NHKスペシャル 日本人はなぜ戦争へと向かったのか(上) の商品レビュー
2011年初に放送されたNHKスペシャルの番組の書籍化。 近年の現代史の研究成果を一般の人にもわかりやすく解説している良書。本書を読むことで、実証的な歴史研究が進んでいること、そして、その研究成果が驚くほど、一般に流布している歴史認識と乖離していることがわかるのではないかと思う。...
2011年初に放送されたNHKスペシャルの番組の書籍化。 近年の現代史の研究成果を一般の人にもわかりやすく解説している良書。本書を読むことで、実証的な歴史研究が進んでいること、そして、その研究成果が驚くほど、一般に流布している歴史認識と乖離していることがわかるのではないかと思う。 「はじめに」で語られるように、日本人がなぜあの時代に戦争へと向かったのか?「戦後の長いあいだ、戦争責任や戦争の原因について、日本人自身が総括してこなかった不幸な歴史」に対する問題意識が本書の出発点である。太平洋戦争へと向かった時代を過度に否定することも、肯定することも、戦間期を特殊な時代として現代と切り離して見ている事に違いはない。戦前と戦後を連続的にとらえて見ることで、多くの気付きがあることを、実感させてくれるのではないかと思う。 上巻では外交、陸軍、二つのテーマを取り上げる。 1章の外交では、戦略という視点を持たず場当たり的な外交姿勢、外交・軍事ばらばら、かつ内向きの思考・行動が、当初想定しなかった「国際連盟脱退」まで日本を追い詰めていった経緯を紹介する。 2章の陸軍では、戦前最大の官僚組織、陸軍の構造改革を目指した一汐会の取り組みの蹉跌、組織の論理を優先したために現地の暴走を止められず、日米開戦に至るまでに至った経緯が語られる。 問題意識や視点が明確で面白いが、同テーマで複数の研究者が順番に解説する構成は、同種の内容が前後するため、一般向きの書籍としてはとっつきにくい気がする。
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組織防衛を目的とした個別合理性の追求とか、やましき沈黙とか、今の自分が所属している組織が陥っているのとまったく同じ状況ではないか。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
きっちり責任追及しない・懲罰を与えない 全体よりも所属組織を優先する 確固たるリーダーがいない 帝国陸軍の負の特徴だけど、これってやっぱり日本の典型的組織じゃない?だとすると日本人は必然的にあの戦争に向かう運命だったのかな。そして今もこの負の特徴を背負って迷走しているわけだ。 ※むしろ明治期が異様なの
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制御する側(中央政府)とされる側(軍)の認識と感覚のズレ。第一次対戦後の世界情勢。コミュニティ。プライド。
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新資料を元にして日本が第二次世界大戦へ向かっていった現状を分析した一冊。 NHKスペシャルを視聴後に読んで内容をより理解できた。
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