原色の想像力 の商品レビュー
[創元SF短編賞アンソロジー『原色の想像力』を読んで - heyheytower]( http://maijou2501.hateblo.jp/entry/2016/01/04/004313 )
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第一回創元SF短編賞に応募の新人アンソロジー 宮内悠介、松崎有理がお気に入りの作家に入ったので、同時に選考に残った他の作品も読んでみたくなった。 大森望、日下三蔵の編んだアンソロジーは好なのが多いし、山田正紀も好きな作家だけど、嗜好が完全に一致するなんてことは無い罠
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第一回創元SF短編賞の応募作品のアンソロジー。 まず何と言っても直木賞候補にもなった宮内悠介の短篇集の表題作「盤上の夜」。四肢を失った女流棋士が、それ故に碁盤を特殊な感覚で捉えるようになった生い立ちを記者の視点から綴っています。上田早夕里「ナイトブルーの記憶」に似て、脳科学...
第一回創元SF短編賞の応募作品のアンソロジー。 まず何と言っても直木賞候補にもなった宮内悠介の短篇集の表題作「盤上の夜」。四肢を失った女流棋士が、それ故に碁盤を特殊な感覚で捉えるようになった生い立ちを記者の視点から綴っています。上田早夕里「ナイトブルーの記憶」に似て、脳科学・心理学的なテーマを元に、感覚の変容を第三者の視点で描いています。小説との親和性が高いテーマでありながら、学問的なことは控えめに抑えているのが好印象でした。専門用語で説明文を読まされるのはツライので。 個人的に好きなのは山下敬「土の塵」。ストーリー自体は珍しくないけれど、丁寧に描写しているので読みやすく、ヒロインのキャラが立っているので途中で飽きることもありません。専門用語は無理なく紹介されますが、論理的な点は目を瞑りましょう。いぶし銀のような小説です。 松崎有理「ぼくの手のなかでしずかに」は、北の街(つまり仙台)を舞台にした研究室モノ。研究室の中の人間なら、必ずニヤリとするはず。「比較的まともな椅子を目で探し、腰をおろした」の一文でやられました。 永山驢馬「時計じかけの天使」は、いじめ対策のためにいじめられっ子ロボットが導入された社会が舞台。既視感はありますが、まあ普通かなという感じ。驚愕の展開があると良かったかも。 あとは端江田丈「猫のチュトラリー」が面白かったな、というくらい。 「うどん キツネつきの」とか「人魚の海」とか、SFなのか不明なものも多い印象。「かな式 まちかど」は明らかに出落ち。 逆に「ママはユビキタス」と「さえずりの宇宙」はSF的には良いんだろうけど、読みづらさは耐え難いものがありました。多分ある程度SFを知ってる人なら分かるんだろうけど、マニアック過ぎて暗号化されてます。最後まで読めただけでも奇跡的。 しかしこうして俯瞰してみると、視点(語り手)に配慮されている作品はハズレがないと思うのだけど、気のせい?
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完成度がやはり、という作品は多い そのなかで、時計仕掛けの天使(TVでみたことがあると思ったら、世にも奇妙な物語で放送されていた。すごい)、盤上の夜は頭抜いてる感じ。 ぼくの手の中では別格。 うどんは中盤冗長。途中で読むのを止めそうになったが、最後の年度で起こさせる視点の転...
完成度がやはり、という作品は多い そのなかで、時計仕掛けの天使(TVでみたことがあると思ったら、世にも奇妙な物語で放送されていた。すごい)、盤上の夜は頭抜いてる感じ。 ぼくの手の中では別格。 うどんは中盤冗長。途中で読むのを止めそうになったが、最後の年度で起こさせる視点の転換はなかなか。ただし、なんでそうするという意図は共感できない。 猫は女系の家族の作者が書いたんだなーという印象。主人公、セールスマンが弱い。ネーミングがださい(ケアノイド、ミャウリンガル)。ストーリー、アイディアの口当たりやわらか 時計仕掛けは、ストーリー重視。個人的に一番好み。SFとしてはイマイチだが、人間的成長がある。 人魚は文章上手いけど、描写に偏りが。 まちかどは色物。面白いし、視点の転換もある。ただしSFでない。 ママはよくわからない。情報量が多くて処理できない。巻末にもある通り、愛がない 土の塵は古いSFという印象。アイディアが素直。別に馬鹿SFとは思わない。ただし、マリア出生以外のSF的アイディアは小賢しい 盤上の夜は、記述がこなれてる印象。しっかりしてる。ただし、SF? あと、短編なのに場面切り替えが多くて頭の切り替えが大変 さえずりは理解不能。目的が分からず、読むのが苦痛。今風なのは分かる ぼくの手の中ではさすが。文章が今風で読みやすい。数学の話は数学でなくていいと思えた。素数を押す理由が明かされず、消化不良 アルジャーノンの前半を想起 ソフトなSFが多い 巻末の選評が面白い。どんなこと言ってるのかなーってのが聞けるのは大変貴重。ときどき、えー?、って思うこともありつつ、やっぱり!って共感できるのは面白い。
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ステキなタイトルが示すように、新人作家のアンソロジー。 「うどんキツネつきの(高山羽根子)」の世界観は理解できなかった。褒めちぎられているのだが、理解できなかった。「猫のチュトラリー(端江田仗)」の文体も乗り切れず。「時計じかけの天使(永山驢馬)」はいぢめ対抗ロボットというこ...
ステキなタイトルが示すように、新人作家のアンソロジー。 「うどんキツネつきの(高山羽根子)」の世界観は理解できなかった。褒めちぎられているのだが、理解できなかった。「猫のチュトラリー(端江田仗)」の文体も乗り切れず。「時計じかけの天使(永山驢馬)」はいぢめ対抗ロボットということで、どこかで読んだ設定ながらも、なかなか力が入った感じで面白かった。 「人魚の海(笛地静恵)」は魚舟の世界に近いながらも、イメージがついて行かず斜め読み。「かな式まちかど(おおむらしんいち)」は言葉遊びっぽく最初からパス。「ママはユビキタス(亘星恵風)」は面白そうなんだが、どうしても集中できずにパスしてしまった。「土の塵(山下敬)」輪廻の蛇っぽい展開が面白いのだが、その必然性がクリアでないから減点かな。 「盤上の夜(宮内悠介)」「さえずりの宇宙(坂永雄一)」は連続読み飛ばし、「ぼくの手のなかでしずかに(松崎有理)」では数学の楽しさを・・・と思ったら意外な(ダイエットの)結末で驚き。 確かに原色というか原石の感じですねぇ。
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たまにはサラダみたいなSFが読みたいな、と思って手にとった。創元SF短編賞の最終候補作品集。前代未聞のオール新人作家アンソロジー。ひらがな擬人化ストーリー「かな式 まちかど」と、古きよき王道宇宙SF「ママはユビキタス」が面白かった。
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新人作家のみのSFアンソロジー。ずば抜けてレベルの高い話はありませんでしたが、バラエティに富んでおり、新人作家のみと考えるとかなりの質です。特にお気に入りの短編は二作。亘星恵風「ママはユビキタス」、設定がとにかく凝っていて、主人公の一人語りも違和感なく入ってきた王道の宇宙SF。松...
新人作家のみのSFアンソロジー。ずば抜けてレベルの高い話はありませんでしたが、バラエティに富んでおり、新人作家のみと考えるとかなりの質です。特にお気に入りの短編は二作。亘星恵風「ママはユビキタス」、設定がとにかく凝っていて、主人公の一人語りも違和感なく入ってきた王道の宇宙SF。松崎有理「ぼくの手のなかでしずかに」、静かで落ち着いた雰囲気が好きです。
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創元SF短編賞最終候補作から9編を選した新人作品アンソロジー。 あんまりSFファンではないんでアレなんですけど、淡々と進むお話が多くて馴染みやすいと思ったり。 特にお気に入りは、捨て犬を育てる3姉妹の人生を軸に生命を語る「うどん キツネつきの」と、四肢を失った女性棋士を描い...
創元SF短編賞最終候補作から9編を選した新人作品アンソロジー。 あんまりSFファンではないんでアレなんですけど、淡々と進むお話が多くて馴染みやすいと思ったり。 特にお気に入りは、捨て犬を育てる3姉妹の人生を軸に生命を語る「うどん キツネつきの」と、四肢を失った女性棋士を描いた「盤上の夜」。 前者はあくまでもほのぼのとした日常を描いているのに、なぜか恐いまでの非日常をその裏に感じる不思議さが素敵。ラストのいきなりSFな展開とそれをサラリとかわす結末も素晴らしい。 後者はとんでもない設定を淡々と描く語り口が素敵で、そして全編に漂う乾いたエロスもまた素晴らしい。
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創元SFのSF短編賞応募作から抽出された作品を集めたもの。 確かに「磨く前の原石」風なものが多いけれど、「これってSFなの?」的な意外さも込みで楽しめました。やはり電車の中で読むには短編が最適ですね。 一通り読んだあとに読む、選者達の対談を納めた後書きがこれまた読み応えあって楽...
創元SFのSF短編賞応募作から抽出された作品を集めたもの。 確かに「磨く前の原石」風なものが多いけれど、「これってSFなの?」的な意外さも込みで楽しめました。やはり電車の中で読むには短編が最適ですね。 一通り読んだあとに読む、選者達の対談を納めた後書きがこれまた読み応えあって楽しめます。
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「原色の想像力」というあまりにもダっサいタイトルに躊躇しつつ、ツイッター界隈で話題になっていたので乗り遅れてなるものか、と些かミーハー気分で手に取る。 かたや「(自分は)SF初心者なんだから、公募で編まれた新人だらけの作品集を読んで、違いや善し悪しなんて判るかな?」と思っていたが...
「原色の想像力」というあまりにもダっサいタイトルに躊躇しつつ、ツイッター界隈で話題になっていたので乗り遅れてなるものか、と些かミーハー気分で手に取る。 かたや「(自分は)SF初心者なんだから、公募で編まれた新人だらけの作品集を読んで、違いや善し悪しなんて判るかな?」と思っていたが、考えてみたらいつもプロの小説を読んでいるわけで、成る程、書き慣れてないな。という印象の残る作品も散見された。しかしその一方で、格別に素晴らしい(というか気に入った)作品に出会えるありがたい読書体験となった。 その素晴らしかったというのは、高山羽根子「うどん キツネつきの」、笛地静恵「人魚の海」、宮内悠介「盤上の夜」の三篇。 どこの地方都市にもいそうな平凡な三姉妹とその家族とそれにまつわる「生命」のお話が綴られる「うどん キツネつきの」は、淡々としているけれどどこかオフビートで、そんでもって魅力的な文章も手伝って読み始めでいきなりノックアウト! あまりにも良くて、あろう事か二度読み(笑) 特にお気に入りは沢蟹と和江の場面。あそこだけでご飯いくらでもおかわりできる。ああそれから、お母さんと大将のエピソードもいいなあ!というがひとつひとつのエピソードの “絶妙な普通感” が兎に角、いい! 最後に取って付けたような「SF的な要素」も笑って許せる。 どこか「魚舟・獣舟」(上田早夕里)にも通じる「人魚の海」はその発想力にまず魅せられた。といいつつも、最初に思い出したのは、ビルの谷間とかにゴジラの如き巨大な美女を配置したりして悦に浸る、所謂 “巨女フェチ” ですね…(笑)。自己のそういう性癖も物語のガジェットに落とし込んだ作者の蛮勇をまずは称えたい! そういった身体性にこだわるだけあり、肉体の躍動感に満ち溢れた筆致も印象的。性描写も大地の息吹のように大らかで健康的なエロが漂う。ただし、大団円があまりにも性急なのがいただけない。面白かっただけにそれが余計に残念。 そしてなんと云っても圧倒的だったのが「盤上の夜」。四肢を失ったボクシング・ヘレナ状態の主人公・灰原由宇(この「はいばらゆう」という名前もイイ!)の描き込みが凄い! 物語半ば、本筋となる囲碁のフェーズよりも、由宇がボクシング・ヘレナ状態なった過去話が壮絶すぎて「ちょっとお話の軸(バランス)がおかしくないか?」と思わせておいて、後半にかけて語られていく言語と知覚とのせめぎ合いが、由宇の数奇な半生と重なり極太の軸を形成していく。「それでも、二人の棋士は氷壁で出会うんだよ」という台詞がまた泣ける…。名棋士・相田と由宇のセックスを越えたエロチシズムの匂いも濃厚に鼻腔にまとわりつく。 さて、その他でいくと、自分のような猫好きにタマラないのが、端江田仗「猫のチュトラリー」かなあ。香箱つくったりと、猫の描写も適切。アットホームSFとでも云うべき優しい世界観も読み心地よし。全体的にはまったく受けつけない物語もいくつかあったが、それでも清濁(?)併せ呑んで…ごちそうさまでした!
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