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諜報の天才 杉原千畝 の商品レビュー

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25件のお客様レビュー

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2024/08/13

 杉原千畝は父親から医者になるように言われており、実際医学専門学校を受験したが、答案用紙を白紙のまま提出した。本人としては医者になりたいとは思わなかった。その代わりに、語学を生かした職業に興味を持っていたので、語学関連の学校を受験し、早稲田大学高等師範部(現在の早稲田大学教育学部...

 杉原千畝は父親から医者になるように言われており、実際医学専門学校を受験したが、答案用紙を白紙のまま提出した。本人としては医者になりたいとは思わなかった。その代わりに、語学を生かした職業に興味を持っていたので、語学関連の学校を受験し、早稲田大学高等師範部(現在の早稲田大学教育学部)に入学した。 その後、外務省が留学生を募集しているという記事を見つけて、留学試験に向けての勉強に専念した。受験した結果、合格したものの当時の杉原千畝はスペイン語を希望した。その年、スペイン語希望者が多い一方で、中国語とロシア語の人気はあまりなかった。このような偏りが生じたのは、前者は二十一か国の要求による関係の悪化、後者は日本を含めて多くの国々がソ連との国交が途絶えていたことが原因であった。このような事情から、杉原千畝はロシア語専門家としてのスタートを切った。もしその当時の希望者に偏りがなかったら、その後多くのユダヤ人が救われなかったかもしない。  また本書では当時の東欧諸国と日本の関係について言及されている。ポーランドが日本に友好的であったのは、日露戦争時、捕虜となったポーランド人の対応が良かったためである。その関係のおかげで、対ソの諜報活動に役立った。ポーランド分割後、ポーランド内のユダヤ人がリトアニアに亡命したが、これはバルト三国のなかでも面積が広いうえに人口当時最大で、宗教がともにカトリックだったためである。

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2022/10/16

『消えたヤルタ密約緊急電―情報士官・小野寺信の孤独な戦い―(新潮選書)』で言及されていた杉原氏の活躍を知りたいと思い、手に取った本。 他の方のレビューにもあるように、著者の杉原氏に対する熱い尊敬の念がほとばしりすぎているきらいもあるが、一国の首相が「欧州情勢は複雑怪奇」とさじを...

『消えたヤルタ密約緊急電―情報士官・小野寺信の孤独な戦い―(新潮選書)』で言及されていた杉原氏の活躍を知りたいと思い、手に取った本。 他の方のレビューにもあるように、著者の杉原氏に対する熱い尊敬の念がほとばしりすぎているきらいもあるが、一国の首相が「欧州情勢は複雑怪奇」とさじを投げた当時の情勢を、杉原氏に関係するところだけ(まぁ、それが重要な部分なのだが、)うまく切り取り、氏のインテリジェンスオフィサーとしての働きを丁寧に描写していて、知的好奇心が刺激される1冊である。 インテリジェンスの活動は、そもそも後世に残せない活動が多いため、どうしても推察を含むこと多くなるが、本著者はその推察にもできる限り状況証拠を基に描こうとしており、その意味でも安心して読み進められた。

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2022/10/16

白石仁章著『諜報の天才杉原千畝 (新潮選書)』(新潮社) 2011.2発行 2016.10.23読了  杉原千畝といえば、第二次世界大戦中に外務省の命令を無視して、ユダヤ人に日本通過ビザを発給し続けた人道の人というイメージがあったが、杉原千畝はヒューマニストの側面だけでなく、イ...

白石仁章著『諜報の天才杉原千畝 (新潮選書)』(新潮社) 2011.2発行 2016.10.23読了  杉原千畝といえば、第二次世界大戦中に外務省の命令を無視して、ユダヤ人に日本通過ビザを発給し続けた人道の人というイメージがあったが、杉原千畝はヒューマニストの側面だけでなく、インテリジェンスオフィサーとして諜報の天才であり、いち早く独ソ開戦の情報を掴むなど日本のために命がけで奮闘していた。杉原千畝は日本では知名度が低く、戦後も旧外務省関係者から非難されていたようだが、その理由は日本の国益よりユダヤ人を優先する人物と勘違いされていたからだろう。  国籍や人種に囚われず、人を救うことに国益は関係ないはずなのに。 URL:https://id.ndl.go.jp/bib/000011126321

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2021/06/18

諜報のスペシャリストとしての側面から、杉原さんの辿ってきた道を丁寧に説明されている。少し難しいところはあったが、コツコツと気の遠くなるような緻密な作業を重ねながら、日本のためになる情報を集めていたことが理解できた。たくさん地名が出てくるので、ところどころに地図が掲載されていたらも...

諜報のスペシャリストとしての側面から、杉原さんの辿ってきた道を丁寧に説明されている。少し難しいところはあったが、コツコツと気の遠くなるような緻密な作業を重ねながら、日本のためになる情報を集めていたことが理解できた。たくさん地名が出てくるので、ところどころに地図が掲載されていたらもっとわかりやすかったなと思う。

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2020/02/18

現実と組織のルールの間で、なんとか命のビザを発給し続けた姿が描かれている。 インテリジェントとはなにか、情報をどう活かしていくかという命題は、戦時中でなくとも、むしろ情報過多の現代にこそ生かすべき教訓であると考える。 人道一辺倒ではなく、かと言って冷徹な官僚でもない、人間杉原の姿...

現実と組織のルールの間で、なんとか命のビザを発給し続けた姿が描かれている。 インテリジェントとはなにか、情報をどう活かしていくかという命題は、戦時中でなくとも、むしろ情報過多の現代にこそ生かすべき教訓であると考える。 人道一辺倒ではなく、かと言って冷徹な官僚でもない、人間杉原の姿が垣間見える本だった。

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2017/11/08

ナチスから6000人の命を救った命のビザで知られる杉浦は、実際には一にスターリン、二にヒトラーといった感じでドイツよりもソ連を恐れていた。

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2016/08/22

ヒューマニストとして知られる杉原千畝の別の側面。インテリジェンスオフィサーとしての彼の功績と、それを役立てなかった日本、歴史の真実を見ることができた。

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2016/02/14

ヒューマニストとしてだけでなく、諜報のスペシャリストとしての杉原千畝の姿が描かれていて、とても興味深かった。 また、戦前から戦中にかけて、日本でも諜報活動に命を賭けた人たちが存在していたのを知ることができたことも、とても有意義だった。 若干、著者の思い入れが強い感じはあるけど……

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2015/12/29

杉原千畝について、客観的にかつ詳細に調べられているなという印象でした。ヒューマニストとしてではなく、インテリジェントオフィサーという観点からのスポットにすごくこだわってます。 6000人の命を助けたヒューマニストのイメージを持たれやすい杉原千畝の新たな一面を知ることができます。...

杉原千畝について、客観的にかつ詳細に調べられているなという印象でした。ヒューマニストとしてではなく、インテリジェントオフィサーという観点からのスポットにすごくこだわってます。 6000人の命を助けたヒューマニストのイメージを持たれやすい杉原千畝の新たな一面を知ることができます。 筆者の推測も多分に入っていますが、その考察もなるほどありうると思わせるものばかりです。杉原千畝は、本省からの指示を単に無視していただけではなく、アリバイ工作をしながら入念にことをすすめていたのだなぁと感心しました。 第二次世界大戦の背景を知っていれば、より理解も深まる本です

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2015/12/20

映画の杉原千畝を見てから、興味がでて、読みました。 当時の情報収集が、どんなに大変だったものか、通信手段が電報ということ、その中で、家族も危険かもしれない中、命をかけて取り組んでおられた様子が、垣間見えました。 第二次世界大戦の日本の様々な判断ミスは、有名ですが、これほどの人...

映画の杉原千畝を見てから、興味がでて、読みました。 当時の情報収集が、どんなに大変だったものか、通信手段が電報ということ、その中で、家族も危険かもしれない中、命をかけて取り組んでおられた様子が、垣間見えました。 第二次世界大戦の日本の様々な判断ミスは、有名ですが、これほどの人が日本人として、情報収集していたのに、活かされなかったのは、本当に、残念な思いでした。 他の関連本も読みたいと思いました。

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