1,800円以上の注文で送料無料

顔のない軍隊 の商品レビュー

4.2

7件のお客様レビュー

  1. 5つ

    2

  2. 4つ

    3

  3. 3つ

    1

  4. 2つ

    0

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2024/10/02

ポスト“ラテンアメリカ・ブーム“世代を担う小説家のひとり。とのこと。 イスマエルのどこかとぼけた語り口で語られる、とある小村での凄惨な左派ゲリラ/政府軍/右派自警団の戦闘/虐殺。

Posted byブクログ

2014/05/17

山間いののんびりとした村の日常に突如割り込んでくる暴力。誰だか皆目わからない相手。自分がいつ標的になるかもしれない恐怖。一向に役に立たない村の組織。軍隊を他のものに置き換えればどこであってもおかしくない話だ。現にこの国でも似たようなことが起きていないだろうか。主人公である語り手の...

山間いののんびりとした村の日常に突如割り込んでくる暴力。誰だか皆目わからない相手。自分がいつ標的になるかもしれない恐怖。一向に役に立たない村の組織。軍隊を他のものに置き換えればどこであってもおかしくない話だ。現にこの国でも似たようなことが起きていないだろうか。主人公である語り手ののんびりとした語り口と語られる内容とのギャップが不条理さを際立たせている。

Posted byブクログ

2013/01/08

のんびりした語り口の中の凄惨な現実。ユーモアもあり、読みだすと止まらなかったが、マルケスの再来は言い過ぎじゃ(笑)文体が美しいとのレビューなので、これは原文を読むべきなのかもしれない。しかし近年西語の本がたくさん翻訳されてうれしいかぎり。

Posted byブクログ

2012/08/31

左派ゲリラ、右派自警団、政府軍などが勢力争いを繰り返すコロンビアの町や村の現実を、ジャーナリストでもある作者が、実話を再構成して描いている。語り手となる70歳の主人公が静かに絶望していく様が、日常のシンプルな言葉でくっきりと描かれていく。南米文学は、ひとつの村を舞台にそれがひとつ...

左派ゲリラ、右派自警団、政府軍などが勢力争いを繰り返すコロンビアの町や村の現実を、ジャーナリストでもある作者が、実話を再構成して描いている。語り手となる70歳の主人公が静かに絶望していく様が、日常のシンプルな言葉でくっきりと描かれていく。南米文学は、ひとつの村を舞台にそれがひとつのかけがえのない世界であることを、そしてそれがどのように滅びていくのかを描くことが得意だなと思った。(今までに、マルケス『百年の孤独』やリョサ『世界終末戦争』など、たまたまそうしたものばかりを読んだだけなのかもしれないけれど。)

Posted byブクログ

2012/06/09

ここには、映画で観るような凄惨極まりない殺戮シーンがあるわけでなく、村人はただ静かに誘拐され殺されていく。村は爆弾や地雷で破壊され、人々の多くは村を捨てていく。村に残った僅かな人々に夢や未来はない、その事実を主人公イスマエル・パソスの目をとおして、淡々と語りかけてくる。 南米の物...

ここには、映画で観るような凄惨極まりない殺戮シーンがあるわけでなく、村人はただ静かに誘拐され殺されていく。村は爆弾や地雷で破壊され、人々の多くは村を捨てていく。村に残った僅かな人々に夢や未来はない、その事実を主人公イスマエル・パソスの目をとおして、淡々と語りかけてくる。 南米の物語であるにもかかわらず、ひんやりとした冷たい恐ろしさに覆われている。

Posted byブクログ

2012/04/21

コロンビアの名もない小さな田舎村では、のんびりとした穏やかな時間が流れていた。 隣の嫁の裸体を覗き見ては老妻に怒られている元教師のイスマエルは、自分の庭のオレンジをもぐのが日課である。 ただ、ゆっくりと時間が流れているはずだった農村が、気がつけば、不気味な連中に静かに侵略され...

コロンビアの名もない小さな田舎村では、のんびりとした穏やかな時間が流れていた。 隣の嫁の裸体を覗き見ては老妻に怒られている元教師のイスマエルは、自分の庭のオレンジをもぐのが日課である。 ただ、ゆっくりと時間が流れているはずだった農村が、気がつけば、不気味な連中に静かに侵略されていた。 身代金目的で、次々と村の人たちが誘拐され、指を切断され、犯され、殺される。 自分の村を歩いているだけで、見たこともない連中に侮辱されて虐殺される。 この村の人々のほとんどが、イスマエルの教え子だ。イスマエルの妻も行方不明になってしまった。 あまりの悲惨な現実にイスマエルは、死を乞う。「いっそ、大洪水にして何もかも沈めてくれよ、神様」 コロンビアは、日本に住む私たちにとって遠い国である。徴兵制が敷かれており、左翼ゲリラ、パラミリターレス(右派民兵)、麻薬組織の間では、長年、激しい戦闘がおこなわれてきた。 先住民や農民に対する非人道的行為はまだ、継続しているらしい。 この書物は、元教師の老人イスマエルの視線で描かれてる。彼の見ている自分の村の真実は、悲哀に満ちており、苦しいほどリアルである。 小説を読み進むにしたがって、厳しい現実がより厳しく残虐になっていく。読者は、イスマエルの語りに耳を塞ぎたくなる。しかし、飛び散った血の匂いにも死んだ少年の顔を啄ばむ雌鳥のくちばしの色にも読者に凝視強いる筆力をエベリオ・ロセーロは持っている。 ロセーロは、ジャーナリストを経て現在は作家に専念しているという。 ラテンアメリカだけでなく、ヨーロッパでの評価も高く、イギリスでは、「ガルシア=マルケスの後継者」と称されているらしい。 今後の活躍が大いに期待される作家だと思う。

Posted byブクログ

2012/01/24

老人の視点で進むシンプルな文章で読みやすいながらも読み物としても面白く、社会的な問題提起を行うとともに文学作品としても満足できる作品だったと思う。

Posted byブクログ