加害者家族 の商品レビュー
日本は依然として、加害者だけでなくその一族にまで罰を与えようとする江戸時代の感覚から抜け出ていないように思う。それがかえって、更生環境に悪影響を与え、再犯へとつながっているように感じるのだが…。加害者家族の支援をしているワールドオープンハートの活動はとても興味深い。
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犯罪心理に興味があるため、専門家の分析や被害者・加害者の手記などを読んできた。ただ、この本は今までになく重い内容だったように感じる。知っているようで知らなかった加害者家族の苦しみ、つらさ。知らなかったという言葉さえ語弊がある。加害者家族の支援と聞くと、被害者の方が、と反射的に考え...
犯罪心理に興味があるため、専門家の分析や被害者・加害者の手記などを読んできた。ただ、この本は今までになく重い内容だったように感じる。知っているようで知らなかった加害者家族の苦しみ、つらさ。知らなかったという言葉さえ語弊がある。加害者家族の支援と聞くと、被害者の方が、と反射的に考えてしまうものだが、そんな責任を押し付ける言葉だけで片付けていい問題ではないことはよくわかった。 しかし気になる点が一点。この人の電話や手紙による取材は、加害者家族にとって、文中で述べられていたマスコミの攻撃と一緒なのでは?加害者家族支援団体とのツテがあるなら、そこを通した方がよかったのではないか。
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日本で犯罪を起こした加害者の家族・関係者はどんな境遇にさらされることになるのか?ほとんどの人には無縁のお話で、ある程度の想像は出来ても、これまで見ないふりをしてこられた。マスコミも事件の直後には派手に取り上げるが、人の噂も75日で、その後のことはほとんど報道されない。しかし連続幼...
日本で犯罪を起こした加害者の家族・関係者はどんな境遇にさらされることになるのか?ほとんどの人には無縁のお話で、ある程度の想像は出来ても、これまで見ないふりをしてこられた。マスコミも事件の直後には派手に取り上げるが、人の噂も75日で、その後のことはほとんど報道されない。しかし連続幼女誘拐殺人事件など世間を騒がせた有名な事件のその後の顛末を含め、本書でさまざまな悲惨な事例が紹介されており、読み進めるのが辛いほどであった。 こういう書を読めば、絶対に犯罪の加害者になってはならない!という気持ちにさせられると思うのだが、犯罪起こすような人は、まずもって読まんだろうしね。そこをどうやって伝えるかだ。 本書はNHKの「クローズアップ現代」「犯罪”加害者”家族たちの告白」の取材をもとに、まとめ直したものだそうな。 NHK以外のマスコミにも興味本位のバッシングに加担せず、こういったところで頑張って欲しい。 最後の方に、アメリカでのお話があったが、実に驚愕の事実---犯罪件数の圧倒的な多さ。この数ならば、それこそほとんどの人が、加害者の家族といわないまでも関係者であったとしてもおかしくなくなってしまう。なればこそ、日本のように加害者家族を村八分にするようなことやってたら社会が成り立たなくなってしまうので、前向きな施策も出てくるというもの。 (2013/2/20)
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引用に使われている加害者家族が出版した手記や、ジャーナリストが取材したルポルタージュは、興味深い。 「子どもが加害者になるサイン」の部分は読みごたえがある。
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衝撃的な一冊だ。 報道を見聞きしても事件周辺の情報はまるでよくわからない。その後はどうなったんだろう? と思うものの、知る機会はあまりない。 犯罪心理の観点から興味本位で読みはじめたが、事実のあまりの残酷さに涙が滲んだ。 悪いことをしてはいけない——。誰でも知っていることだ。...
衝撃的な一冊だ。 報道を見聞きしても事件周辺の情報はまるでよくわからない。その後はどうなったんだろう? と思うものの、知る機会はあまりない。 犯罪心理の観点から興味本位で読みはじめたが、事実のあまりの残酷さに涙が滲んだ。 悪いことをしてはいけない——。誰でも知っていることだ。だが、実際悪いことをしたら、どうなるのかは知らないのではないだろうか? いくつかの事例をあげて、事件当時の加害者家族まわりで起こることが記載されているが、善意の悪意とはよくいったものだ。とにかく”恐ろしい”の一言に尽きる。 インターネットの匿名掲示板の裏で一体なにが起こっているのか? 実際に起こった事例を読むと本当に寒気がする。 人生やり直しがきくと前向きな人は考えるかもしれない。 だが、悪いことをしたら、その周辺の人々まで不幸が飛び火し、人生そのものを崩壊させてゆく連鎖の現実が確かにあるのだ。 法律も人も誰も助けてはくれない。みんな離れてゆく——。孤立する先に待つものは、絶望と死である。と、私は本書を読んで感じた。 その過程に、もしかしたら自分も加担しているかもしれないという事実が非常に重く心にのしかかる。 12歳ぐらいから思春期の人、心に黒いものを抱えている人には、特に必読の一冊。 いや、万人に読んでもらいたいと思った一冊だった。
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ここ数日、被害者側からの視点で書かれた本を読んでいたので、今度は加害者のことを知ろうと思い、手に取った本。 第一章では殺人事件を引き起こした夫のために、家族関係・友人関係(相談すればその人を追い込んでしまうので巻き込めないと思うに至っている)・近隣との付き合い・ネット上の暴言...
ここ数日、被害者側からの視点で書かれた本を読んでいたので、今度は加害者のことを知ろうと思い、手に取った本。 第一章では殺人事件を引き起こした夫のために、家族関係・友人関係(相談すればその人を追い込んでしまうので巻き込めないと思うに至っている)・近隣との付き合い・ネット上の暴言・子供に転校を強いてしまう様子が記されていた。これらは想像できたことだが、妻が夫に対して「私達がこんなに苦しんでいるのに『刑務所から出たら一緒に暮らしたい』と立場が守られているのが許せない」といった趣旨の感情を抱いている点は抜け落ちていた。 被害者側の人間も偏見の眼差しを向けられることを、有名な桶川ストーカー殺人事件、千葉大生殺害放火事件の例を挙げて説明している。強姦神話のように「被害者側にも落ち度があったから」と一度も思ったことがない人は、おそらくいないのではないだろうか。 真実を知りたいと民事訴訟を起こした親に対し、「子供の命を金で売るのか」と心無い発言をする人間もいる。 冤罪の為に加害者側に立たされてしまった河野義行さんや菅谷利和さんの例を始め、誤った捜査やマスコミの報道のために苦しめられ、社会的立場を失ってしまう事例を見ると、本書内のアメリカの加害者によせられた勵ましの言葉(下村健一のレポート)とまではいかないが、ネット上で加害者への感情を爆発させるのも考えものだと思わされた。 もっとも、日垣隆『少年リンチ殺人』のような、反省の色を見せない親子のような人たちに憤ることや、福岡市職員の相次ぐ不祥事(飲酒運転)も責められるのは当然ではないかと思う。 また、一応マスコミも「集団的過熱取材に関する日本新聞協会編集委員会の見解」というものをまとめているようだ。 「あまり内容が無い」「筆者は何を意図して執筆したのか分からない」という批判があるようだ。一体どのような内容を期待したのか分からないが、私自身は加害者家族を取り巻く問題を包括的に捉えようとしていると読んだ。 自分用キーワード 当番弁護士 POPS(イギリスのNGO) OPSG(オーストラリアの組織) ワールドオープンハート(日本のNPO) 社会的絆理論 佐木隆三『宮崎勤裁判』(自分を守ろうとしている事を意味するからといって、支払能力がある家庭が私選弁護人をつけないのはおかしいと批判) 『平成十四年度少年非行の実態解明に関する調査』(犯罪に対する意識はマスコミによって形成されている?) トニー・パーカー『殺人者達の午後』 江川紹子『名張毒ぶどう酒殺人事件』 世間学会
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非常にためになる本 あえてだと思うが、淡々とした語り口だった。 この問題はいつも心の隅に置いておきたいと思う。 将来の自分に役に立つ本だった。
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犯罪加害者の家族を追うレポルタージュ。著者は加害者の家族へ取材をした。犯罪加害者の家族がどんな暮らしをしているか、考えたことはなかった。離職・離婚、犯罪者の家族だということを隠して、マスコミ・世間からの攻撃に怯えながらの生活。
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犯罪加害者家族の事件後について書かれた本。 正義とは何か。感情にまかせては正しい道は渡れない。加害者であり被害者。 そんなキーワードがぐるぐるまわる一冊。
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知っている事件もそうでもない事件でも被害者のほうに焦点が当てられがちだけど、加害者の家族もけっこう大変な思いをしているんだよ、ということがよくわかる一冊。これを読むと家族のいる人は犯罪をしちゃいけないってつくづく思いますね。経済事件ならともかく、殺人関係は重いですわ。
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