シブミ(下) の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
シブミとは「渋み」のことで、主人公の暗殺者、ニコライ・ヘルは日本人から侘び寂びの思想を学ぶ。と言ってしまうと、毛唐が抱きがちな俗悪な東洋趣味がすぐに思い浮かぶが、本書に一貫して流れている「渋み」は、日本人が読んでもまったく違和感のないもので、まずは著者の日本文化に対する通りいっぺんではない造詣の深さに唸らされる。ストレートではあるけれど確実に意表を突かれるプロットの巧みさ、名作「アイガー・サンクション」の著者ならではの洞窟における死闘の描写力、そして何度も繰り返される「色事」のゾクッとするような艶めかしさ。圧倒的と言うしかない。久しぶりにやられた。完敗である。
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20年ぶりに再読。今回もまた深い感動を覚えた。いや、20年前よりも、その色あせない内容をじっくりと楽しむことができた。日本文化論・アメリカ文化論が微苦笑を誘うスパイ小説。続編「サトリ」が早く読みたい。
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戦中戦後の日本を舞台の大半とした上巻を興味深く読んで、さて物語が動くかと下巻に突入したところで、個人的には何故だか急にノレなくなった。下巻冒頭から100頁ほどケイヴィングのシーンが続くのだが、どうやらそこでつっかえてしまったらしい。とはいえもちろん悪い作品ではない。その意味でもウ...
戦中戦後の日本を舞台の大半とした上巻を興味深く読んで、さて物語が動くかと下巻に突入したところで、個人的には何故だか急にノレなくなった。下巻冒頭から100頁ほどケイヴィングのシーンが続くのだが、どうやらそこでつっかえてしまったらしい。とはいえもちろん悪い作品ではない。その意味でもウィンズロウによる続編には期待が募る。
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