瞬間と永遠 の商品レビュー
今まで7冊ほどドゥルーズの解説書を読んで、どれも刺激を受けたのですが、本書が一番「未来への予感をはらむ」もののように感じます。例えば同著者の『バロックの哲学』など。 この本と『差異と反復』、『意味の論理学』の三書を抱えて沈潜したい気持ちもあり。
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言葉で述べることと身体が行為することとは、そもそも一致するものではない。そのズレは原則的な問題だ。パラドックスは、つねにこれらのあいだのズレに関わっているのだから。 こうしたパラドックスを突きつけられることが、ひとが思考をはじめる原初にあるのではないか。ドゥルーズが「出逢い」と呼...
言葉で述べることと身体が行為することとは、そもそも一致するものではない。そのズレは原則的な問題だ。パラドックスは、つねにこれらのあいだのズレに関わっているのだから。 こうしたパラドックスを突きつけられることが、ひとが思考をはじめる原初にあるのではないか。ドゥルーズが「出逢い」と呼んでいる事態、思考を強要してくる「出逢い」とは、それ自身、こうしたパラドックス的な自己の生のことではないか。自己の無思考を自己に突きつけ、「思考しえないものの思考」を導いてくること。しかし、矛盾のなかで思考停止に陥るのではなく、まさにそこから思考をはじめていること。 ひとは奇妙なことをするし、整合性のないことをしゃべる。いい加減なことをして、その奇妙さを自覚させられる。そのとき、ひとは新しいものと出逢っているし、愚鈍さをもって思考を発生させている。このことを明確にしなければならない。そして、そこでの恥じらいと重なる自己の倫理を探らなければならない。
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