マキコミの技術 の商品レビュー
コグレマサト氏、いしたにまさき氏、二人のアルファブロガ―による、企業によるソーシャルメディア活用のための指南書。ちなみに、表題の「マキコミ」とは、巻き込み、巻き込まれることによる「コミ」ミュニケーションの略とのことで、どちらかというと「巻き込まれる」ことに重点を置いているのが、特...
コグレマサト氏、いしたにまさき氏、二人のアルファブロガ―による、企業によるソーシャルメディア活用のための指南書。ちなみに、表題の「マキコミ」とは、巻き込み、巻き込まれることによる「コミ」ミュニケーションの略とのことで、どちらかというと「巻き込まれる」ことに重点を置いているのが、特徴的である。 ◆本書の構成 第一章:時代は「クチコミ」から「マキコミ」へ 第二章:コツコツ「継続」がソーシャルメディアの土台 第三章:つながりを育てる「ギブ&ギブ」の精神 第四章:「マキコミ」から生まれる新しい価値 著者自身の視点による分析のほか、日産やサントリー等、ソーシャルメディアを上手く活用している企業のインタビューもあり、ボリューム満点である。また、企業視点で読んでいても面白いのだが、個人視点に置き換えても、非常に役立つ内容になっている。つまり、ソーシャルメディアにおける企業PRとは、”企業としての見解で企業を語る”ものではなく、”個人としての見解で企業を語る"ことに、軸足が移っているということだろう。ここに、大きな時代の変化を感じる。 ◆本書で印象に残ったキーワード 1:ソーシャルメディアでは、一歩前にでることが非常に重要。 巻き込むことも、巻き込まれることも、全ての起点は自分自身の情報発信から。自ら動かないと何も始まらないのである。「最初の一歩は勇気を持って」と良く言われるが、個人的には「自意識の排除」も大切だと思う。「どうせ、オレのTweetやブログなんて、誰も読んでいないのだ」「オレはオレのためにメモを作っているのだ」と思いながら小さく発進し、あとは流れに身をまかせてみる。どうせ、誰も見てないんだから! 2:小さな変化を見逃さずに、適切なリアクションで巻き込まれる。 ソーシャルメディアに、どっぷりと浸っているのに、巻き込まれた経験が全くないという人は、レアなのではないだろうか。自分の場合、このエントリーを書き出す前に、既に巻き込まれている。数日前、本書の書評を書くようにfacebookのウォールに催促があったのだ。このようなケースの場合、返すべき答は一つ、孫正義風に「やりましょう!」である。元を正せば、ブログの内容は、本によって巻き込まれた事柄を書く事で成り立っているのだし、そもそもブログを始めたことだって、Facebookのノート機能が貧弱だったことに、巻き込まれたのが、きっかけである。あとのことは、巻き込まれてから考えれば良いのだ! 3:コツコツと継続をする。ギブ&ギブの精神で。 継続することによって起こった興味深い事実として、ブログの文体が大きく変化したということがあげられる。初期のころのエントリーと今のエントリーが、まるで別人のモノのようになっている。これは、文章がうまくなったとか、読む視点が変わったとかそういうことではなく、自分のメモから共有するための情報へと、目的が変わったのだ。その過程で、リアクションをもらいながら、トライ&エラーを繰り返していくことが、自分の生活をどれだけ豊かなモノにしてくれているだろうか。ちなみに正直に言いますが、ギブ&ギブの精神というのは、あいにく持ち合わせがありません・・・ 世の中、自分の思い通りにいかないことなど、多々ある。ただし、自分の思い通りに巻き込まれることなら、出来るのではないだろうか。人に巻き込まれ、情報に巻き込まれて、システム・サービスに巻き込まれて、そして、その積み重ねが知らず知らずのうちに、周囲を巻き込んでいる。そんな”不思議なつながり”こそ、ソーシャルメディアの醍醐味である。
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