脳の科学史 の商品レビュー
MRI.MRA.fMRIなどの開発に携わってきた筆者が書いた、脳という存在がどのように理解されてきたかの歴史や、この本が出版された時点で理解されている内容などが書かれた一冊 "脳"の歴史を振り返りつつ、理解していく入門書のような内容
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「感性は主に情動・意欲を司る大脳辺縁系の働きだと分かってきました。」「感動とは、身体反応と脳との共鳴現象である可能性が高い。」このあたりから教育についての話をくわしく知りたかったのだけれど、その点ではちょっと物足りなく感じました。フロイトに対する評価は初めて知ることができました。...
「感性は主に情動・意欲を司る大脳辺縁系の働きだと分かってきました。」「感動とは、身体反応と脳との共鳴現象である可能性が高い。」このあたりから教育についての話をくわしく知りたかったのだけれど、その点ではちょっと物足りなく感じました。フロイトに対する評価は初めて知ることができました。脳科学の先駆者として読み直す必要がありそうです。著者自身が物理出身のようで、途中、電気の話やMRIについては物理的な記述にページが割かれています。私も物理をかじっていたので、それほどいやではないのですが、やはり、後半の記述(言語とか、憎しみとか幸せとか)がもっと知りたいところでした。そのなかで、ALS患者に対するBMIの有効性には感動します。出力(筋肉による働き)が全くできなくなった人の脳の働きを調べることでコミュニケーションができるようになる。入力はあるわけです。声は聞こえている。意識もある。けれど自分の意志をまったく表現することができない。どんな思いなのでしょう。想像するだけで、それほど恐ろしいことはない。それが次第に、脳の働きを外に見せることのできる装置を使い、少しずつではあるが意思疎通ができるようになる。すごい研究だと思います。今後に期待。
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何かを調べようと思ったときに、どこまでがほぼ確かなことで、どこまでが仮説段階なのかがわからないケースが多い。 本書は脳科学において、どこまでがわかっていることであり、そしてそのためにどういった調査手法があるのか、その変遷も含めて丁寧に描かれており、非常に良書と言える。 あまり脳...
何かを調べようと思ったときに、どこまでがほぼ確かなことで、どこまでが仮説段階なのかがわからないケースが多い。 本書は脳科学において、どこまでがわかっていることであり、そしてそのためにどういった調査手法があるのか、その変遷も含めて丁寧に描かれており、非常に良書と言える。 あまり脳科学に詳しくないのだが、歴史的に脳の各部位を理解することが行われてきており、特に戦争がその研究を加速させた、というあたりに凄まじさを感じた。
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著者は日立の研究所のフェロー。長年脳科学のための機器開発や製品化に携わってきた方。 本書の主題は”脳の科学史”で、脳の役割を歴史的事実から紐解く、であるが、計測機器の開発に携わってきた方だけあってMRI,fMRIなどの機器に対する解説も豊富である。 脳の研究がどのように行われて...
著者は日立の研究所のフェロー。長年脳科学のための機器開発や製品化に携わってきた方。 本書の主題は”脳の科学史”で、脳の役割を歴史的事実から紐解く、であるが、計測機器の開発に携わってきた方だけあってMRI,fMRIなどの機器に対する解説も豊富である。 脳の研究がどのように行われてきたかの歴史が述べられている。特に精神分析で有名なフロイトが実は神経科学を研究していた背景があり、フロイトの無意識の理論が現代の脳科学の理論に非常にあっているということでフロイトを高く評価しています。
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脳科学についてパースペクティブに理解できる。MRIの開発者としての識見が面白い。 ディレクシア、赤ちゃんのはいはいの意味など、話題は多岐にわたるが、<ところが、世間では絶対音感という言葉は誤解されています。特殊な能力ではなく、絶対音感が一般的、むしろ相対音感が特殊な能力なのです。...
脳科学についてパースペクティブに理解できる。MRIの開発者としての識見が面白い。 ディレクシア、赤ちゃんのはいはいの意味など、話題は多岐にわたるが、<ところが、世間では絶対音感という言葉は誤解されています。特殊な能力ではなく、絶対音感が一般的、むしろ相対音感が特殊な能力なのです。>といったくだりも面白い。 最相葉月はどう思うだろう。知ってはいたと思うけれど。
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脳の実験そのものよりも、脳をどう捉えよう、どう計測しようといった試みの記述の部分が興味が惹かれた。水俣病での水銀の測定のゼーマン効果の話は…もっと知りたいと思った。ところどころに脳科学に関して「幸福」だけでなく「憎しみ」について研究するといった示唆に富んだところも。
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