津軽百年食堂 の商品レビュー
何冊も読んでいる森沢作品。今回もほろりとさせられました。 田舎と言っては失礼ですが、都市部では希薄な、縦にも横にも繋がりの深い人間関係がなにかを癒してくれます。お墓参りをした後のような気分。 元気な女性が多いのも楽しかったです。 ストーリーはやや単調な感じも否めませんでしたが、...
何冊も読んでいる森沢作品。今回もほろりとさせられました。 田舎と言っては失礼ですが、都市部では希薄な、縦にも横にも繋がりの深い人間関係がなにかを癒してくれます。お墓参りをした後のような気分。 元気な女性が多いのも楽しかったです。 ストーリーはやや単調な感じも否めませんでしたが、不器用な父子が心を通わせる様子は、私自身がそれを得られなかったせいか、心を揺さぶられるものがありました。
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津軽にある食堂の始まりとこれからのお話。 100年以上続いているお店いっぱいあってすごい。それぞれのお店には数え切れないほどの思い出があるんだろうな。青森へ行って本場の津軽蕎麦を食べてみたい。
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青森を舞台にした四世代に渡る食堂のお話。 第一章では、明治時代に店を始める前の初代・賢治と、現代(平成)の陽一の動きがリンクして物語が進む。 内気な性格の賢治と陽一が、一人の女性に恋をして、でも一歩が踏み出せない、そんなもどかしさが同時進行で描かれる。 この描かれ方が、血のつなが...
青森を舞台にした四世代に渡る食堂のお話。 第一章では、明治時代に店を始める前の初代・賢治と、現代(平成)の陽一の動きがリンクして物語が進む。 内気な性格の賢治と陽一が、一人の女性に恋をして、でも一歩が踏み出せない、そんなもどかしさが同時進行で描かれる。 この描かれ方が、血のつながりや運命を感じさせる。 第二章以降は、陽一が店を継ぐかどうかも含めて、自分の将来に悩む姿が描かれる。 同郷で恋人の七海も、実家に婿養子を呼ぶことを期待されている立場で、そんな七海との将来像もモヤモヤとして何とももどかしい展開が続く。 それでも読み切った後には、世代を超えた人との繋がりの温かさが胸に沁みわたる。 この物語は、単にひとつの食堂の歴史を語るものではなく、大森家を見守ってきた周りの人々との友情物語でもあった。 プロローグの3代目・哲夫の言葉が、読了後にじんわりと効いてくる。 「何もない平凡な一日を淡々と過ごせることが、実はどれほど幸福でありがたいことであるか。」 自分がここに生きているということは、父母・祖父母・曽祖父母、さらにその前の世代が、ずっと命のバトンを繋いできてくれた証である。 そしてこの平凡な毎日の幸せは奇跡であるということ。そんなことを、この言葉を噛み締めながら、じんわりと考える。
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森沢明夫さんの作品はどれを読んでもただただ楽しかったです。 弘前の食堂を舞台にした四世代の物語です。 二代目がちょっと問題のある人のようでしたが、それは何故なのかももう少しお話が書かれていたらもっと面白かったのではと個人的には思いました。 こんなに引き込まれるように読み終えてしま...
森沢明夫さんの作品はどれを読んでもただただ楽しかったです。 弘前の食堂を舞台にした四世代の物語です。 二代目がちょっと問題のある人のようでしたが、それは何故なのかももう少しお話が書かれていたらもっと面白かったのではと個人的には思いました。 こんなに引き込まれるように読み終えてしまうのは、目の前で登場人物を見ているような気持になるからでしょうか。 やっぱり森沢明夫さんの作品は好きです。
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最近、ちょっと疲れていたから、心のシャワーを浴びたくなって、手にした森沢明夫さんの本 続きが読みたくなって、思わず夜ふかしして、一気に読了… 期待以上に心がすっきりして、あたたかい気持ちにもなって、こんな物語が紡げるなんて、本当に素敵だな、と思う。 不安や迷いを抱えながらも...
最近、ちょっと疲れていたから、心のシャワーを浴びたくなって、手にした森沢明夫さんの本 続きが読みたくなって、思わず夜ふかしして、一気に読了… 期待以上に心がすっきりして、あたたかい気持ちにもなって、こんな物語が紡げるなんて、本当に素敵だな、と思う。 不安や迷いを抱えながらも、自分の想いに気付きしっかりと人生の歩みを踏み出していく主人公と、100年という歳月を経て紡がれてきた想いが、今という時間に交錯し、過去、現在と様々な人が優しさで繋がる物語でした。 主人公の父が語った『物語の終わりは必ず感謝で締めろ。そう教えられた。』という言葉が印象的です。 縦糸横糸を問わず、自分が関わる人たちに、心から感謝の言葉を伝えることができて、自分も大切な人たちと繋がっていけると良いなと、そんな優しい気持ちにさせてくれた一冊でした。
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森沢作品は、悪人が登場せず、先も見通しやすいので「安定・安心の〜」などと云われますね。本作も同様、人物描写が優しく、温かい気持ちになりました。 百年受け継がれた大衆食堂の人・味・歴史を描く人間ドラマです。明治時代の黎明期パートを挟みながら、平成の現代パートで故郷を離れ都会で...
森沢作品は、悪人が登場せず、先も見通しやすいので「安定・安心の〜」などと云われますね。本作も同様、人物描写が優しく、温かい気持ちになりました。 百年受け継がれた大衆食堂の人・味・歴史を描く人間ドラマです。明治時代の黎明期パートを挟みながら、平成の現代パートで故郷を離れ都会で暮らす若い2人の恋愛物語が展開します。 弘前を中心とした津軽地方の気候風土、伝統文化、言葉などをふんだんに散りばめ、食の味だけでなく物語の上でもよい味を出しています。 そもそも「百年食堂」には、「三代四代と受け継がれ、町民に慣れ親しまれたメニューがあり、生活に溶け込み愛されている」などと、種々定義があるようです。 青森県では、「三代、約100年続く大衆食堂」とし、百年食堂を観光の目玉の一つとすることで本作が生まれたそう。"青森三部作"その1です。 15年前の刊行ですが、おそらくこの間に(コロナ禍は特に)多くの飲食店が廃業の憂き目にあったはず‥。受け継がれ愛され続ける"味"の価値、そして不易と流行を再認識させられます。 本作は、過疎・シャッター街などの負のイメージを払拭するだけでなく、未来に向けた明るい話題を提供し、地域活性化につなげる一作になり得ると思いました。 巻末に著者が取材で訪れた「津軽百年食堂」10軒が紹介されています。粋ですね。
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2024.2.13 読了 ☆8.6/10.0 時代が変わっても変わらないものがある。 それは、親が子を想う気持ちです。 故郷を離れてがむしゃらに頑張る我が子への心配や愛情、それが本書ではとても温かく描かれています。 この物語は、青森の弘前市に三代続き、百周年を迎える津...
2024.2.13 読了 ☆8.6/10.0 時代が変わっても変わらないものがある。 それは、親が子を想う気持ちです。 故郷を離れてがむしゃらに頑張る我が子への心配や愛情、それが本書ではとても温かく描かれています。 この物語は、青森の弘前市に三代続き、百周年を迎える津軽蕎麦のお店「大森食堂」を舞台にした、明治時代と現代が交錯するお話です。 初代の大森賢治とそのお嫁さんのトヨ、二代目の哲夫と妻の明子、そして主人公は三代目店主になる息子の陽一と大学時代の知り合いで恋人の筒井七海です。 陽一は、本当は大森食堂を継ごうと思っていたのに父の反対があり、一度は修行のため中華料理店に就きましたが、そこの店長に父親のことを馬鹿にされたことに我慢できず歯向かってしまい、それによりクビになってしまうのです。 陽一は父に対しとても申し訳なくなり、父に合わせる顔が無くなってしまいます。食い繋ぐために姉に縋って頼り、姉の紹介で都内の制作会社に勤めますがそこも辞めてフリーターになってしまい、趣味で得意だったバルーンアートを教えるピエロの仕事に就きます。 そんな時陽一が同じ弘前の高校の三つ後輩で、フォトグラファーを目指す七海と出逢い、同郷の二人は当たり前のように惹かれ合います。 東京でフォトグラファーとして独り立ちしたい七海と実家の大森食堂を継ぎたい陽一。 二人の未来は果たしてどうなるのかというのがすごく読んでいてむず痒いのです。 二人の恋の行方は…応援せずにはいられないめちゃくちゃ爽やかな恋物語なのです。 そして、それに並ぶ家族愛と師弟愛も素敵です。 また、特に惹かれたのは陽一と七海の恋愛における壁となる実家の家業の問題。 お互い実家の家業があり、いつかは継がなきゃいけない、実家に帰らなきゃいけない そんな境遇にあるカップルの恋愛の難しさやもどかしさを綺麗に描いてると感じました。 いつかは離れるし、遠距離になる覚悟も必要 自分たちの都合だけで決められない、人生の幾つもの分かれ道を前にして、お互いの夢ややりたいこと、実現したいこととやらなければならないこと、いつか向き合わなくてはいけない問題に対してどう折り合いをつけていくのか。 そんな、二つのことに挟まれて身動きが取れなくなりそうな、息が詰まりそうな状況に自分もいつかなるのだろうか そう考えながら読んでいくと、二人の恋愛やその周りの人たちの温かさにすごく心動かされるのです。 登場する人全てが“粋な”物語。最高でした!
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青森三部作の一作目 青森にはまだ一回も行ったことがなくて それでも青森といえばリンゴ!でしたが、ここに出てくる津軽蕎麦も食べてみたいと思える本でした 代々続くお店 昔の味を守っていくのは大変なことで、苦労も多い 家族の想いや周りの想いをつないでいって 愛される場所になっていく...
青森三部作の一作目 青森にはまだ一回も行ったことがなくて それでも青森といえばリンゴ!でしたが、ここに出てくる津軽蕎麦も食べてみたいと思える本でした 代々続くお店 昔の味を守っていくのは大変なことで、苦労も多い 家族の想いや周りの想いをつないでいって 愛される場所になっていくんだなと つながりが感じられる本です
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『津軽百年食堂』 森沢明夫さん津軽3部作の一作目 ただ、私は『青森ドロップキッカーズ』を先に読んでしまったので順番が逆転してしまったが… 未読の方は、先ずはこの作品から読み始めるのがオススメ さてさて、物語の舞台は津軽・弘前 百年続く食堂を守り続ける父と、東京で孤独な社会に生...
『津軽百年食堂』 森沢明夫さん津軽3部作の一作目 ただ、私は『青森ドロップキッカーズ』を先に読んでしまったので順番が逆転してしまったが… 未読の方は、先ずはこの作品から読み始めるのがオススメ さてさて、物語の舞台は津軽・弘前 百年続く食堂を守り続ける父と、東京で孤独な社会に生きる息子の物語 内容はとてもシンプルだか、そこに登場する人物一人一人が実に温かく優しくて、時に粋で… 田舎を出て都会の荒波に揉まれながら強く逞しく生き抜こうとする若者の熱量と、それと表裏一体で待ち合わせる将来への不安や葛藤の描き方が美しかった。 親と子、それぞれが個としての相手の人生を考える思いやりに満ちていて、特に祭りで設営したテント内で、賢治と陽一が心を通わせたくだりには涙が溢れた。 また、エピローグにて七海が明子にこっそり伝えた素敵な台詞…なんてチャーミングな女性なんでしょう。つい嬉しくてにやけてしまった。 シーン毎に目線を移して物語を進行するという構成のため、其々の人物に感情移入しやすく、物語が立体的で時代を超えているのに読みやすかった。 後半からは健くん親子から広がった"粋"な演出のバトンタッチが繰り広げられ、物語が一気にリズム感をもち面白味を増した。 森沢明夫さんの作品に出るキャラクター達は、みな人間味に溢れていて心が温かい。私もそういう人間になりたくて…それは無理でも近づきたくて笑、すっかりファンになっている。 この読後の心地よい余韻がさめる前に3部作の完結となる『ライアの祈り』を読もう!
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06月-15。3.5点。 津軽の津軽蕎麦屋さんが舞台。主人公は、蕎麦屋の長男。東京へ出るが「ピエロ」の格好をしてバルーンアートをするバイトを。 江戸時代の蕎麦屋元祖の光景と、主人公の光景を交互に。心温まるし、面白かった。
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