私の中の自由な美術 の商品レビュー
2024.02.26 まだ、文章にするほど消化できていない。読者に考えることを要求する素敵な本だと感じた。まさにアートな本。ちょっとして冷静になったらもう一度。
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『教えない授業』から対話型鑑賞を知り、本書を手に取りました。美術鑑賞に知識は必須でない、私は今までこういった鑑賞の仕方を理解しているようで理解していませんでした。 美術の分野ながら、科学的にまとまめられていると思いますし、発行年から時間が経っていますが、抵抗なく読めました。 元々...
『教えない授業』から対話型鑑賞を知り、本書を手に取りました。美術鑑賞に知識は必須でない、私は今までこういった鑑賞の仕方を理解しているようで理解していませんでした。 美術の分野ながら、科学的にまとまめられていると思いますし、発行年から時間が経っていますが、抵抗なく読めました。 元々対話型鑑賞の本を手にするきっかけになったキャッチフレーズが、『MOMAで取り入れられた』という私自身のミーハーさがあるのですが…何故MOMAが対話型鑑賞を取り入れたのかも書かれていて、MOMAの柔軟さにも少なからず驚き、背後に長年かけた統計とデータがあったとは思っても見ませんでした。
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アレナスさんの文章(翻訳)は美術史家から抜け出せていない表現を感じ,美術鑑賞にまだ高尚さを感じさせるキライがあるが,上野さんのこの本はそんなことはない。美術に対する思い込み(絵の意味には必ず正解があるとか)という強固な壁の存在に気づくには非常に良くできた本だと思います。 ***...
アレナスさんの文章(翻訳)は美術史家から抜け出せていない表現を感じ,美術鑑賞にまだ高尚さを感じさせるキライがあるが,上野さんのこの本はそんなことはない。美術に対する思い込み(絵の意味には必ず正解があるとか)という強固な壁の存在に気づくには非常に良くできた本だと思います。 ***** 美術鑑賞とは,要するに,視覚の冒険であり,頭の体操であり,心の遍歴である。(p.9) ふとしたときに,大切な何かを失ってしまったことに気づく。美術作品を囲んで鑑賞している子どもたちの語らいに耳を傾けるとき,不意にそれは訪れる。 彼らの素直な目,しなやかな心,柔らかな頭,そして知識のひけらかしや常套句でごまかさない豊かな語り口は,どれも私たちがおとなになる過程で失ってきたものだ。 美術作品を観察して自分なりに考え,自分の解釈をつくり上げ,それを言葉に置き換える――子どもたちがいとも簡単にやってのけることを,私たちは大きな驚きと喪失感をもってただ眺め,聞き惚れてしまう。(p.64)
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探していた答えは見つからなかった。 けど、終章にはとても大切なことが書いてある。 テレビ、スクリーンとは、現実を映す鏡であると同時に現実を隠すマスクである。 私たちは現実をしっかり「見る」ことをしていないので、携帯の画面も含めそれを現実だとそのまま認識してしまうからね。 ...
探していた答えは見つからなかった。 けど、終章にはとても大切なことが書いてある。 テレビ、スクリーンとは、現実を映す鏡であると同時に現実を隠すマスクである。 私たちは現実をしっかり「見る」ことをしていないので、携帯の画面も含めそれを現実だとそのまま認識してしまうからね。 (語弊を恐れずに言うなら)「見る」力を美術を通して学べます、と教育畑出身の方が美術の使い方をとらえる、そんな良い本であったと思いました。
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中高生の時、こんな美術の授業だったら、美術を好きになっていたなあ。 美術館で、ただ解説読んで、作品に陶酔して満足していては、本当にその絵を鑑賞して楽しんだとは言えない。頭を使って鑑賞しなければ!
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対話型鑑賞の興味から。 対話型鑑賞だけを紹介してるわけではなく、もうちょっと広い。日本人の美術鑑賞の現状を述べ、陶酔型、よくわからない状態より、思索的、探究的に自由に鑑賞した方がよいと。 対話型鑑賞していても、人に比べて浅いことしか言えない、頭が働かないのが気になってた。見える...
対話型鑑賞の興味から。 対話型鑑賞だけを紹介してるわけではなく、もうちょっと広い。日本人の美術鑑賞の現状を述べ、陶酔型、よくわからない状態より、思索的、探究的に自由に鑑賞した方がよいと。 対話型鑑賞していても、人に比べて浅いことしか言えない、頭が働かないのが気になってた。見えるもののことしか言えない。そこから広げようとしても○○の感じがするくらいに終わる。ここに書いてたアプローチ法はすごく参考になりそう。 ・セリフを言ってみる ・絵の中に入る(人物の関係を考える) ・何か、何を問われているか。見立てる、比喩、象徴、擬人化、自分の経験や日常と重ねる。
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物事の捉え方を改めるというより、思い出させてくれるような本であった。STEM教育からSTEAM教育へと、アート教育が求められる中で、どのように子供たちに学びの機会を提供できるのか考えるヒントとなった。
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美術の鑑賞教育についての本。 一般の人にとっても、「鑑賞」ということを見直すための本となっています。 たくさんの美術作品を、贅沢なカラーで鑑賞できますが、「鑑賞」とはどういうことなのか、ということをわかりやすく伝えています。 それも、風景画や人物画といったわかりやすいものだけでは...
美術の鑑賞教育についての本。 一般の人にとっても、「鑑賞」ということを見直すための本となっています。 たくさんの美術作品を、贅沢なカラーで鑑賞できますが、「鑑賞」とはどういうことなのか、ということをわかりやすく伝えています。 それも、風景画や人物画といったわかりやすいものだけではなく、ピカソ、抽象画、現代美術といった、一見鑑賞が難しそうな作品にも触れています。 美術は楽しいけれど、どう見てよいかわからない。ただ感じればいいのだろうか。など、抽象度の高い作品に関しては戸惑いがあるものですが、その点についても本書で触れていて、美術の鑑賞が「創造的」となるための道筋を示してくれています。 日本人は、知識を通してものを見てしまうことがあって、美術に関しても、美術史や作家論といった、小難しい知識を通してでしか「正しい解釈」というものはありえないという風潮があります。 しかし、本書では「知識」が逆に鑑賞の妨げになりうる例もあげ、自由に、開放的に美術を鑑賞することで、見る人が美術から意味を創造していく可能性を伝えてくれます。 鑑賞に関しては、単純な問いかけを通して細部を見ていくというものですが、豊富な実例を挙げています。この実例が、教育をやっている身としては大変興味深く読めた点でした。子どもの鑑賞の仕方ももちろんおもしろいのですが、大学生が大人ならではの目線で卵の写実的な絵画を鑑賞する過程が特に面白いと感じました。 その絵から何を見るかはその人その人違うのですが、一人ひとりの発見が深い解釈につながり、より鑑賞の可能性を引き上げる。 これまで、「なんとなく心地よい」という程度の鑑賞しかできなかったのですが、ここまで細部を見つめ、検討し、意味を再生産する、ということが、一枚の絵からできるのかと、今後の美術鑑賞が楽しみになる本でした。
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「全てのことには正解がある」なんてことはない。そんなこと頭では分かっているつもりだが、なぜだか美術鑑賞をするときには「この見方は間違っているんじゃないか」とそんな風に思えてしまうのだ。そうして美術鑑賞という行為そのものから遠ざかってしまう。美術鑑賞には「正しいやり方」があるんだと...
「全てのことには正解がある」なんてことはない。そんなこと頭では分かっているつもりだが、なぜだか美術鑑賞をするときには「この見方は間違っているんじゃないか」とそんな風に思えてしまうのだ。そうして美術鑑賞という行為そのものから遠ざかってしまう。美術鑑賞には「正しいやり方」があるんだという考えは、意外と多くの人が無意識のうちに持っているのではないだろうか。 この本はそんな美術鑑賞の在り方から自分を解き放ち、より自由な鑑賞を提案してくれる。それは、目の前にある作品そのものを純粋に見つめ、そこから作品との対話を図るというやり方だ。作者や時代背景、美術史などもある意味では大事だか、一旦そこから離れ、今ここにいる自分が作品をどう見るかというところから出発することで、意外にも多くのことを読み取り、感じることができる。 ◼️p94 品のなかに意味が実体としてあるのであれば、それを読み解く正しい鑑賞があることになる。しかし、意味を作品と鑑賞者の相互作用によって生成するものととらえると、鑑賞は個々の鑑賞者の見方、とらえ方によってさまざまな可能性をもってくる。 作品と自分との間に言わば化学反応を起こすことで、その作品が他ならぬ自分にとって自分だけの価値を持つようになる。その面白さを本書は教えてくれるだろう。名著だと思う。
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学校での授業は「美術作品を鑑賞すること」が「美術作品の知識を得ること」にすり替えられている例がきわめて多い。そうではなく、美術鑑賞とは、美術作品を鑑賞者が独自の解釈で読み解いて楽しむ、「みる」という芸術行為であり、それはきわめて個人的で自由な体験である。思索的に作品を観るための手法として、VTS: Visual Thinking Strategiesを紹介している。 VTSって、すごく楽しそう。美術館に行って、作品をじっくり観たくなった。
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