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歌集 ひとさらい の商品レビュー

4.4

16件のお客様レビュー

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2024/02/10

なるほど。人を浄化するという意味を含んでいたのか。笹井の歌は不思議な絵を見ているようだ。読んでいるうちに、どこか別世界へ紛れ込んでしまう。いや、ほんまに。

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2023/09/24

まことさんのおすすめの歌集です。やっと読めました✩.*˚ 笹井宏之さんの歌は本当に素敵ですね。『えーえんとくちから』を読んだときと同じように、優しく透き通ったような歌の数々に、やっぱり好きだなぁと思いました。 病気を抱えながらも、その辛さを歌うのではなく、そこから羽ばたいて自然と...

まことさんのおすすめの歌集です。やっと読めました✩.*˚ 笹井宏之さんの歌は本当に素敵ですね。『えーえんとくちから』を読んだときと同じように、優しく透き通ったような歌の数々に、やっぱり好きだなぁと思いました。 病気を抱えながらも、その辛さを歌うのではなく、そこから羽ばたいて自然と一体となったように自由でのびのびとした歌は、とても心地よく癒してくれました。 以下、今の私の心に響いた歌です。 ○ねむらないただ一本の樹となってあなたのワンピースに実を落とす ○拾ったら手紙のようで開いたらあなたのようでもう見れません ○空と陸のつっかい棒を蹴飛ばしてあらゆるひとのこころをゆるす ○ふわふわを、つかんだことのかなしみの あれはおそらくしあわせでした ○この森で軍手を売って暮らしたい まちがえて図書館を建てたい ○ばらばらですきなものばかりありすぎてああいっそぜんぶのみこんでしまいたい ○人類がティッシュの箱をおりたたむ そこには愛がありましたとさ

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2023/07/09

現代短歌を駆け抜けた歌人、笹井宏之さんの第一歌集。まだ短歌歴が浅い時期の歌だから、伝えようというよりかは本人から溢れ出た言葉を率直に歌にしたものが多い気がする。それ故に凄い力を持った歌の数々が笹井さんの人生を表現しているようだった。

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2022/09/18
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

台風で風と雨がひどくなってきました こういう時は静かに歌集の感想を書くのに良い時間 『ひとさらい』の意味をご両親が解説されていて、私も浄化されたような気持になりました 一度読むとわからなくて 何度読んでもわかったようなわからないような 味わい深く幻想的な歌  なんだか優しくてあたたかい気持ちになれたり 誰かの秘密を知ってドキドキしちゃう感じ ああ、わかるうとうなずいたりする リフレインやひらがな表記が印象的 優しくなる歌 あたたかい電球を持つ(ひかってたひかってました)わかってます 失恋によって多くの人々が城を築いている春の夜 日めくりをはがすと君の顔が出る 身飽きないので出てもよろしい おりものにおられて届くどちらかといればあなたのようなぬくもり くだものをからだにいれて関東や関西のいとこに電話する ドキドキする歌 拾ったら手紙のようで開いたらあなたのようでもう見れません 錆び付いたボタンはむかし<緊急の時押して>って渡されたもの 国連でこたつを「強」にしていたらカナダから「弱」にされてしまった ああ、わかるう歌 この森で軍手を売って暮らしたい まちがえて図書館を作りたい からだにはいのちがひとつ入ってて水と食事をもとめたりする 右うでに左うでが生えてしまってせっかくだから拍手している

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2022/07/03

笹井宏之さんの短歌を知ったのはフォロワーさんのレビューが最初でした。 レビューを拝読してからだいぶ日がたってしまったのは、私の短歌ブームが自分の中できたのが、一昨年の冬からだったせいだと思います。 その後『あの人と短歌』という穂村弘さんの本で再会しました。 そして、この『ひとさ...

笹井宏之さんの短歌を知ったのはフォロワーさんのレビューが最初でした。 レビューを拝読してからだいぶ日がたってしまったのは、私の短歌ブームが自分の中できたのが、一昨年の冬からだったせいだと思います。 その後『あの人と短歌』という穂村弘さんの本で再会しました。 そして、この『ひとさらい』。 なんて、瑞々しい作風かと思いました。 そして、ちょっとユーモアもありますね。 多くのフォロワーさんが特別な歌人として、笹井さんのことを位置づけるのもよくわかりました。 この『ひとさらい』は第一歌集。 あとがきより引用 「短歌との出会いがどのようなものであったのか、よく覚えていません。ぼくにとって、文学とは遠い存在なのです。(中略)短歌をかくことで、ぼくは遠い異国を旅し、知らない音楽を聴き、どこにも存在しない風景を眺めることができます。あるときは鳥となり、けものとなり、風や水や、大地そのものとなって、あらゆる事象とことばを交わすことができるのです」 以上あとがきより引用。 夭逝されたのが大変惜しまれます。 特に好きだった歌を以下に。 ○ゆっくりと上がっていってかまいません くれない色をして待っています ○ふわふわを、つかんだことのかなしみの あれはおそらくしあわせでした ○風という名前をつけてあげました それから彼を見ないのですが ○コロンボさんのかみさんが亡くなってセリフが減少しています、警部 ○拾ったら手紙のようで開いたらあなたのようでもう見れません ○この森で軍手を売って暮らしたい まちがえて図書館を建てたい ○そうごんやりゅうれいなどを強引に巻き付けながらピアニカで愛 ○「とてつもないけしごむかすの洪水がくるぞ 愛が消されたらしい」 ○「すばらしい天気なものでスウェーデンあたりのひとになってます 父」 ○「いま辞書とふかい関係にあるからしばらくそっとしておいて。母」 ○にぎりしめる手の、ほそい手の、ああひとがすべて子どもであった日の手の ○晩年のあなたに窓をとりつけて日が暮れるまで磨いていたい ○うしなったことばがひざをまるくして(ことばのひざはまるいんですよ)

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2022/01/11

笹井宏之の読む世界では、"わたし"も"あなた"も"あらゆるもの"も"概念"すらも、いっしょにまじりあっているような感覚がある . フィリピンになるまでたたく乾電池(の中の電気)晴れますように ....

笹井宏之の読む世界では、"わたし"も"あなた"も"あらゆるもの"も"概念"すらも、いっしょにまじりあっているような感覚がある . フィリピンになるまでたたく乾電池(の中の電気)晴れますように . どういうこと???フィリピンに成る?鳴る?乾電池の中の電気が大事?晴れますように?ってことは今は悪い天気ってこと? … フィリピンの天気を調べてみると、、日本より過ごしやすく、リゾート地のセブ島では通年晴天に恵まれる。このイメージになりたいってこと? … そうなると、電気が雷を、雷が大雨を連想させる。なんだか、乾電池(この場合、私自身?)に異常があり、たたいて無理矢理直そうと(雨→晴れにしようと)しているようにもみえてくる。 晴れますように…と「祈る」←悲壮感、無力感が漂う、のに対して、「たたく」に含まれる暴力性。がむしゃらに直そうとはしているけど、ついにはあきらめ祈るしかないような、そんな物悲しさもある。 見てる世界が変わるような短歌たちだと思う . みんなさかな、みんな責任感、みんな再結成されたバンドのドラム

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2021/03/11

初めての詩集。 すごく、すごく、優しいものも、 なんだか表現がグッとくるものも、 少し怖いものもあって、 だけど、言葉がポツポツ落ちてくる感じでよかった

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2021/02/10

笹井宏之さんの、第一歌集。このひとの世界観、歌、すべて好き。なかでも、特に自分の、お気に入りの歌を、探し出すのが、楽しかった。付箋でいっぱいになった。書き出してみる。厳選する。 水びたしの灰色猫が現れて流星の尾に噛みつくところ 初めての草むらで目を丸くして何かを思い出して...

笹井宏之さんの、第一歌集。このひとの世界観、歌、すべて好き。なかでも、特に自分の、お気に入りの歌を、探し出すのが、楽しかった。付箋でいっぱいになった。書き出してみる。厳選する。 水びたしの灰色猫が現れて流星の尾に噛みつくところ 初めての草むらで目を丸くして何かを思い出している猫 滝までの獣の道を走り抜けあの子は歌手になるのでしょうね 山鳩の姿をみたい一心で走る 絶対評価 ファゴット 北極のパン屋さんには夏という商品があるらしいと聞いた 三万年解かれなかった数式に雪を代入する渡り鳥 東洋の魔法を知ったひとびとが祖父母にみせている紙の鶴 どうしても声のかわりに鹿が出る あぶないっていうだけであぶない 金の鼻輪をもってわたしたちがすでにたどりついていた唯一無二のオアシス いつもより遠心力の強い日にかるくゆるめたままの涙腺 ああっ詩が、戦後観測史上初おおあめとなり稲を育てた 「あの、それはドアではなくて空です」と うろたえながらメガホンをとる 白米をもんしろちょうとおもいこむ催眠術をあみだしました どんなひともひかりのはやさたもってる みえたしゅんかんにみえてしまう 「ねえ、気づいたら暗喩ばかりの中庭でなわとびをとびつづけているの」 受話器からリラックスがあらわれたのでとりあえず理由をきいている 影ふみのつよい人にはたくさんの影をあたえて踏ませればよい 軽蔑をはじめて軽蔑おわるまで真っすぐ地平線をみている 、、、よくわからない、不思議な歌が、多いです。それが、感性に刺激をあたえてくれる、快感を感じ、面白いのです。何度も読み返すことと思います。笹井宏之さん、稀有な歌の数々を作って頂いたこと、ありがとうございました。

Posted byブクログ

2021/02/02

笹井宏之さんが生前に出した第一歌集。 「拾ったら手紙のようで開いたらあなたのようでもう見れません」 「足元はやっぱり道で。どこかへと通じている道で、どこですかここ?」 「天井と私の間を一本の各駅停車が往復する夜」 「晩年のあなたに窓をとりつけて日が暮れるまで磨いていたい」...

笹井宏之さんが生前に出した第一歌集。 「拾ったら手紙のようで開いたらあなたのようでもう見れません」 「足元はやっぱり道で。どこかへと通じている道で、どこですかここ?」 「天井と私の間を一本の各駅停車が往復する夜」 「晩年のあなたに窓をとりつけて日が暮れるまで磨いていたい」 あとがき から 短歌をかくことで、僕は遠い異国を旅し、知らない音楽を聴き、どこにも存在しない風景を眺めることができます。 あるときは鳥になり、けものとなり、風や水や、大地そのものになって、あらゆる事象と言葉を交わすことができるのです。 短歌は道であり、扉であり、ぼくとその周囲を異化する鍵です。 ・・・・ それは一種の瞑想に似ています。どこまでも自分のなかへと入ってゆく果てしのない。 風が吹く、太陽が翳る、そうした感じで作品はできあがってゆきます。 本当に素晴らしい世界だと思います。 だけど、自分で本当に一句一句が理解出来ているかは、全く分りません。 何度も読み返したいと思います。

Posted byブクログ

2020/06/11

重度の身体表現性障害を抱え、26歳で夭逝した歌人の第一詩集。先日読んだ第二歌集「てんとろり」よりもこちらの方が好きな雰囲気の歌が多かったです。ミュージックと癒しと棘が混ざり合ってる感じ。

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