フォールト・ラインズ の商品レビュー
2005年IMFのチーフエコノミストであったラグラム・ラジャンはグリーンスパンが最後のFRB議長として参加するシンポジウムに金融セクターがどのように発展したかの論文提出を要求されたが、「金融の発展は世界をよりリスキーにしたか?」と言う題名でプレゼンを行った。 その内容はWSJに...
2005年IMFのチーフエコノミストであったラグラム・ラジャンはグリーンスパンが最後のFRB議長として参加するシンポジウムに金融セクターがどのように発展したかの論文提出を要求されたが、「金融の発展は世界をよりリスキーにしたか?」と言う題名でプレゼンを行った。 その内容はWSJに2009年に以下のように紹介されている。 金融セクターを動かす誘因は、恐ろしいまでにゆがめられていた。金融関係者は利益をだしたときにはたんまりと褒美をもらい、損失を出したときにはほとんど罰を受けなかった、とラジャン氏は述べている。それにより金融機関は、大きな儲けにつながる可能性のある複雑な商品への投資にいそしんだが、そういう商品は得てして派手な失敗をもたらすおそれがある。 ラジャン氏は、デフォルトに対する保険であるクレジット・デフォルト・スワップについて、保険会社その他はリスクが小さいように見せかけてこの商品を売って大きなリターンを得ていたが、実際にはデフォルトが起きた場合、被害はきわめて大きくなる可能性があった、と指摘している。 ラジャン氏はまた、銀行は自らの帳簿から生み出した証券化された債券の一部を保有しているので、その証券に問題が起きた場合には、金融システムそのものが危機にさらされると論じている。銀行同士の新任が失われ、「銀行間の市場がフリーズし、それが全面的な金融危機を招きかねない」と。 ほぼその通りのことが、2年後に起きた。 アメリカの問題は所得格差の拡大であり、所得の再分配の手段として住宅ローンが拡大した一面がある。これを支えたのが過剰貯蓄の日本他の金で貿易赤字を通じて集めた金の過剰消費が見た目の経済発展を支えたがサブプライムローンの破綻、CDSによる金融機関の損失拡大などが引き金を引いた。 日本の例で示されているのは低賃金の輸出国から製造業は技術集約的な製品への移行で競争力を保った(今はそれも怪しくなりつつあるが・・・)が、競争にさらされないサービス業の生産性が低いままのこと。一つの例として今は必要なくなったエレベーターガールが残り続けたことが象徴としてあげられている。また1000円ヘアカットが現れた際には理容組合の全国組織は洗髪をせずに髪を切るのは非衛生的だとして全ての店に高価な洗髪設備の設置を義務づけるよう条例を策定させた。 輸出による経済発展を国内需要の拡大につなげられなかったのが日本の断層線であり、対策としては規制緩和と競争を増やすこと。後のは足で出てきている大き過ぎてつぶせない銀行と言うものをなくすことなど。中国が日本の失敗を学習できるかどうかはまだわからない。 なかなかタフな内容で一読しただけでは飲み込めない。時間をあけてもう一度読むとします。
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元IFMのチーフ・エコノミスト・・・ リーマンショック前に、金融危機が起こるだろうと・・・ どういう危機が起こるかを予測していた方の本・・・ 何で今回の危機が起こったのか・・・ 世界経済にはいくつも断層線が走っている・・・ 主なものでは・・・ 一つはアメリカ国内の政治的問題・・・ もう一つは多国間の貿易不均衡・・・ これらの断層線が世界経済に危機を招く・・・ どれか一つが原因ということはない・・・ 一つずつ丁寧に紐解いていく・・・ 改めて今回の金融危機を確認にするにはもってこいの本・・・ 断層線はいくつもあるし、まだまだ残っているので・・・ この先・・・ 再び危機が・・・ 起きないとも限らない・・・
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ラジャンの著作を初めて読んだ。 世界経済のバブル生成から、アメリカ経済の問題点まで幅広くて勉強になったが、何がどうだったか既に放念した。 いずれにせよ、ラジャン頭いいなーという感じ。
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世界同時金融危機の発生を、そのメカニズムまで含めて正確に予測していたラグラム・ラジャン教授の世界的なベストセラー。金融危機は自由市場の暴走というよりも、政府と市場の狭間の断層線で起こっていることをするどく指摘する。
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サブプライム問題の原因や過程について解説された本。近代国際社会の経済の特徴等についても書かれており、経済の流れも学べる。しかし、理解しながら読み進めるには少し時間がかかりました。
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リーマン・ショックから2年の時を経て刊行された書籍。米国ではビジネス部門ベストセラーになったほど。実際に内容はリーマン破綻の原因を鋭い切り口で分析しており、著者が与えた結論も興味深い一冊。
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戦後以降の経済システムを俯瞰した本。米国、日独、台韓、中国、インド等それぞれの特性を述べている。また、ここまで肥大した金融システムに対しての解説と世界金融危機への今後の対策を述べている。 数式の類いは一切無く、内容は難しいところもあるが平易な文章で述べられている。金融危機対策につ...
戦後以降の経済システムを俯瞰した本。米国、日独、台韓、中国、インド等それぞれの特性を述べている。また、ここまで肥大した金融システムに対しての解説と世界金融危機への今後の対策を述べている。 数式の類いは一切無く、内容は難しいところもあるが平易な文章で述べられている。金融危機対策についての提言はかなりシンプルなものであった。金融工学が私にとってはかなり複雑なものに思えているのであるが、提言された対策って結構シンプルなルールに思える。案外、金融は複雑怪奇に思わされているが、キモだけみれば結構シンプルなのかもしれないと思った。
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米国の金融危機を事前に警告した著者が、現在の経済にひそむ「断層線」が危機を再び招くとしているが、包括的な問題点の羅列の印象を受ける。経済のグローバル化とIT化により、多くのアメリカ国民の収入が伸びず、その不満や不安を解消するために、借りやすいローンで住宅を保有させる政策をとったの...
米国の金融危機を事前に警告した著者が、現在の経済にひそむ「断層線」が危機を再び招くとしているが、包括的な問題点の羅列の印象を受ける。経済のグローバル化とIT化により、多くのアメリカ国民の収入が伸びず、その不満や不安を解消するために、借りやすいローンで住宅を保有させる政策をとったのが、前回の経済危機の原因と分析しているのは面白い。
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要約だけでもよむべき良書。一章は住宅政策の負担を海外に求めるべきでないと批判したい。金融改革は破綻を促す方法に疑問(リーマンショックコンフィデンシャルや世紀の空売り参照)。その他は概ね同意。翻訳者の脚注の扱いはダメ。 翻訳がぼろくそ言われてるので、語学が堪能な方はぜひとも原著を...
要約だけでもよむべき良書。一章は住宅政策の負担を海外に求めるべきでないと批判したい。金融改革は破綻を促す方法に疑問(リーマンショックコンフィデンシャルや世紀の空売り参照)。その他は概ね同意。翻訳者の脚注の扱いはダメ。 翻訳がぼろくそ言われてるので、語学が堪能な方はぜひとも原著を。
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起こった出来事というものは一義的に説明するのは難しい。目に見える出来事の裏には、目に見えないいくつもの諸要因があり、それが複雑に絡まりひとつの出来事へと収斂されていく。それを筆者は「フォールト・ラインズ(断層線)」と呼び、金融、経済、政治の複雑な絡みを本書において指摘している。具...
起こった出来事というものは一義的に説明するのは難しい。目に見える出来事の裏には、目に見えないいくつもの諸要因があり、それが複雑に絡まりひとつの出来事へと収斂されていく。それを筆者は「フォールト・ラインズ(断層線)」と呼び、金融、経済、政治の複雑な絡みを本書において指摘している。具体的な対処法というよりも、全体の流れと現状認識を述べており、金融本の中では比較的苦にならないものだと言えそうである。地震が再発するように、活断層においては次なる危機を誘発することも十分考えられる。それを未然に知り、そのために備えておくだけでも、本書が果たす役割は大きいのではないかと思っている。
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