ディスコ探偵水曜日(下) の商品レビュー
舞城王太郎『ディスコ探偵水曜日』読了。 初の舞城作品だったが、最初は独特の文体に苦戦、しかし100ページも読む頃にはすっかりハマってしまった。リズムさえ掴めば非常に読みやすい。そしてこの作品は何より収集がつかないのではないかと思うほどにあらゆる方向に物語が発散していく。幼い子ど...
舞城王太郎『ディスコ探偵水曜日』読了。 初の舞城作品だったが、最初は独特の文体に苦戦、しかし100ページも読む頃にはすっかりハマってしまった。リズムさえ掴めば非常に読みやすい。そしてこの作品は何より収集がつかないのではないかと思うほどにあらゆる方向に物語が発散していく。幼い子どもに未来の少女が「入ってくる」というSFのような展開を見せたと思えば、中学生の意識だけが抜かれる怪奇事件も起き、そしてパインハウスなる建造物に十数名もの名探偵たちが集い一つの変死事件に対して推理合戦を行う。その全てに振り回されながら、それでも中心に居続ける迷子探し専門の米国人探偵ディスコ・ウェンズデイ。物語は世界や宇宙、心や時間を飛び越えて縦横無尽に踊り狂う。それなのに、読み終わった頃にはその整然と処理され収束しきった神話のような物語にガツンと殴られ、もはや何を感想として残したらいいのかわからない。 初読みでもわかるのはこれが舞城王太郎の集大成だということだ。いくつかの著作の登場人物の名を知っていれば、彼らの名を借りた人物がこの『ディスコ探偵水曜日』にも登場することが判る。同時に、彼らが同一人物ではなくて、この物語が独立していることも判る。だが、ミステリの文脈で文学や人生、世界を描いてきたと思われる舞上の作風はこの作品にて大きな着地点を見出したのではないかと思う。だから、舞城を追ってきた人にはきっと僕以上に堪らなく面白いと感じる描写や展開があるのかもしれない。 この作品は近年、第五の奇書として称され始めた。それは探偵小説三大奇書や第四の奇書『匣の中の失楽』へと続く黒い水脈として受け止められる表現の仕方だが、おそらくそれは違う。この作品は確かに奇書と言っていいほどに「ぶっ飛んでいる」が、それはおそらく第五にしてこれまでとは全く違う次元の「第一の奇書」なのかもしれない。新たな頁を開く長大なスケールの物語として、この物語は位置づけられたのではないか。 しかし、そんなことすらももはやどうでもいい。ただ面白くて最高、そういう小説だった。
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久しぶりにこの作者の本を読んだけれど相変わらずのスピード感。上・中・下と割と長いのに全くそれを感じさせなかった。沢山のキーワードと大量の文脈があったけれどあまり混乱せずに最後まで読めたな。内容は読んだらわかるというかスケールがでかすぎる話。主人公ディスコも面白い奴だったけど水星C...
久しぶりにこの作者の本を読んだけれど相変わらずのスピード感。上・中・下と割と長いのに全くそれを感じさせなかった。沢山のキーワードと大量の文脈があったけれどあまり混乱せずに最後まで読めたな。内容は読んだらわかるというかスケールがでかすぎる話。主人公ディスコも面白い奴だったけど水星C、お前最高に面白い奴だよ。
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ストーリーに面白いところもあるんだけどね、何しろSF的なところが分からん、というか理解しようという気持ちになれないのよ。どこらへんまで推理なのか、推理の前提のSF的なところが頭が固くて追いつけないのか。まぁ何にしても分からん。 しかし水星のオールラウンダーっぷりが半端なくて、これ...
ストーリーに面白いところもあるんだけどね、何しろSF的なところが分からん、というか理解しようという気持ちになれないのよ。どこらへんまで推理なのか、推理の前提のSF的なところが頭が固くて追いつけないのか。まぁ何にしても分からん。 しかし水星のオールラウンダーっぷりが半端なくて、これに比べればいちいち言い訳ばかりの水曜日はヘタレでしかなく、水曜日がのび太なら水星はドラえもんであって、そうなるとなぁ、インチキじゃんてなるけどまぁのび太ものび太なりに頑張った。
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『好き好き大好き超愛してる。』でみせた「愛は祈りだ。僕は祈る。」の信念を、言葉だけでなく実践してみせた、怪作にして舞城の最高傑作。 序盤は村上春樹的な奇想のロードムービーをやり、中盤ではがっつり密室モノのミステリをしつつ序盤の奇想までもを伏線として回収してゆく。大勢の"...
『好き好き大好き超愛してる。』でみせた「愛は祈りだ。僕は祈る。」の信念を、言葉だけでなく実践してみせた、怪作にして舞城の最高傑作。 序盤は村上春樹的な奇想のロードムービーをやり、中盤ではがっつり密室モノのミステリをしつつ序盤の奇想までもを伏線として回収してゆく。大勢の"名探偵"たちによる壮大な推理合戦は、その論理が披露されるごとに新たな真相がアップデートされてゆく。この感じは麻耶雄嵩が『翼ある闇』で試みたそれと近いものがあるのだけど、本作においてはその推理は十三回にもおよび、長大だ。「名探偵は必ず真相を解き明かすがゆえに名探偵である」という循環論理はメタ的には真理で、そのことにさえ自覚的な名探偵たちは「自らが真相を創っている」という考えにいたる。かくして世界は人が思うような姿で在り、それぞれの世界観のつながりのなかで揺らいでいるというさまを解き明かしてゆく。密室の謎を解くことが、世界の成り立ちの謎へと接続する。 超常を一つ一つ許容してゆくごとに世界が拡張してゆくさまはまさに快楽で、下巻では論理のインフレが次第にディストピアSFへと変幻する。 迷子探し専門の探偵、ディスコ・ウェンズデイが子攫いのキャッチャー・イン・ザ・ライになるまでを描く一代記。すなわち愛の実践。
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中巻の続きから始まらない上になかなかエグい展開だと思ったら、ディスコの現実逃避! でも、読み終わってから振り返ると、これも後の展開につながってる。 未来のディスコの「よう、これが合図だ。動き出せ。踊り出せよディスコテック。急いでな。恐怖に立ちすくむような贅沢なんて、お前にはもう許されてないんだ」って台詞が好き。そして、未来のJJに会ったあたりからさらに面白くなってきた。上巻、中巻の内容がちゃんと活かされているのがいい。というかよくこんなの考えたなー…。 ハッピーエンドといえるのかわからないけど面白かった。
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ようやく読み終えた。。一体これは何小説だったのだろうか?全くわからない・・巷では第五の奇書?とも云われるらしいが...
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このミスベスト10、2009年版9位。これは難しすぎ。上巻はすごく面白くって期待が膨れるんだけど、だんだん話がでかくなるとともに難解になってくる。中巻あたりからしんどくなってきて下巻は苦痛。さっぱり理解できません。これって、きちんと意味をなしてるんだろうか。哲学うんちく系のやつみ...
このミスベスト10、2009年版9位。これは難しすぎ。上巻はすごく面白くって期待が膨れるんだけど、だんだん話がでかくなるとともに難解になってくる。中巻あたりからしんどくなってきて下巻は苦痛。さっぱり理解できません。これって、きちんと意味をなしてるんだろうか。哲学うんちく系のやつみたいに悶絶しかけました。無駄に時間がかかってしまったし自分的には評価低いんだけど他の人の感想がとても気になる。
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うぁ~また『九十九十九』的なアレかぁ……とまず思った。パインハウス内で名探偵たちが次々と推理を披露して死んでいくところは冗長というか、事がどのように収束していくのかまったく予想できないだけに苦痛としか言えなかった。そうして長いイントロダクションが終わってやっと本編……みたいな。こっちはわりと楽しめたかな。 幼児への性的虐待を許容し、そのうえで現在よりも繁栄する〈未来〉っていう世界設定がこの上なく舞城王太郎っぽくあり、そんなでも不思議とリアリティがある。子どもの犠牲に成り立つ世界というのは、けど考えてみれば現在ともそう大差ないのかもしれない。 けどやっぱ、なんか希薄なんだよな。梢ちゃんにしろ小枝ちゃんにしろ、その想いっていうのが言葉だけというか、あくまで〈設定〉であって、まあそこまでイっちゃってるのが面白いんだろうけど……長篇になると重心みたいなものが計れなくてふわふわ~っと漂うような味気なさを感じてしまうのだ。舞城は。 ディスコ・ウェンズデイって世界を変えるために闘志を燃やすようなタイプじゃない。絶対。納豆でも豆腐でもどっちでもいいやつだと思う。
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『ドグラマグラ』のように堂々巡りし、『黒死館殺人事件』のように奇想夢想蘊蓄がゴージャスに詰めこまれ、『虚無への供物』のようにメタメタしく人を食った一大衝撃小説。 ついでに終わり方は『ナルニア王国物語』を思い出した。 こんなものよく書けるな。凄まじい。 と、感心はしたけれど、途中...
『ドグラマグラ』のように堂々巡りし、『黒死館殺人事件』のように奇想夢想蘊蓄がゴージャスに詰めこまれ、『虚無への供物』のようにメタメタしく人を食った一大衝撃小説。 ついでに終わり方は『ナルニア王国物語』を思い出した。 こんなものよく書けるな。凄まじい。 と、感心はしたけれど、途中のディスコが時空を好き勝手しはじめたあたりから正直気持ちはさめてしまった。 何でもありすぎてどうでもよくなったと言うか。 それにディスコと小枝が最後まで好きになれなかった。 どうしても「親の気持ち」を考えてしまう。 熱狂的な子供好きの、けれど「親」ではない男(その子供の成長した姿とセックスする夢を見るような)が 「俺が幸せにしてあげるから!」と独断で自分の子供を拐い、どこかにやってしまうって、悪夢だ。 それに子供の意思は? 新しい世界で本当に幸せなの? 崇高な目的があったって、結局ロリコンの誘拐犯そのものじゃない。 そう思ってしまう。 ディスコの掲げる正義と愛が好きになれない。 一番外側にある《好き嫌い》の問題。 水星Cは『ブラック・ジョーク』の小玉で、双子世界は佐々木マキの絵で思い浮かんだ。 頭を引っ張り回される、記憶に残る読書だった。
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「世界観なんて大抵は多数決で決まり、世界なんて大体が多数決で作られてるのだ。ほとんどの人間は世界観についても自分では考えず人任せにしているし、多数が信じることを自分も信じるし、それで問題がないのだ。」 世界観に付いていけないままに3巻読み終わった。
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