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王朝文学の楽しみ の商品レビュー

3.6

10件のお客様レビュー

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2021/05/07

王朝文学のおもしろさについて著者の考えが述べられているエッセイです。 著者が歌人ということもあってなのか、本書は『古今和歌集』の魅力を語ることからはじめられています。正岡子規によって否定された古今集ですが、著者は王朝の歌人たちが宮廷での生活においてどのようなたのしみをあじわって...

王朝文学のおもしろさについて著者の考えが述べられているエッセイです。 著者が歌人ということもあってなのか、本書は『古今和歌集』の魅力を語ることからはじめられています。正岡子規によって否定された古今集ですが、著者は王朝の歌人たちが宮廷での生活においてどのようなたのしみをあじわっていたのかということを示すものとして、その「歌」をとらえなおします。そして、このような古今集の魅力は、王朝文学に書きつづられた人びとの感受性と密接につながっていると主張します。 著者自身の体験談を織り込みながら、『土佐日記』『蜻蛉日記』『和泉式部日記』『伊勢物語』『源氏物語』『枕草子』などの作品がとりあげられ、さらに王朝文学における美意識の終焉を示す『新古今和歌集』にまで説きおよんでいます。 途中、有職故実の研究で知られる石村貞吉のもとで学んだ経験をもつ著者が、王朝文学をあじわうための基本的な知識を解説している章もあるのですが、いわゆる大学受験の「古文常識」の復習のようにも感じてしまいました。それよりも、著者の王朝文学のたのしみかたについて、もっと語ってほしかったという気がします。

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2014/02/16

平安時代の古典文学に触れる本です。 少し古典の知識があって読むと楽しめるかと思います。 古典はフィーリングと思っていますが、本文で訳がほしいと感じたところもありました。 古典の授業を爆睡していたら、本書だけじゃあわかりずらいかもです。 源氏物語にたくさん触れてくれているのが...

平安時代の古典文学に触れる本です。 少し古典の知識があって読むと楽しめるかと思います。 古典はフィーリングと思っていますが、本文で訳がほしいと感じたところもありました。 古典の授業を爆睡していたら、本書だけじゃあわかりずらいかもです。 源氏物語にたくさん触れてくれているのが好みです。和歌を使って末摘花や近江の君の無教養さを表現した紫式部はすごいと思います。 「暮らしの背景」で平安時代の様子も簡単に捉えることができ、マメ知識が増えました。

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2013/01/16

とても分かりやすい。 新書や古典にまだ慣れていない人にとっては入門書にもなりうる。 内容としては、仮名成立~紫式部・清少納言~古今和歌集、そして王朝の生活などについてが著者の見解も含めながら、とても易しく解説されていた。 けれどある程度古典に触れてきた人にとっては少し物足りない印...

とても分かりやすい。 新書や古典にまだ慣れていない人にとっては入門書にもなりうる。 内容としては、仮名成立~紫式部・清少納言~古今和歌集、そして王朝の生活などについてが著者の見解も含めながら、とても易しく解説されていた。 けれどある程度古典に触れてきた人にとっては少し物足りない印象もある。 わたしも実際趣味で1年半ほどちまちまと、そしてここ2ヶ月みっちり古典勉強をしただけの身だが、知っている知識の方が多かった気がした。 なので新たな発見は勿論あったのだが、もう少し掘り下げてあるものが読みたいという気持ちに駆られた。 けれど、逆に言うと、新書や古典に関して苦手意識を持っている人、又、古典(平安期)に触れていく際にどこから手をつければいいのか悩んでいる方にとっては、うってつけの本なのかな?とも思った。

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2012/04/03

作品の紹介が分かりやすく情報量も適当で、古典入門に丁度いい印象。敢えて記さなかったというけどやはり出典が気になる話がちらほら。

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2011/07/24

王朝文学とは、大陸文化の吸収から日本独自の文化を育みだした頃の文学を筆者は指している。だいたい平安時代のこと。 当時の政治的状況や文化が王朝文学に溶け込んでいることがよくわかる。そして、雅とは何かというのもなんとなくわかったような。

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2011/05/09
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

古文の読み解き方というか、古典の面白さを紹介した本。途中、「皆ご存知の~」とか「~と言えば~だが」と書かれていたが、全然ご存知なく自分の知識のなさを悔やんだ。が、著者が1927年生まれということを知り、この本で悔やむ人が私以外にも数多くいるのではないかと思った。 歌はポケベルのようなものだと思った。5・7・5・7・7といった限られた文字の中で今の気持ちを相手に伝え、受け取った方はお返事をする。ポケベルだったら「14106」かしら。そうやって今も昔も愛を育んできたのだと思った。 尼さんはツルッパゲではなく、今のショートカットくらいにするとか、昔の生活についても触れており、古典を読むときに傍らに置いておく本のひとつになりそうだ。

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2011/04/17

一般的には「王朝文学=平安時代」と認識されがちだが、著者は、日本の帰属が大陸伝来の文字や詩文を消化して、、宮廷貴族、学者、後宮とその女官等、平安京に住む限られた知識階級の人々が生み出した日本独特の文化特性とそれを象徴する文学的遺産を総称して王朝文化、王朝文学と呼んでいる。 「古今...

一般的には「王朝文学=平安時代」と認識されがちだが、著者は、日本の帰属が大陸伝来の文字や詩文を消化して、、宮廷貴族、学者、後宮とその女官等、平安京に住む限られた知識階級の人々が生み出した日本独特の文化特性とそれを象徴する文学的遺産を総称して王朝文化、王朝文学と呼んでいる。 「古今和歌集」「土佐日記」紀貫之、「和泉式部日記」道綱母、「伊勢物語」「源氏物語」「枕草子」「新古今和歌集」後鳥羽院、などを通して、当時の宮廷界の文化的教養、暮らしぶり、恋愛観や作法、四季の移ろいに対する感受性と表現力の高さを紹介。 著者は、同じ時代の才女ながら、紫式部は隙がなさすぎて好きになれない。一方、清少納言は、文人の家に生まれちやほやされて育ったせいか、言わなくてもいいことまで言ってしまう鼻っ柱の強い性格ながら、打たれ弱いので親近感がもてる等、単なる書評にとどまらず、作者の人柄や歴史的背景にまで言及しており、文学を読み解く面白さを教えてくれる。 ■お気に入りの和歌 物思へば沢の蛍もわが身よりあくがれいづる魂かとぞみゆ (和泉式部/後拾遺集) 「あくがれいづる」は魂がふらふらと外にさまよいでる意で、後世に「憧憬(あこがれ)」の意に転化していくとのこと。

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2011/03/20

古今和歌集から日記文学、歌物語、紫式部と清少納言を経て新古今和歌集まで成立の背景、構造が解説されている。 日常生活や恋を和歌に託して生きていた平安から鎌倉時代の貴族たち。 教養として古今集を踏まえているので王朝文学には古今集の知識が欠かせないらしい。 四季の移ろい、恋心を繊細に表...

古今和歌集から日記文学、歌物語、紫式部と清少納言を経て新古今和歌集まで成立の背景、構造が解説されている。 日常生活や恋を和歌に託して生きていた平安から鎌倉時代の貴族たち。 教養として古今集を踏まえているので王朝文学には古今集の知識が欠かせないらしい。 四季の移ろい、恋心を繊細に表現している貴族たちはヨーロッパの19世紀の貴族たちのように優美である。

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2011/03/06

ある理由から本書を手にしたのですが、古典文学に縁も興味もほとんどなかった僕が楽しく読めたのはどうしたことか。これを読んで王朝文学に手が伸びるところ迄行けば良いのですが。(この頃は和歌がメール、Twitter代わりだったのだな、と思うのは行きすぎでしょうかね。) 著者が校訂解題さ...

ある理由から本書を手にしたのですが、古典文学に縁も興味もほとんどなかった僕が楽しく読めたのはどうしたことか。これを読んで王朝文学に手が伸びるところ迄行けば良いのですが。(この頃は和歌がメール、Twitter代わりだったのだな、と思うのは行きすぎでしょうかね。) 著者が校訂解題された『香道蘭之園』(淡交社)を手にしたことが有りますが、本書にも香りについての記述がちらっとあります。関心有る方は是非。

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2011/02/27

教養が身につくというのはこういうことでしょうね。王朝文学を楽しみたい・・とは思うのですが、やはり紫式部のように古今集に通じていなくてはならない、清少納言は漢詩に通じて・・・となると、さかのぼってかなりの教養がないと読めないのだろうなぁ。それが気の重くなる原因かも。

Posted byブクログ