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蕃東国年代記 の商品レビュー

3.3

34件のお客様レビュー

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2011/01/31

日本とは違う、倭でもなく唐でもなく、その地は「蕃東国」。 その地に伝わる不思議な物語と世界観は、聞いたことがあるような話だったりするので、うっかり信じてしまいそうになります(苦笑)

Posted byブクログ

2011/01/24

日本語の美しい響きを感じられながら読めた。 途中に挟まれた、それぞれの蕃東国に関わる文章が、 この物語の方向性を変えている気もするけど。 幻想文学に載ってたそうなのでなるほど。

Posted byブクログ

2011/07/16

世界の果ての庭」以来、新作発表が待ち遠しかった西崎さんの労作がついに出版された。あきれるほど細密に作り上げられた架空の国の不思議な中世譚が5つも展開される。序文や各編の最後に付記されている注釈の資料、あるいは図版を読み解くことで、当時の(!)「蕃東国」の地政学的な状況が見えてくる...

世界の果ての庭」以来、新作発表が待ち遠しかった西崎さんの労作がついに出版された。あきれるほど細密に作り上げられた架空の国の不思議な中世譚が5つも展開される。序文や各編の最後に付記されている注釈の資料、あるいは図版を読み解くことで、当時の(!)「蕃東国」の地政学的な状況が見えてくるという趣向。 日本(倭国)からの渡来人と唐からもたらされた文化の影響を受けた蕃東国は、日本海に浮かぶ3つの大きな島からなる。本州に置かれた美しい都・景京を舞台に、宮廷・貴族文化が花咲く古い時代の物語だ。日本で言えば中世・平安期が該当する時期だろうか。 収録されている5話は長短があるものの、いずれも世の不思議を伝える内容。主に、有職故実を司る家に生まれた正五位の貴族・宇内とその家来・藍佐の経験談を中心として語られる。冒頭に置かれた、天に昇る生まれたての竜を見物に出かける「雨竜見物」と最後の宝探しの物語「気獣と宝玉」は宇内の豊かな学識と潜在的な機知が窺えて秀逸。若き王子が美しい姫君を娶るために、手にした謎を手がかりに化け物たちと対決しながら宝を探すという古今東西に通じる冒険物語だ。そのきっかけと後日譚がなんとも人間味があって好きだ。 「海林にて」は藍佐が旅先で巻き込まれる不思議話の競演。「霧と煙」と「有明中将」は、何とも形容しがたい不思議譚で、いわば「徒然草」や「雨月物語」の中の一編といった風情。 とにかく、注釈のひとつひとつの虚構性・緻密性に、著者の念入りなまでのこだわりが見えて恐ろしいくらい。ここまで入れ込むからには、是非とも続編が望まれるところだ。

Posted byブクログ

2011/01/08

平安時代の日本に似た、蕃東国は臨光帝の御世のお話。この世界では日本の代わりに蕃東国があるという訳ではなく、共通の文化を持ち交易などしながらも別個の国。歴史や地理など詳細な設定を窺わせながら、どこか輪郭は曖昧で淡く、夢の中の小さな日本という感じ。化怪の物が人に害をなすこともあっても...

平安時代の日本に似た、蕃東国は臨光帝の御世のお話。この世界では日本の代わりに蕃東国があるという訳ではなく、共通の文化を持ち交易などしながらも別個の国。歴史や地理など詳細な設定を窺わせながら、どこか輪郭は曖昧で淡く、夢の中の小さな日本という感じ。化怪の物が人に害をなすこともあっても、激しい対立や怨念があるわけでもなさそうで、「そういうものもいたな」という距離感が面白い。蕃東国では、人の心の不思議と超自然の怪異が等価であるかのような。そういう点で面白かったのは「有明中将」、あと正統冒険譚風ながら独特の味の「気獣と宝玉」。

Posted byブクログ