巨大翼竜は飛べたのか の商品レビュー
前著「ペンギンもクジラも秒速2メートルで泳ぐ」も面白かったが、こちらはさらに楽しめた。カメとマンボウの相似形とか、羽ばたき周波数で採餌の結果を推定する方法とか、いろいろと面白い。例によって院生を騙して研究させる描写も秀逸で、これを研究すれば君も「ドクトルまんぼう」になれる、と口説...
前著「ペンギンもクジラも秒速2メートルで泳ぐ」も面白かったが、こちらはさらに楽しめた。カメとマンボウの相似形とか、羽ばたき周波数で採餌の結果を推定する方法とか、いろいろと面白い。例によって院生を騙して研究させる描写も秀逸で、これを研究すれば君も「ドクトルまんぼう」になれる、と口説く辺りでは吹いてしまった。前著で活躍した院生の楢崎友子嬢は今回も大活躍していて、その点も嬉しかった。
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研究者魂が熱い。 出版が2011年1月という、震災直前。そして著者の職場が大槌町。 webで調べたところ、やはり東京大学大気海洋研究所附属国際沿岸海洋研究センターは津波に襲われて大被害を受けている。 著者は無事かと心配されたが、研究室のページによると、柏に職場を移していると...
研究者魂が熱い。 出版が2011年1月という、震災直前。そして著者の職場が大槌町。 webで調べたところ、やはり東京大学大気海洋研究所附属国際沿岸海洋研究センターは津波に襲われて大被害を受けている。 著者は無事かと心配されたが、研究室のページによると、柏に職場を移しているとのことでほっとした。 とはいえ、研究施設の被害は甚大なもの。一日も早い復旧を願う。
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著者の佐藤先生は、京都大学大学院農学研究科水産学でウミガメの研究の成果で博士号を取ったそうです。 水産学という学問は、食用にされる海や川の生き物をターゲットにするわけですから、ウミガメというのは異色だったそうです。 けれど、データロガーという小型記録装置を取り付けて、その生...
著者の佐藤先生は、京都大学大学院農学研究科水産学でウミガメの研究の成果で博士号を取ったそうです。 水産学という学問は、食用にされる海や川の生き物をターゲットにするわけですから、ウミガメというのは異色だったそうです。 けれど、データロガーという小型記録装置を取り付けて、その生き物の速度や加速度などの行動データを解析するバイオロギングサイエンス(動物が記録する科学)がやりたくてウミガメを選んだようです。 その後、東京大学海洋研に所属し、様々な生き物の行動を計測し、その結果を分析したところ、タイトルにあるように巨大翼竜は(少なくとも継続して長時間は)飛べなかったという結論が論理的に導かれたというわけです。 ★★★ ちょっと面白かったのが、逆上がりの話。 例えば、子供の頃に得意だった鉄棒が、大人になると苦手になったりする。子供の頃にはいとも簡単に逆上がりができたのに、小学生にお手本を示そうと思って久しぶりに鉄棒をしたら、逆上がりができなくなっている自分に気がついて愕然とした、そんな経験はないだろうか。これは、胴回りに醜く付着した脂肪層のせいだけではない。 ─略─ もしも、子供のときから全く体系が変わらぬまま、身長が2倍になったとしよう。筋力は筋断面積に比例するので、腕の筋肉は子供の頃に比べて、4倍の力を生み出すことができる。しかし、悲しいことに体重は8倍になってしまっている。結果的に、鉄棒する大人の体重を支えるだけの腕の筋力は圧倒的に不足することになる。 なるほどね。ついこの間、アイススケートで異様に足首に力が掛かって「こんなはずでは」と感じたのも足の筋肉の成長が2乗倍なのに比べて体重の増加が3乗倍だったからなのかな。 ★★★ さて、ジャンルは違えど、ソフトウェアでもデータロガーの考え方はありますね。 メトリクスというやつです。 昨年のSQiP研究会で、IBMの細川さんや、ソニーの永田さんが率いるレビュー分科会では、『間接的メトリクスを用いて欠陥予測を行うレビュー方法の提案』というタイトルで、プロジェクトのコンテキストに目を向けた間接的データからどこをレビューすると効率的かというユニークな研究をしていました。 とても、面白い研究で、きちんと相関が検証されるデータがそろえば、この本のように『巨大プロジェクトはリリースできたのか』といったタイトルでまとめられるんじゃないかなぁと思いました。 # 今回の、東日本大震災で、佐藤先生の研究室も被災されたとのことです。「津波によって、全ての紙資料とHDやCDに保存したデータが無くなった」という一文を読んで涙がでそうになりました。かける言葉もありません。
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動物の体のつくりと行動の相関関係が緻密なデータで明らかにされていって、緻密なデータの部分はさっぱり??でしたが、おもしろかった。 ウミガメからペンギン、アホウドリときて翼竜にまで広がっていく好奇心が、楽しそうでよい♪ この先生、研究所が大槌町にあってご自宅が釜石だそうで・・・。あ...
動物の体のつくりと行動の相関関係が緻密なデータで明らかにされていって、緻密なデータの部分はさっぱり??でしたが、おもしろかった。 ウミガメからペンギン、アホウドリときて翼竜にまで広がっていく好奇心が、楽しそうでよい♪ この先生、研究所が大槌町にあってご自宅が釜石だそうで・・・。あとがきに「2010年12月、この時期にしては妙に暖かい岩手県三陸沿岸にて」って書いてあるのが怖い…(津波で研究所にあったデータ等は流されちゃったけど、学生さん方もご無事だそうです)
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種や生活環境の違いを越えて生き物たちの「サイズ」と「はばたき」に注目して比較研究された内容で、タイトルの巨大翼竜もこの関連で出てくる
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巨大翼竜は飛べたのか。 飛び続けられなかったというのが結論。 それを色んな動物のデータを元に導く。 僕の好きな学者偏愛物。大学の教授らしい研究ジャンルへの愛に満ちている。愛は暴走もするのだが、それも傍からみれば微笑ましい。 本著も学者の研究論文よろしく様々なデータが羅列されて...
巨大翼竜は飛べたのか。 飛び続けられなかったというのが結論。 それを色んな動物のデータを元に導く。 僕の好きな学者偏愛物。大学の教授らしい研究ジャンルへの愛に満ちている。愛は暴走もするのだが、それも傍からみれば微笑ましい。 本著も学者の研究論文よろしく様々なデータが羅列されている。僕のような文系人間は、気持ちよく飛ばせばよい。データなど、結論を導くための接続詞に過ぎない。 最終章だけ読んでもわかるし、データを取るためのルポの部分だけ読んでも充分楽しい。
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タイトルにはかなり問題あり。 内容も別段紀行文、エッセイが読みたいのではなく、それならもっと文章をうまくして欲しい。学術的な話が合間に挟まれるが、データの羅列の感があり、何が新しい発見なのかが読み取りづらい。 翼竜の件は、大槻教授の超能力批判のような構図に見えるのだが、何で批判さ...
タイトルにはかなり問題あり。 内容も別段紀行文、エッセイが読みたいのではなく、それならもっと文章をうまくして欲しい。学術的な話が合間に挟まれるが、データの羅列の感があり、何が新しい発見なのかが読み取りづらい。 翼竜の件は、大槻教授の超能力批判のような構図に見えるのだが、何で批判されているのか作者は良くわかっていないようだ。「できるわけがない」だけでは人を納得させることはできない。フォローの仮説もあるが、全体のトーンが否定だと印象がかなり悪い。
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今日の帰りの長~い乗車中(台風15号)に読んだけど,やきもきしてて細かいとこはちゃんと追えなかった…。「バイオロギングサイエンス」の成果で古生物の常識を覆す!みたいな。 生物の生態を研究するのに,各種センサを搭載したデータロガーを個体に取り付けていろんなデータをとることが行な...
今日の帰りの長~い乗車中(台風15号)に読んだけど,やきもきしてて細かいとこはちゃんと追えなかった…。「バイオロギングサイエンス」の成果で古生物の常識を覆す!みたいな。 生物の生態を研究するのに,各種センサを搭載したデータロガーを個体に取り付けていろんなデータをとることが行なわれるらしい。最初は観察の難しい水生動物を調べる目的で,それが空飛ぶ動物にも有効になってきた。最新のは加速度センサもついてる。 しかし前フリが長く,なかなか翼竜の話にならないのはじれったい。まえがきでも断ってはいるが。二乗三乗の法則やそれが水生動物には成り立たないこと,ウミガメ,マンボウ,ヨーロッパヒメウ,オオミズナギドリなどで200ページを費やした後,いよいよ翼竜の話に。 空を飛ぶ動物は,大きくなればなるほど飛ぶのが難しくなる。重力と筋力の関係で。だから翼長10メートルもあるようなケツァルコアトルスみたいのは普通に考えて自力で飛ぶことはできないと結論する。一般に推定体重70キロとされているが,これは著者にとってあり得ない数値だからだ。 自力で飛べないなら,強風を受けて上昇すればいいかと思うとそうでもない。自由に離着陸できないようでは生き残れないと著者は言う。それならどうやって飛んだか?二つの可能性を挙げている。揚力と重力。 飛行するには揚力と重力が釣り合っていなければならない。揚力は空気の密度に比例するので,翼竜のいた時代の大気の密度が今より大きかったら重力にうちかつ十分な揚力が発生できたのではないか,という。もう一つは重力が昔は今より小さかったのでないか,というが,さすがにこちらは自分でもトンデモない説だと言っている。でも,大気密度にしたって,揚力だけでなく空気抵抗にも比例するんだから,抵抗が増えたぶん余分な推力が必要になるので,違うんじゃなかろうか。余計な筋力がいるよな…。 化石から翼長を推定するときに,現生のトリとか参考にしてるのが間違いのもとという話の方がしっくりくる。10メートルもなくて,もっと小さいと考えれば,推定体重が軽いのも案外納得いくのではないだろうか。 著者の研究遍歴が面白い。長らくウミガメ研究をしてきたそうだが,水産学科だったため,食べられないウミガメを研究するのに技巧的な説明が必要だったとか。「ウミガメが網にかかって死ぬような水産業ではダメ,持続可能な漁業を模索する為ウミガメ研究が必要」なんだって。 そのあと極地研に移るが,ウミガメはむしろ小笠原とか熱帯の海にいる。そこで「新装置をいきなり南極にもっていくのはマズイ。装置のテストにウミガメはもってこい。」という言い訳がいったとか。東大海洋研に移った今は,そういう心配がなくなったそうだ。
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(推薦者コメント) 一般に、プテラノドンなどの翼竜は飛べたと考えられている。しかし、最新生物学の動向では、これが否定される研究結果が見つかってきた。その現状に迫る。
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動物は日本人よりもエコノミックだ。 いかに少ないコストで高いパフォーマンスを得るか、 それは楽に生き延びるための必須能力なのだから。 知ってるようで知らない、 海を泳ぐ動物と空を飛ぶ動物の様々なアロメトリー。 そこから最後の翼竜の話題への流れは、 物語を読んでいるような気分でと...
動物は日本人よりもエコノミックだ。 いかに少ないコストで高いパフォーマンスを得るか、 それは楽に生き延びるための必須能力なのだから。 知ってるようで知らない、 海を泳ぐ動物と空を飛ぶ動物の様々なアロメトリー。 そこから最後の翼竜の話題への流れは、 物語を読んでいるような気分でとてもワクワクした。 (ほんと最後にちょっとだけだったのが残念) ちなみに、 数字の部分をほぼ飛ばして読んでいたので、 そこんとこ理解できればもっと面白いと思う。
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