ一つのことにとまどいながら乗り越えていったのであろう姿を彷彿させた。 また、文字のないことから時代...
職場の司書さんに教えてもらった文字のない絵本。 「出発」というタイトルがついているが読んでいると、近代以降に多くの日本人が南米やハワイへ移民として移る際、同じように不安を抱え、一つ一つのことにとまどいながら乗り越えていったのであろう姿を彷彿させた。 また、文字のないことから時代設定や土地などが具体化されておらず(あえてわからないように描かれており)、画風は近代のようでありながら、建築物や生き物たちはまるで近未来のようで、いくらでも想像力を膨らませることができる。 少し長いが、複数人で読んでそれぞれの解釈を文章化し、読み比べるとおもしろい教材になると思う。
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異世界のような土地でのたった一人の生活。これは実際に移民をした人達が皆感じたことだろう。 それでも人はその生活に適応し、楽しさを見出していくのだろう。
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