1,800円以上の注文で送料無料

駅舎にて の商品レビュー

3.3

6件のお客様レビュー

  1. 5つ

    0

  2. 4つ

    2

  3. 3つ

    4

  4. 2つ

    0

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2015/08/16

物語の舞台設定がいい。4人の男たちが駅舎で恋物語を順番に語る。列車が来たら皆思い思いに去っていく・・・

Posted byブクログ

2021/12/02
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

作者のブーダディヴァ・ボース(1908-1974)は、著名なベンガル人作家であり、ベンガルのモダニスト運動のリーダーであったらしい。ボードレールやヘルダーリン、リルケなどの詩をベンガル語に翻訳したという。 本書は、インドがまだ英国領だった頃を時代背景に描かれている。 北部のベンガル地方で、列車の貨物脱線事故がおこり、乗っていた列車から下ろされ、停車した駅の待合室で夜を明かすことになった4人の男たち。その男たちの恋バナで構成されているのが本書なのだ。 偶然のめぐり合わせで、人生の一夜だけを共に過ごすことになった中年男4人。 見ず知らずの人たちにどんな恋の話をするのか。時代が変わっても国が変わっても若い頃の恋の思い出は甘酸っぱい。 しかし、当時のインドの恋愛事情や、結婚事情は単純なものではなかった。そのあたりのことも小説を通して伝わってきて興味深い。 男たちは、夜明けとともに一夜の連帯感がなかったかのように、今のそれぞれの人生に戻っていく。 列車は動き始める。

Posted byブクログ

2011/07/06

1951年に書かれたという、オムニバス短篇集。 一家に学問の箔をつけたいと画策する母親と、それに翻弄される息子の苦い思いを描いた「片思い」、町をあげての観劇会の帰路、その漆黒の闇が印象的な「憧れ」、裕福な美しい少女に対する、貧しい少年たちの痛々しいほどの献身ぶりを描いた「幼なじ...

1951年に書かれたという、オムニバス短篇集。 一家に学問の箔をつけたいと画策する母親と、それに翻弄される息子の苦い思いを描いた「片思い」、町をあげての観劇会の帰路、その漆黒の闇が印象的な「憧れ」、裕福な美しい少女に対する、貧しい少年たちの痛々しいほどの献身ぶりを描いた「幼なじみ」 設定は様々だが、身分や貧富の差という因習に阻まれて成就することのなかった想い、いわば永遠の片思いが描かれて、地味な味わいだけれどもしみじみする。 医者が自分の結婚の顛末を語った「結婚」だけは、イギリスのユーモア小説風でちょっと異質。   My Kind of Girl by Buddhadeva Bose

Posted byブクログ

2011/07/04

舞台はインド、ベンガルのとある駅の待合室。四人の中年男性による恋の思い出話オムニバス。50年代に書かれた小説だと言うことを心して読むべし

Posted byブクログ

2011/07/16

4人の中年男が語る、4つの恋の物語。私にとってこの本の新鮮な驚きは、商品としてのパッケージングだった。1950年代にインドで書かれた小説を、タイトルや装丁で魅力的な商品によみがえらせた出版社に拍手。

Posted byブクログ

2011/07/16

あまり読んだことのないインドの小説。12月の寒い夜、インド北部の小さな駅の待合室に、朝を待つ所在無げな4人の男たちがいた。列車の脱線事故による臨時停車のため、一晩の足止めを余儀なくされた見ず知らずの旅客同士が、たまたま待合室を覗きに来た新婚カップルの雰囲気に触発されて、若い頃の思...

あまり読んだことのないインドの小説。12月の寒い夜、インド北部の小さな駅の待合室に、朝を待つ所在無げな4人の男たちがいた。列車の脱線事故による臨時停車のため、一晩の足止めを余儀なくされた見ず知らずの旅客同士が、たまたま待合室を覗きに来た新婚カップルの雰囲気に触発されて、若い頃の思い出を披露しあうことに。インドのベンガル地方を舞台とした4つの愛の物語が、この4人の一等旅客の男たちによって語られる。4人がそれぞれに、自らの出自や地縁などに触れながら語る姿が極めてインド的。1920年代の出来事を思い起こす中年達と言う設定なので、1947年のインド独立前後の時代背景を頭に入れておく必要がある。とはいえ、洋の東西を問わず、若かりしころの異性への思い入れやときめきは変わらぬものと改めて実感する。国の制度や、身分制度、家の格式など障害があるからこそ、恋は記憶に残るものとなるのだろう。

Posted byブクログ