嫌な女 の商品レビュー
天性の詐欺師夏子は、法的な問題が起こると遠戚の弁護士徹子に尻ぬぐいを頼む。わがままで奔放な女という面が強いが、それだけとも思えないところが夏子の魅力。 2人が年を重ねていくにつれて、それぞれの生き方に味わいが増す。持って生まれた資質は変わらないまでも、積んできた経験はじっくりその...
天性の詐欺師夏子は、法的な問題が起こると遠戚の弁護士徹子に尻ぬぐいを頼む。わがままで奔放な女という面が強いが、それだけとも思えないところが夏子の魅力。 2人が年を重ねていくにつれて、それぞれの生き方に味わいが増す。持って生まれた資質は変わらないまでも、積んできた経験はじっくりその人を育むのだなあと感じた。 インパクトの強い本だった。星は4以上。
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「いるいる、こういう女!」という話かと思いきや、そんな「嫌な女」の負の面ばかりでなく、違った角度からの考察もあって予想以上に楽しめた1冊。 「女」を駆使して男をだまし、金を奪っては次の男、また次の男へと渡り歩いて生きる夏子。 奔放で自己中心的としか思えない彼女の行動だが、そしてそれは実際に事実なのだが、夏子の被害者たちの話を聞いていくうちに、彼女は男たちから「奪う」だけでなく、「与えた」ものもあるのだということが徐々に明らかになっていく。 そしてそれは、金を積んでも得難い幸福な時間なのだ。それが偽りだと気づくまでは。 ひとの心は複雑だ。そしてそのぶん、人生は多様で、ドラマチックだ。 弁護士である主人公が死につつある老人の遺書を作成する話、それを残された者に渡したときの話、そして最後に主人公が遺書を受け取る側になったときの話は、どれも喉の奥が熱くなった。
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タイトルは「嫌な女」なんだけど、夏子という女は、まさに「ザ・女」という感じがする。こういうタイプの女は一人くらい思い当たるんじゃなかろうか。典型的な「男に好かれて女に嫌われる」タイプ。 でもそれに翻弄されているはずの遠戚の徹子がだんだん惹かれていってしまうのがわかるような気がする...
タイトルは「嫌な女」なんだけど、夏子という女は、まさに「ザ・女」という感じがする。こういうタイプの女は一人くらい思い当たるんじゃなかろうか。典型的な「男に好かれて女に嫌われる」タイプ。 でもそれに翻弄されているはずの遠戚の徹子がだんだん惹かれていってしまうのがわかるような気がする。 経年変化で描かれている二人の関係は年を重ねるにつれて、どんどん深いものになっていく。 夏子本人は登場せず、すべて徹子の語りで処理されてしまうところがまた想像をかきたてるのだ。 夏子と徹子という二人の物語であると同時に、生きにくさを抱えた徹子の物語でもあるので、ときおり徹子の内心に触れた箇所が出てくる。若い頃の、説明のつかない「虚しさ」の正体。さらにはラスト近くででてくるみゆきさんの手紙。そのシーンでは私も涙が止まらなくなった。 初めはなんとなく「嫌な感じ」で始まるのに、読み終えると爽快感が残る。 桂さんの作品はどれもそうなんだけど、最後が清々しいのだ。 それにしても、夏子のような生き方は真似できないなあ…。
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「本の雑誌」で面白いと紹介されていたので、神戸市立図書館で予約。順番が回ってきたころjには、予約したことも忘れていたのでで、変なタイトル…と思いましたが、読んでみると面白い短編集でした。 弁護士の主人公徹子が、遠い親戚の問題児・夏子から何年かごとに厄介者事を持ち込まれ、そのた...
「本の雑誌」で面白いと紹介されていたので、神戸市立図書館で予約。順番が回ってきたころjには、予約したことも忘れていたのでで、変なタイトル…と思いましたが、読んでみると面白い短編集でした。 弁護士の主人公徹子が、遠い親戚の問題児・夏子から何年かごとに厄介者事を持ち込まれ、そのたびに関係者に会って…というスタイル。徹子は社交性のない優等生がだんだんと丸くなって人間的な面が出てきて、天性の詐欺師夏子は、学習しないように見えてそれなりに変わっていくのがしみじみ。年をとるのも悪くないなと思わせる本でした。働く女性の一つの道筋をシュミレーションしてくれる内容なので、できたらもっと若いころに読みたかったかも。
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弁護士見習いの徹子と親戚の夏子の物語。 といっても、夏子自身は出てこなくて、 周りの人の言葉から、その人柄が浮き彫りになるという感じ。 タイトルの「嫌な女」は、この夏子のことかと思わせる。 自分が大好き、男が大好き、お金が大好き。 詐欺行為ばかりを繰り返すが、不思議と悪く思わ...
弁護士見習いの徹子と親戚の夏子の物語。 といっても、夏子自身は出てこなくて、 周りの人の言葉から、その人柄が浮き彫りになるという感じ。 タイトルの「嫌な女」は、この夏子のことかと思わせる。 自分が大好き、男が大好き、お金が大好き。 詐欺行為ばかりを繰り返すが、不思議と悪く思われない(特に男には)。 しかし、実は、彼女に関わっている徹子本人が、 自分を愛せていない人間で、自分を「嫌な女」だと思っているのではないだろうか。 歳を重ね、老女になっても、夏子は精力的に「嫌な女」であり続ける。 ふいに、もしかしたらいいところもあるじゃないの、と思わせたりしながらも、 登場人物たちや読者の期待を裏切らない「嫌な女」ぶりは、 痛快でさえあるのに、 なぜかふふっと笑ってしまう、それは不思議な魅力なのだろう。 若い頃、この手の女性は、大嫌いで、顔を見るのもいやだったが、 今もし会うとしたら、意外と仲良くできそうな気もするのは、 私がオトナになったせいだろう。 徹子が歳を重ねて、変わっていったように、私の感じ方もどんどん変わっていくといい。
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ひたすらに真面目に生きてきた女性弁護士・徹子が折に触れて依頼を受けるのは遠縁の女性・夏子。嘘つきで小金に目がなくて、結婚詐欺、送りつけ詐欺、保険詐欺と全く反省はないし詰めは甘いし凝りないのだが、人を楽しませる天才で、憎めない夏子の開き直りはけろっとして明るい。 二十代から七十代ま...
ひたすらに真面目に生きてきた女性弁護士・徹子が折に触れて依頼を受けるのは遠縁の女性・夏子。嘘つきで小金に目がなくて、結婚詐欺、送りつけ詐欺、保険詐欺と全く反省はないし詰めは甘いし凝りないのだが、人を楽しませる天才で、憎めない夏子の開き直りはけろっとして明るい。 二十代から七十代までの二人を通して、思い通りに生きている人はいないし、誰もが折り合いをつけている、と気づかされる。 頑なだった徹子が遺言を預かる仕事を手掛ける下りは心にずしりと来るよいシーン。 実は親友とはなにかを問う友情小説でもあります。
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どんな嫌な女が出てくるのだろう・・気になり手に取りました。 夏子と言う女は次々と詐欺師まがいの事をし、悪びれる事もなく凄いけれど、夏子がいるだけで周りの人達が元気になる・・・見習いたい部分でもある。
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はじめは取っつきにくかったけれど,だんだん面白くなってきた。各章の時間経過がなかなかいい。懲りずに色々画策するが,たいした成功も収められない夏子の内面をあかしてほしかった。最後の方でみゆきの存在が生きています。
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どんなに嫌な女なんだろう。読む前にそんな風に読者を構えさせるこの本。石田徹子は駆け出しの弁護士。遠い親戚の小谷夏子の依頼で、彼女から一方的に婚約破棄を受けたとして慰謝料を請求している男のもとへ出かけた場面がオープニング。 夏子の逸話は凄い。幼少の頃祖母ちゃんが二人に拵えた大輪の向...
どんなに嫌な女なんだろう。読む前にそんな風に読者を構えさせるこの本。石田徹子は駆け出しの弁護士。遠い親戚の小谷夏子の依頼で、彼女から一方的に婚約破棄を受けたとして慰謝料を請求している男のもとへ出かけた場面がオープニング。 夏子の逸話は凄い。幼少の頃祖母ちゃんが二人に拵えた大輪の向日葵柄のワンピース。徹子のほうがみんなから「よく似合うと」ほめられたその翌日。洗濯機にはびりびりに切り刻まれた服があったという。「だって私の方が似合うもの」と泣き叫び、かえって皆の同情を買ったという夏子。第八章まで、そんな彼女からの依頼を受けてせっせと相手方に出向く徹子は、夏子の破天荒というか詐欺的な所業を目の当たりにする一方で相手方に元気を与えている状況を知る。とんでもないけれどそれだけではない夏子。不思議な女性。憎めないというとは違う。圧倒的な存在感。夏子を鏡に徹子の生き様を描いた重厚な小説だ。
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人生で弁護士に厄介になる事なんてそうそうない。はずが夏子は違う。 タイトルの嫌な女=夏子でしかなくて、でもちょっと徹子も嫌みな部分がある。という感じだったのに、読み終わる頃には二人ともに魅力的を感じている不思議。 詐欺師だから結局は騙してるんだけど、嘘ばかりじゃなくちゃんとあたた...
人生で弁護士に厄介になる事なんてそうそうない。はずが夏子は違う。 タイトルの嫌な女=夏子でしかなくて、でもちょっと徹子も嫌みな部分がある。という感じだったのに、読み終わる頃には二人ともに魅力的を感じている不思議。 詐欺師だから結局は騙してるんだけど、嘘ばかりじゃなくちゃんとあたたかいものも残している部分に救いはあるんだけど、夏子は友達にはしたくないタイプ・・・。 時系列で物語が進むので、2人ともちゃんと年をとっていて2人を取り巻く環境も変わっていく。弁護士の徹子の成長期として読むこともできる。終盤ではホロっとくる場面も多数。 ただ、2章で出てくる名古屋弁。 あれはないわー。 【生来の詐欺師・夏子は男をその気にさせる天才。口癖は「これで終わるような女じゃない」。 がむしゃらに勉強だけをして弁護士となった徹子は、いつも虚しさを感じている。同い年で遠戚、たびたび夏子のトラブルの始末をさせられる徹子。したたかな女と不器用な女が向き合いみ締める人生を描く、桂望実、2年ぶりの長編!】
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