ユートピアの崩壊 ナウル共和国 の商品レビュー
ナウル共和国。バチカン市国、モナコ公国に続き、世界最小の共和国ということで名前は知っていた。南洋の穏やかな国のイメージをもっていた。 その歴史がこんなショッキングなものとは。 良質なリン鉱石が採れたばかりに、島全土で乱開発が進み、1人あたりGNPが日本が1万ドル弱、米国1万4千...
ナウル共和国。バチカン市国、モナコ公国に続き、世界最小の共和国ということで名前は知っていた。南洋の穏やかな国のイメージをもっていた。 その歴史がこんなショッキングなものとは。 良質なリン鉱石が採れたばかりに、島全土で乱開発が進み、1人あたりGNPが日本が1万ドル弱、米国1万4千ドル程度だった1980年代初頭に、ナウルは2万ドルを誇るまでになった。 漁業による自給自足の経済から、突然、リン鉱石の輸出により何もしなくてもベーシックインカムで金が勝手に口座に振り込まれるように。 だから、働いて稼ぐことを知らない。 一周30分で回れる狭い国土に不要だと思える高級外車を買い漁り、食事は外食しか行わなくなり、海外にショッピングに出向き散財した。 リン鉱石が枯渇し、国に唯一あった国立銀行も破綻して預金の引き出しも出来なくなった今では、 働いて稼ぐ経験をしたことがない彼らは、生きていくには漁業による自給自足の生活に逆戻りするしかない。かつての遠い祖先が行っていたように。 富は失っても、いまだにダントツで世界一の肥満国(2008年のWHOの調査によると、国民の79%が肥満)であり、多くの国民が糖尿病で苦しむ。
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本書の筋や主張は読んでもらったらわかると思うが、へーっておもったことの一つは日本が様々な国に経済援助をしていることの理由の一つは捕鯨の、国連での議会での承認を得るためなんだ、ってこと。
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1970,80年代頃に世界一の一人あたりGDPを享受したオセアニアの島国が、政府高官が自分の食事のために釣りをしなければならなくなるほどの最貧国に転落するまでのルポ。 渡り鳥の中継地点にあったナウル共和国は、渡り鳥の分が蓄積し、グアノというリン鉱石(肥料になる)が大量に蓄積され...
1970,80年代頃に世界一の一人あたりGDPを享受したオセアニアの島国が、政府高官が自分の食事のために釣りをしなければならなくなるほどの最貧国に転落するまでのルポ。 渡り鳥の中継地点にあったナウル共和国は、渡り鳥の分が蓄積し、グアノというリン鉱石(肥料になる)が大量に蓄積されていた。(同じくグアノが蓄積していた南米の地域でも街が一気に出来て、一気に寂れて、ということがあったようだ。「空気を変える錬金術」参照のこと。) リン鉱石の輸出で超大金持ちに。大学留学無料、病気になったらオーストラリアの病院に無料で入院、家のトイレ掃除も国が家政婦を手配してくれる、くそ小さい島なのに一家に何台も車、その車もちょっと故障したら人にあげてしまう、オーストラリアドルをティッシュペーパーに、、、というように、最盛期には成金、バブルという言葉も生やさしいような状態だったらしい。 リン鉱石を売ってできたお金を元手に、海外投資ラッシュ。メルボルンの再高層ビルをたてたり、病院を買収したり、オセアニア最大の航空会社を所有したりしていたようだが、コンサルや金融屋さんがたかり、スイスやバミューダ海峡あたりの銀行やらを通して元本さえもあた方もなく消えたらしい。 リン鉱石がそこをついてきてからは、マネーロンダリングしやすいようにして汚いカネが流れてくるようにしたり、密造パスポートを売ったり、オーストラリアが国外退去させたい難民を受け入れる代わりに財政支援を取り寄せたり、まぁ、超ブラック国家に。。。 しかも何もしなくても大金持ちになる経験をしてしまって体動かす習慣がなくなってしまったがために、なんと世界一の肥満率を誇っているようで、島唯一のお医者さんでさえも糖尿病だという。ちなみに肥満率は78.5%。あの超肥満大国USAでさえ30~35%というから驚きだ。 資源に依存して苦労せずに金が入ってきても碌なことにはならんね
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ナウル共和国という島国が繁栄し崩壊へ至る過程とその状況、人々の生活が丁寧に描かれていた。自分の日々の生活を振り返る必要性を感じた書籍である。 特に文化が失われることの危険性を改めて実感した。リン鉱石資源の輸出により、経済的に繁栄したのだが、急速に文化が衰退した。職への関心、食...
ナウル共和国という島国が繁栄し崩壊へ至る過程とその状況、人々の生活が丁寧に描かれていた。自分の日々の生活を振り返る必要性を感じた書籍である。 特に文化が失われることの危険性を改めて実感した。リン鉱石資源の輸出により、経済的に繁栄したのだが、急速に文化が衰退した。職への関心、食生活の変化。それによる糖尿病。ナウル共和国と同じ健康状況がドバイにも表れている指摘は驚くべきものだった。 日本が同じような状況にはならないと思われるとの記載があった。日本が同じような変化を起こさないように、また自分自身がそうならないように文化を大切に生活したいと感じた。
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かつてリン鉱石の産出地として富を築いた小さな島国、ナウルの歴史。 歴史書というよりは歴史を説明しつつの紀行文っぽいかも。 ナウルは珊瑚礁にたまった鳥の糞(が変化したリン鉱石)が土台の島。 リン鉱石によって一時は莫大な富を築いたが、資源の枯渇によって衰退する。 ナウルのやりかた...
かつてリン鉱石の産出地として富を築いた小さな島国、ナウルの歴史。 歴史書というよりは歴史を説明しつつの紀行文っぽいかも。 ナウルは珊瑚礁にたまった鳥の糞(が変化したリン鉱石)が土台の島。 リン鉱石によって一時は莫大な富を築いたが、資源の枯渇によって衰退する。 ナウルのやりかたはどうにも場当たり的だ。 永遠に掘削を続けることはできないと理解していたにもかかわらず、無謀な投資をしたりひとつの産業に依存し続けるところを見ると、もっとうまくやれないものかと思う。 が、石油やチョコレートやダイヤモンドに共通する、先進国の搾取やら上層部の無駄遣いやらを見ると、「ナウル人がのんびり屋さんすぎるから」とは言えない。 バブルで浮かれちゃったり、先より今を楽しんだりするイメージは「おのぼりさん」や「お人よし」っぽい。 逃げ場のない狭い島の中で生きていくには明るくなるか暗くなるかしかないのかもしれないとも思う。 どうにもならないがゆえの「どうにかなるさ」 「ナウルのこと」ではなく「ナウルの例(他山の石)」として読んでしまうのが悲しい。 自分も、多分著者や訳者も。 悪くないんだけど所々著者の視点がナチュラルに支配者側思考。 フランス人だから仕方ないのか? あと訳者が履歴を見ると紹介したいものを訳す意志をもってやってるっぽい。 それ自体は良いんだけど、著者へのインタビューではそれが悪く表れてしまっている。 自分の聞きたいことを言わせようとしているみたいで嫌だ。 「著者も指摘しているように」ってそれお前が言ったセリフだろうが。
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ナウル共和国は太平洋に浮かぶ小さな島。人口一万人程度で世界有数の小さな国は、島内で産出されるリン鉱石のために他の国とは異なる歴史を持つ。ナウルのリン鉱石は純度が高く化学肥料の原料となるため、土壌の痩せているオーストラリアの農業に欠かせないものだった。諸外国の支配から脱し、共和国の独立に成功したナウルは、以降リン鉱石の輸出がもたらす莫大な資金を湯水のごとく使った。労働することをやめ、海外の不動産を買いあさり、農業をやめて食料品をすべて輸入に頼るという有様。しかし、やがてリン鉱石は枯渇したため資金の流入が止まり、かつての世界一裕福な国は、難民の受け入れやマネーロンダリングで食いつなぐ最貧国へと転落した。絵に描いたような現実は、アリとキリギリスみたいな話だ。その前に気付けよと思ってしまうが、今の日本の政治が閉塞状態でなかなか有効な手が打てないのと同じように、当事者は遠い未来まで見通すことが出来なかったのだろう。 リン鉱石の発掘と輸出再開に国の再起をかけるが、国民の5人に4人が糖尿病を煩うなど目の前の課題も多いとのこと。
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人口減や政治の失敗によって国が消滅する可能性も十分ありうることが、実話に基づくだけに非常に良くわかった。
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