主題歌 の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
ぼんやりとただ文字を追うだけで読んでしまうタイプの人は、この作品が味気ないように感じるかもしれない。 事件は何も起こらないし、何よりオチがよくわからない。 日常のワンシーンを切り取ってきたような話だから、例えば登場人物たちの全く別の日を描いてもきっと成立してしまう。 だからこそ、面白いんだと思う。 私たちの生活は、期待するほどの事件は起こらない。朝起きて会社やら学校やら行って、ちょっと嫌なことがあればイライラして、面白いことがあれば笑って、美味しいものを食べて満たされて夜は眠り、週末は出かける。 作品は、まさにそんな感じ。 場面や人物は違うけど、まるで自分もそこにいるような錯覚。 で、この作者柴崎友香さんは、とにかく色づかいが綺麗。白い紙に綴られた黒い文字から、鮮やかな世界がもくもく舞ってくる。 主人公目線で話はすすむのだけど、時折別の人物視点に切り替わるのも巧い。あ、こんなふうに見えてるんだ、と。 本作は3編の話で出来ている。あたたかい関西弁ですすむ物語、やはり私は表題作の女の子限定カフェの場面が好き。 他愛ない会話の連続。 なんとなくぼわぼわ生きてる日常が、実は面白いしみどころあるんじゃん、と改めて気づかされる、きらきらした物語。
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淡々とした日常。 人が出会ったり集まったり、その様子のリアルさだけが浮き彫りで物語から何か得るとか劇的な感情を覚えるとかはない。 どうしてもそこに少し物足りなさを感じてしまった。 作者の初期作品であることを強く感じさせられる。
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20〜30代に読んでほしい。 わかるなーって感覚、何回かあると思います。 テレビドラマ化されなくったって、ひとりひとりの毎日は、それはそれはいろんなことがあって、いろんなことを考えて、笑ったり泣いたりする、何のへんてつもないけどいとおしい日常。 男性には、ちょっと勉強になるか...
20〜30代に読んでほしい。 わかるなーって感覚、何回かあると思います。 テレビドラマ化されなくったって、ひとりひとりの毎日は、それはそれはいろんなことがあって、いろんなことを考えて、笑ったり泣いたりする、何のへんてつもないけどいとおしい日常。 男性には、ちょっと勉強になるかも。あなたのまわりにいる女の子達は、実はこんなことを考えていたりします。
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特別なことが起こらない毎日でも、見慣れた景色の中にいようとも、その瞬間、その場所にはいつだってふさわしい主題歌が鳴っていて、それが聞こえるかどうかはそこにいる自分次第、だと思えるような描写の連続であり、とてもいとおしく思う。いとおしいものはいつもさりげなく、なにげなく、ある、と思...
特別なことが起こらない毎日でも、見慣れた景色の中にいようとも、その瞬間、その場所にはいつだってふさわしい主題歌が鳴っていて、それが聞こえるかどうかはそこにいる自分次第、だと思えるような描写の連続であり、とてもいとおしく思う。いとおしいものはいつもさりげなく、なにげなく、ある、と思った。
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普通の何もない日常を切り抜いていて、そこには事件も転機もない。淡々と過ごしている人の日常を覗きみている気持ちになります。 最後は異様なほどのあっけなさで幕を閉じます。柴崎友香らしい終わり方でした。
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昨日読み終わった作品。 …しかし、最後の方はもうパラパラとページをめくるだけになってしまったように思う。 女の子は女の子の可愛さについてよく語っているなと思い至り、裏のあらすじを見て購入したもの。 しかし、うまく話に入れなかったように思う。 主題歌 六十の半分 ブルー、イエロー、オレンジ、オレンジ、レッド の三作の短編集。 解説にて福永信氏が、「…そもそもこの作品そのもののラストが、異様なほどのあっけなさで幕を閉じるのはほとんど衝撃的だ。」と書かれている。 あっけない、という表現に納得である。あっけないほど日常のまま終わる。 そういうものが好みに合わなかったのか。どうであろう。 まぁこういうこともあるか。
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ストーリーだけを追うとするっと読めてしまって何だかたよりなく思えるかもしれない。だけど、柴崎友香の小説はストーリーだけを追うのではなくて、一文一文引っかかりながら読むとその趣きをガラっと変える。 友人との会話中や移動中の思考、視点の置き場、特筆すべきことはないと思われる日常の本当...
ストーリーだけを追うとするっと読めてしまって何だかたよりなく思えるかもしれない。だけど、柴崎友香の小説はストーリーだけを追うのではなくて、一文一文引っかかりながら読むとその趣きをガラっと変える。 友人との会話中や移動中の思考、視点の置き場、特筆すべきことはないと思われる日常の本当の姿が見えてくるような、そんな感覚。特に大きな事件が起こらない本作ではそれがよくわかる。
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