都会と犬ども の商品レビュー
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フォークナーからの影響にとどまらず、圧倒的に独創的。大江健三郎以外の日本文学は勝負にならないね。意識の流れを記述するような文体だけではなく、時制が入り混じった文体まで登場する。いろんな視点で群像劇が描かれる。いろんな人間が登場するのだが、腐敗した士官学校のなかでは、不正、いじめが横行し、それに同調できない人間、そして抵抗を試みる人間は排除される。その腐敗した権力構造の外部に出ることでしか人間性は回復されない。もう一回読む必要があるほど複雑で重層的な構造をもっているので、光文社古典新訳文庫でも読んでみたい。
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ペルーのノーベル賞作家によるデビュー作、士官学校が舞台だが実体験に基づいていて非常にリアル。この士官学校は実在し、腐敗や暴力が露骨な本書は校庭で焚書にされた時代もあったとか。 ただネタバレ的なところでは、最後のどんでん返しにちょっと無理があったように感じた。奴隷の依頼でテレサの元...
ペルーのノーベル賞作家によるデビュー作、士官学校が舞台だが実体験に基づいていて非常にリアル。この士官学校は実在し、腐敗や暴力が露骨な本書は校庭で焚書にされた時代もあったとか。 ただネタバレ的なところでは、最後のどんでん返しにちょっと無理があったように感じた。奴隷の依頼でテレサの元に行ったのは詩人でしかありえなくないか…と。
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独白と物語が交錯して、主観と客観が入り混じる構成。読みにくいといえば読みにくいが、慣れてくれば深く浸れる感じ。個人的には、こういう複雑な構成はあまり得意ではないので、読むのに結構難儀しましたが、多角的な視野や思考が得意な方なら向いているのかもしれません。 また、ストーリーの冗長な...
独白と物語が交錯して、主観と客観が入り混じる構成。読みにくいといえば読みにくいが、慣れてくれば深く浸れる感じ。個人的には、こういう複雑な構成はあまり得意ではないので、読むのに結構難儀しましたが、多角的な視野や思考が得意な方なら向いているのかもしれません。 また、ストーリーの冗長な感じが難しかったです。 それらを勘案して、星3つ。
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とても面白かったが、少し間延び感があったのと、道尾秀介みたいな叙述トリックが個人的には好きで無かった。面白いのに何故か、後何ページで終わるんだろうと思いながら読んでいる自分がいた。
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レオンシオ・プラド士官学校の雑多な雰囲気と乱れた風紀が、独特の重さ・暗さを持って伝わってきた。娑婆の明るさとの対比がまた見事… いじめとその結末については、本当に痛々しい。一方で、当事者たちの精神的成熟の過程には、ある種の清々しさも感じる。 複雑な構成を整理しながら読まないと混乱...
レオンシオ・プラド士官学校の雑多な雰囲気と乱れた風紀が、独特の重さ・暗さを持って伝わってきた。娑婆の明るさとの対比がまた見事… いじめとその結末については、本当に痛々しい。一方で、当事者たちの精神的成熟の過程には、ある種の清々しさも感じる。 複雑な構成を整理しながら読まないと混乱するため、パートごとに誰がどういう行動を取っているか書き出しながら読み進めました。
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1963年発表、ペルーの作家バルガス=リョサ著。寄宿舎が設けられた士官学校では、生徒間で起こるいじめや暴力、酒や博奕、試験問題の盗難などがはびこっている。腐敗した環境は一定の秩序を保って安定していたが、生徒の一人が訓練中に銃で撃たれ負傷したことをきっかけに疑惑が飛び交い、破綻が...
1963年発表、ペルーの作家バルガス=リョサ著。寄宿舎が設けられた士官学校では、生徒間で起こるいじめや暴力、酒や博奕、試験問題の盗難などがはびこっている。腐敗した環境は一定の秩序を保って安定していたが、生徒の一人が訓練中に銃で撃たれ負傷したことをきっかけに疑惑が飛び交い、破綻が訪れる。ストーリーは各断片ごとに、様々な登場人物、三者視点や自己視点、過去と未来が入り乱れる。 リョサの代表作として「緑の家」がよく挙げられるようだが、個人的にはこちらの方が好みだった。 とにかくまず少年達の生活の腐敗具合に驚く。これだけでもストーリーとしては十分面白いが、そこに時系列を崩すことで町にいた時の初々しい恋愛模様が入り込み、対比が生まれてハッとする。更に後半近くなって、それまでただの鬼教官のように見えていた中尉側の視点が入り込むと、事態の深刻さが露呈し、八方塞がりな雰囲気が満ちてくる。「緑の家」ではもう少し全体として平坦に感じられたのだが(あるいは小さい波がいくつかある感じか)、この小説は読めば読むほど興奮の水嵩が増していき、中盤以降はいつどこから崩れてもおかしくないような緊張状態が続く。スピード感で読者を引き込む小説とはまた違う、リョサらしい独特な手法だ。
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いじめの場面はめちゃくちゃ腹立ったけど、やっぱりリョサはおもしろい。 時系列がばらばらで、誰の話かわからなかったりもするので、ひとつひとつのエピソードを心に留めるように意識して読んだ。 読み終わってすぐに再読したくなる小説。
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レオンシオ・プラド士官学校は3年間の寄宿学校。厳しい訓練と指導が行われ、親の手に負えない悪たれやひ弱さが鍛えられることを期待される子供が集まってくる。新入生は人間以下の犬っころ。学年同士の闘争も激しい。生徒たちにとっては教官の目をかいくぐってのいじめや売買や盗みや飲酒喫煙が日常。...
レオンシオ・プラド士官学校は3年間の寄宿学校。厳しい訓練と指導が行われ、親の手に負えない悪たれやひ弱さが鍛えられることを期待される子供が集まってくる。新入生は人間以下の犬っころ。学年同士の闘争も激しい。生徒たちにとっては教官の目をかいくぐってのいじめや売買や盗みや飲酒喫煙が日常。ここで生き残るには知恵と力が必要だ。 文才と機転の利く“詩人”アルベルトはイカれた振りをして攻撃を煙に巻き、エロ小説とラブレターを売って金を稼ぐ。“ジャガー”は力で生徒たちに君臨し、組織を作り他学年と対立し、試験問題の売買を取り仕切る。ジャガーに逆らわなかった気弱なリガルド・アラナは“奴隷”と呼ばれ、いじめや盗みの対象となる。教官のガンボア中尉は生徒には厳しいがあくまでも軍律を守り中立に物事を判断するとして生徒たちから一目置かれる。 学校内で起きた試験問題盗難と密告事件、そして訓練の最中の生徒の死亡、それに対する殺人の告発。しかし学校関係の軍人は、殺人の告発を高圧な恐喝と左遷により握り潰す。 大人の監視下に置かれながら、大人社会の縮図を描き出す少年たちの世界を描いた作品。 === バルガス=リョサ初期の頃の長編作品。 物語は、三人称で語られる学校生活、一人称で荒々しく語られる生徒の内面から見た学校生活、そして三人の生徒たちの入学前のエピソードが入り混じりあう。現在と過去の会話を交錯させることにより状況を浮かび上がらせる手法、同一人物か別人かが最後にならないと分からない構成、多くの目線から語られる文体の違いによる作品の厚さなど、バルガス=リョサらしい手法が使わる。 権力やワルが正義をねじ伏せる構造だけれど、終盤はねじ伏せられた側も自分を貫いたり、新たな価値観を見つけたり、収まるところに収まったりと、割りとすっきりと読み終えました。
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舞台は著者が在籍していた士官学校。件の学校で本作1500冊が燃やされたという凄まじい内容。マチスモという「男らしさ」賛美の美徳がある種の呪い・病理として学校や社会を貫く。主要登場人物の背景の描き方が斬新で思わず声を上げて驚いてしまった。
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様々な立場の生徒の目線を織り交ぜながら、 ペルーの士官学校を描いた作品です。 抑圧された環境下での、 まるで糞みたいな、目も当てられない出来事を描いているため、 いやあな気持ちがこみ上げてくることは確かなのですが、 (日本のいじめがとりわけひどいなんてのは、 嘘だったのかと思...
様々な立場の生徒の目線を織り交ぜながら、 ペルーの士官学校を描いた作品です。 抑圧された環境下での、 まるで糞みたいな、目も当てられない出来事を描いているため、 いやあな気持ちがこみ上げてくることは確かなのですが、 (日本のいじめがとりわけひどいなんてのは、 嘘だったのかと思うくらいのえげつなさです) いやしかし、それも含めて、いま読んでよかったと個人的には思っています。 実際、テーマ、表現、ストーリー、構成は、 それぞれ、どれをとっても一級品と言えるでしょう。 とりわけ構成が上手いですね。 そういうタイプの作家と思っていなかっただけに、 ガツンとやられました。 事件のゆくえがどうなるのか、 読者をはらはらさせんがら読ませる技術も流石ですし、 ミステリ好きにもお勧めできる小説であります。 あ、そうそう、解説のところでは、 かなり物語の革新的なところまで踏み込んでいるので、 読み終えるまでは絶対に覗いちゃいけません。
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