破壊する創造者 の商品レビュー
読んだ ウィルスと進化論の基本的な知識、新しい関係がわかった。自己免疫疾患と癌の章は難しかったけど、他は楽しめた
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上橋菜穂子先生の推薦書。 題名がウイルスに寄っているが、ウイルスとの関係も含めた生物の進化について、様々な方向からの研究を元に論を展開している。理解するにあたり、多少なりとも生化学や微生物学をかじっていて良かった。 科学的な研究そのものについて、進化論の変遷など、予期していなかっ...
上橋菜穂子先生の推薦書。 題名がウイルスに寄っているが、ウイルスとの関係も含めた生物の進化について、様々な方向からの研究を元に論を展開している。理解するにあたり、多少なりとも生化学や微生物学をかじっていて良かった。 科学的な研究そのものについて、進化論の変遷など、予期していなかったところでも面白かったが、やはりウイルスとの共進化についての部分が興味深かった。自分に深い知識がない分、どの説もあり得そうに思えてわくわくした。
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ウイルスと宿主の共生が互いの進化の推進力となっているのではとの仮説を中心に、異種交配やエピジェネティクスなど、突然変異「以外」の推進力につき最新(2009年当時)の研究を紹介していく仕立て。 著者は医師であると同時に自身も論文を出しているような研究者なのだが、この本の書きぶりは...
ウイルスと宿主の共生が互いの進化の推進力となっているのではとの仮説を中心に、異種交配やエピジェネティクスなど、突然変異「以外」の推進力につき最新(2009年当時)の研究を紹介していく仕立て。 著者は医師であると同時に自身も論文を出しているような研究者なのだが、この本の書きぶりはサイエンスライターに近い。自分の仮説の周辺の研究を、研究者にインタビューしながら解説していく。 ただウイルスとの共生だけにとどまらずエピジェネティクスや医療への応用にまで風呂敷を広げすぎて、細部の掘り下げが物足りない。と言うか、こんなすごい話がある、あんな驚きの話もある、と書きながら、なぜすごいのか、なぜ驚きなのかは教えてくれないような感じ。まだぜんぜん仮説の段階の学説を紹介しているので、やむを得ないところもあるのだろうけれど。著者は「今までの常識には反する考え方」と言うが、素人向けにもう少しどこがどう今までの常識と違うかを丁寧に整理してほしかった。ウイルスや微生物のあいだでの遺伝子の水平伝播なんかはそこまで目新しい話でもないと思うし。。。個人的には、生物の遺伝子の中にあるウイルス由来の遺伝子が再活性化することや、異種交配がそんなに珍しいことではないなどは、今まで知らなかったことであった。あとエピジェネティクスが遺伝するなんて話は、なんだか理屈がわからない(生殖細胞に働かないといけないよね?)ので、そこを解説してくれればよかったのに。 あと、語り口が冗長なので少し飛ばし読みする感じになる。訳はどうなんだろうな、とも思う。また索引がないのも不満。中途半端な用語解説とかつけられても役に立たいのですが。文句が多くてすみません 書かれているテーマそのものは刺激的だと思うので、たとえば義務教育レベルの進化論くらいしか知らない人が読んだら「へー」となるかも。 あと時節柄、ウイルスの「弱毒化」についても考えさせられた。ウイルスの生存には宿主をバンバン殺すと不利なので共生する方向に向かいやすいのは確かだが、「弱毒化」の過程には宿主の淘汰も含まれうるわけですな。。。
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新型コロナウイルス感染が大変な状況になっていますが、ウイルスについて、あまりに知らないと思い、手に取りました。ウイルスがヒトの進化に大きな影響を及ぼしたのではないかという本。ウイルスは敵だと思っていたのに、何?っていう感じですが、これが面白い。 これまで知らなかったのですが、ヒ...
新型コロナウイルス感染が大変な状況になっていますが、ウイルスについて、あまりに知らないと思い、手に取りました。ウイルスがヒトの進化に大きな影響を及ぼしたのではないかという本。ウイルスは敵だと思っていたのに、何?っていう感じですが、これが面白い。 これまで知らなかったのですが、ヒトのゲノムの中には、ウイルス由来のゲノムが多く残っているというのです(「内在性レトロウイルス」と呼ぶそうです)。その割合は、全ゲノム中の9%。1割に過ぎませんが、そもそも遺伝子としての機能がわかっているのは、全ゲノム中の1.5%だけなので、それに比べると、かなり多いのです。 今回の新型コロナウイルスや、AIDSのように、人類は、これまで、何度も、ウイルスの大感染に見舞われながら、その感染を生き延びてきた訳ですが、内在性レトロウイルスは、その大感染を起こしたウイルスが、ヒトゲノムに侵入し、内在化したものではないか。つまり、幾多の大感染の「痕跡」が、われわれのゲノムの中にあるというのです。えっ、われわれのゲノムの中に、ウイルスが入り込んでいる? 確かに、ウイルスの立場にたつと、自分の遺伝子を残すための戦略としては理解できる。ヒトゲノムの中に内在化されれば、感染に強いヒトの子孫に、自分の遺伝子を残し続けることが出来るからです(ウイルスは生物かどうかという議論はありますが)。 この本の面白いところは、ウイルスの内在化は、ヒトも含めた宿主側の進化にも意味があったのではないかというところです。 事例としてあげられていた1つは、胎盤の進化です。哺乳類にとって、胎児を育てる胎盤は、非常に大事です。胎盤は、胎児と母体の血球の行き来を遮断しながら、栄養を与えるというスゴイ組織です。そのため、細胞膜を無くして、複数の細胞が融合された膜状の組織が存在する。この「細胞膜を無くす」という機能の発現に、内在性ウイルス由来の遺伝子が貢献しているというのです。 進化論の「突然変異 ⇒ 自然選択」というのが、なんともピンとこないなぁと思っていましたが、ウイルス感染に強い個体が生き残り、しかも、ウイルスの力も借りて機能的に進化する。イメージとしては分かる感じはしました。今回の新型コロナウイルスや、AIDSなどのウイルスも、いつの日か、内在化されるのか?そんなことを想像すると、不思議な感じがします。 YH
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
ダーウィンは偉大。身体はレトロウイルスでてきている!といっても過言ではない。 今では少し古い本になってしまったが、冬休みにじっくり読むのに良い本でした。面白かった。 P.404の図5:進化の推進力の比較がこの本のすべての要約です。
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生命の進化は進化論で説明できる。 それは確かにその通りですが、しかし実際の進化はそんなに簡単に説明できるものではなさそうです。進化論で語られる進化の「木」はよく進化論の説明で見られるような簡単な、一本調子に枝が広がる「木」では無く、実はその枝が複雑に絡み合いながら広がっている木の...
生命の進化は進化論で説明できる。 それは確かにその通りですが、しかし実際の進化はそんなに簡単に説明できるものではなさそうです。進化論で語られる進化の「木」はよく進化論の説明で見られるような簡単な、一本調子に枝が広がる「木」では無く、実はその枝が複雑に絡み合いながら広がっている木のようです。 副題にもなっていますが、この本の大きなテーマはウィルスがどのように生命の進化に絡んでいるのか、という点です。ウィルスが進化に?俄には信じられないですが、我々の DNA には間違いなくウィルスの DNA が混じっているのです。 言われてみれば人間も他の動物もウィルスも、化学物質の合成物に過ぎません。自分と他者を区別できる、とはいえ、分子レベルで見たら同じです。だったら相互に混じり合うことがあってもおかしくない。。。凄いですね。 生命の不思議と驚異をあらためて感じさせられた1冊でした。
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自分にとっては画期的な本。進化とは遺伝子の突然変異と自然淘汰によるもの、と思っていた無知を恥じる。 ウイルスが共生し遺伝子の組み換えや種を超えた伝搬が頻繁に起こっていること、そして遺伝子の発現の制御エピジェネティクスによって同一遺伝子でも個体が違ってくることが具体的な例を挙げて紹...
自分にとっては画期的な本。進化とは遺伝子の突然変異と自然淘汰によるもの、と思っていた無知を恥じる。 ウイルスが共生し遺伝子の組み換えや種を超えた伝搬が頻繁に起こっていること、そして遺伝子の発現の制御エピジェネティクスによって同一遺伝子でも個体が違ってくることが具体的な例を挙げて紹介されている。 これはタイトルで損をした本ではないか。 原題のVirolution は Virus + Evolution ということで、副題のウイルスが人を進化させたというのがそもそものタイトル。破壊する創造者、は内容をうまく表してはいるが煽り過ぎでトンデモ本の匂いがしてしまう。
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ウイルスの遺伝子がヒトの遺伝子に組み込まれたとか、ウイルスによる遺伝子の水平伝播という話はなんとなく知っていて、その辺を詳しく知りたいと思って読んだのだが、かえって混乱した。 現在進行形の研究だからなのかもしれないが、誰々からこういう話を聞いたとか、こういう論文が発表されたという...
ウイルスの遺伝子がヒトの遺伝子に組み込まれたとか、ウイルスによる遺伝子の水平伝播という話はなんとなく知っていて、その辺を詳しく知りたいと思って読んだのだが、かえって混乱した。 現在進行形の研究だからなのかもしれないが、誰々からこういう話を聞いたとか、こういう論文が発表されたというエピソードの積み重ねで、ポイントがうまく理解できない。翻訳ものの科学書によくあるパターンで、厚い本なのでけっこうしんどかった。ポイントを絞った本を読みたいものだが・・・
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人間はウイルスによって進化してきたという内容。関心させられたり驚かされたりで良書でした。「迷惑な進化」シャロン・モレアム著も合わせておすすめです
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「鹿の王」の著者が参考にしたと解説に書いてあったので。 難しすぎた。 最初の用語解説からちゃんと読んだけど、 それでもわからなかった。 面白かったのは、 新たな動物とウイルスが出会い、 その動物をほとんどを殺してしまった後、 攻撃性を弱め生き残った動物と共存している状況で よ...
「鹿の王」の著者が参考にしたと解説に書いてあったので。 難しすぎた。 最初の用語解説からちゃんと読んだけど、 それでもわからなかった。 面白かったのは、 新たな動物とウイルスが出会い、 その動物をほとんどを殺してしまった後、 攻撃性を弱め生き残った動物と共存している状況で よく似た別の動物と接触した場合、 別の動物へのウイルスの攻撃性は高く、 死に至らしめることのよってその動物を排除し、 元の動物に利益をもたらしているのではいか、という仮説。 大腸菌どうしが互いに遺伝子をやりとりしてるとか、 地衣類は菌類と藻類の共生生物だったとか、 「初期の現生人類とホモ・エレクトスの間に異種交配があった」という説があるとか、 知らないこともたくさんあったし、 とにかく私には難しすぎた。
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