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吉原十二月 の商品レビュー

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41件のお客様レビュー

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2019/02/05
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

豪華絢爛な世界で日々行われている駆け引きの中にも、それぞれの人情が見え隠れして面白かった。客側も粋かどうかが問われるという、大人の遊び。 トップで競い合う花魁も、中身は10代の娘で幼馴染というのが切なかった。生まれが違っていれば、どんな人生を歩んだだろうか。病や死の話はほとんど出てこないので気楽に読めたが、2人が笑い合うシーンで、運命に胸がぎゅっと締め付けられた。

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2014/10/21

さすが直木賞作家、吉原の遊女たちを華やかに艶っぽく描く。胡蝶と小夜衣、幼い頃より競いながらそれぞれの魅力を磨いてきた2人は晴れて昼三の花魁となる…。 苦界と言われる廓が舞台だが、月々の行事の優雅さやお大尽たちの豪傑っぷりを中心に語られるので悲壮感は薄い。

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2014/04/25

吉原の名妓二人を抱えた楼主が彼女たちの吉原に来る最初から年季明けまでを、 十二ヶ月の暦に沿って語り聞かせる趣向。 同じ作者の吉原を舞台にした前作にも登場した妓楼が舞台。 淡々とした筆致でお職を張ったふたりの女の生き方を語る。 風俗の描写や廓の決まりごとなどが丁寧に描かれ 前作...

吉原の名妓二人を抱えた楼主が彼女たちの吉原に来る最初から年季明けまでを、 十二ヶ月の暦に沿って語り聞かせる趣向。 同じ作者の吉原を舞台にした前作にも登場した妓楼が舞台。 淡々とした筆致でお職を張ったふたりの女の生き方を語る。 風俗の描写や廓の決まりごとなどが丁寧に描かれ 前作同様湿った感じの空気感はない。 読者のほうも膝を乗り出し、美しい絵巻物でも見るように どこか遠いお伽噺を聴くようで悲壮感はない。 決着のつき方も、どちらの花魁もまずまず幸福なところへ 落ち着くので、終わりまで読むとほっと肩の荷が下りる。 ただ、花魁側からの心理描写はあえてドライなので 彼女たちの内心に切り込んだ時、その場面で本当は 何を考えていたか、本心はわからない。 つまり、彼女たちが表に向けて見せていた顔しか 私達読者も見せてもらえない。 だから、どこかつかみどころがなくて 「この女は本当は何を考えているんだ。」 と思いながら、最後まで手が切れない男のように どこかもやもやとした、 「これが全部かな?」 という感覚が拭えない。 それさえ除けば、面白い小説であったと思う。 欠点と言うよりむしろこれは持ち味であると思うので 決して批判的なコメントではないことを申し添えておく。 白眉は胡蝶花魁が袖にした、大店の主人が 彼女に花魁としての心がけを説く場面。 お定まりの言葉でなく、率直でよかった。 べたべたしていないが、時代小説の「情」を読む楽しみを 存分に満足させてくれる。 他の作品にはちょっと見ないところだと思うので これから読む方は注目されたい。

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2014/01/21

 遊女ものの資料の一つとして読了。月ごとのイベントに分かれていて、なおかつストーリー性があるので資料としても優秀。当時の風俗もよくわかる。  欲を言えば語り手である楼主の存在感がもう少しあっても面白いかもしれない。だが主人公があくまで吉原の中で生きた遊女であることを鑑みれば素晴ら...

 遊女ものの資料の一つとして読了。月ごとのイベントに分かれていて、なおかつストーリー性があるので資料としても優秀。当時の風俗もよくわかる。  欲を言えば語り手である楼主の存在感がもう少しあっても面白いかもしれない。だが主人公があくまで吉原の中で生きた遊女であることを鑑みれば素晴らしい作品といえるって

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2013/12/15

吉原だけでなく当時の世相というか風俗というかそういうのが興味深い。 読んでてさらりとしたものを感じるのは、やっぱり男性しかも楼主目線だからなのかな。これが女性目線―しかも花魁でも売れてる花魁と盛りがすぎた花魁とか立場が違ったら、同じ内容でも読後感は違うだろうし、違いを読んでみたい...

吉原だけでなく当時の世相というか風俗というかそういうのが興味深い。 読んでてさらりとしたものを感じるのは、やっぱり男性しかも楼主目線だからなのかな。これが女性目線―しかも花魁でも売れてる花魁と盛りがすぎた花魁とか立場が違ったら、同じ内容でも読後感は違うだろうし、違いを読んでみたい気もする。

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2013/09/16

やはり吉原物は女性が書くものの方が面白く読める。 傍からみている者が花魁を語る手法は『吉原手引草』と同様か。 御職をはるような花魁たちの話なので、 苦界の厳しさ辛さよりも、衣装の華やかさやお座敷の楽しさの描写の方が多い。

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2013/08/16

読んだ後、何だかスッキリ爽やかな気持ちになれました。 吉原ものって結構辛くて悲しい話が多いと思うのですが、これはまたちょっと違った趣で、私にとっては新鮮でした。 私的には胡蝶が好きだなぁ~って思いました。小夜衣がライバルだったらとても勝てそうに無く、ホントにイラつく存在になって...

読んだ後、何だかスッキリ爽やかな気持ちになれました。 吉原ものって結構辛くて悲しい話が多いと思うのですが、これはまたちょっと違った趣で、私にとっては新鮮でした。 私的には胡蝶が好きだなぁ~って思いました。小夜衣がライバルだったらとても勝てそうに無く、ホントにイラつく存在になっていただろうなぁ。 松井今朝子さん、初めて読みましたが他の作品も読んでみたくなりました。

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2013/07/31

「吉原手引草」のように、ひとつの事件を扱ったものかと早とちりしてたけど、月々の吉原の風習に絡めて、性格の異なるふたりの花魁(太夫)の生活を紹介したもの。苦界に沈む女のどろどろ・・・といったような描写はほとんどなく、むしろ優美さに目が奪われる。 全盛期のふたりの太夫の話を、抱えの...

「吉原手引草」のように、ひとつの事件を扱ったものかと早とちりしてたけど、月々の吉原の風習に絡めて、性格の異なるふたりの花魁(太夫)の生活を紹介したもの。苦界に沈む女のどろどろ・・・といったような描写はほとんどなく、むしろ優美さに目が奪われる。 全盛期のふたりの太夫の話を、抱えの楼主が語るという手法で進められているが、語っているときの吉原がどんな環境なのかも詳しく聞かせてもらえると比較ができてよかったと思う。尤も、80年代のバブル期とその後の不景気を重ねて見ればよいのか。世知辛い世の話なんかしてもつまらないか。 しかし、唐琴の嫌われっぷりときたら。銭勘定でひょいひょい動くのはきっと女郎ならよくあるだろうに、何がそんなに嫌われてたのやら・・・(^^ゞ

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2013/03/10
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

対照的な二人の女性の物語。吉原絵巻。 巧に吉原を解説しつつ、美しい部分と哀しい部分を重ねて読ませてくれる。 この著者の吉原物語は、読後感がいい。 (夢物語としての創作だと割り切って書いている、とどこかのインタビューで読んだような気がする…) ラスト二人それぞれが、それぞれの幸せを掴んでくれて、こちらも嬉しくなった。 この本、文庫になってもまた買うと思う。

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2012/10/05
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

男性の視点で描かれる吉原の花魁二人の年月。男性の視点だから、もっとドロドロしそうなところがサラリと書かれていてそこはホッとする。 けど、サラリと書かれるとまた籠の鳥でありんす、がじとっと溢れてきて物悲しい。 花魁二人が後輩に重なる。 そうそう、勝気でわかりやすい気質の胡蝶はその強い口調で自分を、守ってるんだよね、とか。 大人しくて何を考えてるかよくわからない小夜衣が、案外要領良くやってんのよね、とか。 最後はミステリ要素もあり、一気に大団円に。ちょっとハッピーエンド過ぎる気持ちもあるけど、後味もよい。  旧暦の季節を頭では理解しているつもりだったけど、こうやって8月の月見とか実際に描かれると実感が湧く。

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