時間の終焉 の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
過去も未来もなく今しかない。物理学者と仏教の識者が達した結論について述べた本である。 物理学では「時間はない」は科学的にゆるぎのない事実として認められている。実は仏教でもそれは同じことだという。 本書を読んでいるとあらゆる事が再定義されていく。時間、宇宙、瞑想、慈悲。どのように語られているのかは本書の言葉から受け取ってほしい。 本書は一見禅問答の様にみえる。あっちにいき、こっちにいき。堂々巡り。つまるところ、私達が使っている言語では表現するのが難しい。ひところでは言い表せない。そこに真実があるということなのか。 本書の中でも述べられているが、知識を貯めるのではなく捨てることが大事。本書を読み進めるにも、これまでの知識が邪魔になるのは間違いない。そういう気持ちで読むことをおすすめする。
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仕事でもプライベートでも、人と話をしていて、 どこかかみ合わない、対立している、と感じることがある。 大抵の場合、無理やり論点を戻そうとしたり、 どちらかの論理の矛盾を突こうとしたり、 逆に対立を避けてあいまいな妥協をしたりして、 対立しても妥協しても、結構なストレスである。 ...
仕事でもプライベートでも、人と話をしていて、 どこかかみ合わない、対立している、と感じることがある。 大抵の場合、無理やり論点を戻そうとしたり、 どちらかの論理の矛盾を突こうとしたり、 逆に対立を避けてあいまいな妥協をしたりして、 対立しても妥協しても、結構なストレスである。 しかもその結果、表面上は合意しても協力が得られない、とか 中途半端な結論のため途中でやり直し、ということになり、 それまでの話し合いの労力は無駄になってしまう。 MITでまとめられた「ラーニング・オーガニゼーション」、 そこで使われるコミュニケーション手法「ダイアログ」は、 上記のような無意味な話し合いではなく、 調和、洞察、コミットメント、協力を生み出す対話の手法である。 この本は、そのダイアログの手法を生み出したデビッド・ボーム博士と、 インドの思想家のクリシュナムルティの対話である。 対話の内容は、人は思考それ自体の性質のために、 考えれば考えるほど誤った方向に進んでいる。 これらを捨てて、無、空をさらに越えるには・・・というもので、 とても言葉では説明できない内容である。 言葉にできない、言葉にした時点で誤りとなるような内容だからこそ、 通常の論理的議論では扱えず、新たな対話の手法が生まれたのだろう。 ダイアログの理論面については、ボーム博士の著書「ダイアローグ」で 知ることができるが、本人の実践を読むことは、知ることから分かることに 変わるための貴重な体験になると思う。
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クリシュナムルティにはずっと関心がなかったが、たまたまあるきっかけがあって興味を持った。 一読してなるほどと思ったが、彼の言うことをどのように実践していいのかまったくわからない。いや、クリシュナムルティはそれを語っているのだが、あまりにも漠然としていてひとりで実践するのは不可能だ...
クリシュナムルティにはずっと関心がなかったが、たまたまあるきっかけがあって興味を持った。 一読してなるほどと思ったが、彼の言うことをどのように実践していいのかまったくわからない。いや、クリシュナムルティはそれを語っているのだが、あまりにも漠然としていてひとりで実践するのは不可能だと思われるのである。クリシュナムルティの言う瞑想に近いものが禅であると分かってからは禅に興味をもつようになった。 クリシュナムルティはこの一冊を読めば必要十分なんじゃないかと思っている。これ以上のことを語ることはできないと思うし、ここまで語ってしまったら、あとは別の視点から同じことを語るしかないのではないかと思うので。つまり、この本に触発されて、彼の他の本も読んでみようと言う気にはならなかったということなのだ。 でもつまらなかったというわけでもない。むしろ衝撃を受けたと言っていいだろう。あとは実践するのみであると思う次第。
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