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津波災害 の商品レビュー

4.4

36件のお客様レビュー

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2011/06/23

2011年12月に発刊された本です。津波のメカニズムに始まり、日頃の避難訓練の大切さや地域のコミュニティ、どうしたら今後の津波被害を小さくする事が出来るのか、また、津波被害のあった地域の復興に何が必要であるかを素人でもわかり易く説明しています。今回の大震災を如何に風化させずに今後...

2011年12月に発刊された本です。津波のメカニズムに始まり、日頃の避難訓練の大切さや地域のコミュニティ、どうしたら今後の津波被害を小さくする事が出来るのか、また、津波被害のあった地域の復興に何が必要であるかを素人でもわかり易く説明しています。今回の大震災を如何に風化させずに今後の避難につなげていくかがとても大切なんだと、この本を読んで実感しました。ためになる1冊。

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2011/06/20

防災、そして減災。 本書が提案する「津波対策」とは、いかに津波を封じ込めるかという思想に基づいた「防災」ではなく、津波が防災の想定を常に超えることを前提として、いかにして災害から身を護るか(逃げるか)という「減災」の思想に基づいている。 つまり、どれだけ高くて頑丈な堤防をつくれば...

防災、そして減災。 本書が提案する「津波対策」とは、いかに津波を封じ込めるかという思想に基づいた「防災」ではなく、津波が防災の想定を常に超えることを前提として、いかにして災害から身を護るか(逃げるか)という「減災」の思想に基づいている。 つまり、どれだけ高くて頑丈な堤防をつくれば津波災害を防げるのかという発想に批判的なのだ。どれだけ立派なものを作ったところで自然には敵わないという前提で、人々が行動できるような体制を作り上げる必要を説く。 そういう視点に立って、現状の災害対策の最大の問題点とは、災害を後世に伝える仕組みが整っていないということだと著者は指摘する。 災害の記憶は伝えずらい。例えば今、もう一度津波が来るような事があれば、皆急いで逃げ出すだろうが、80年後にはわからない。それが証拠に、昭和三陸地震から80年後の東日本大震災において、多くの人々が逃げ遅れてしまった。 災害の歴史はこの繰り返しであるという。いかにして「恐怖」を伝えるのかという事が、大きな課題だ。記憶を伝えることの限界を見越して、災害から逃げるための行政システムをつくることも急務である。 中央防災会議の19日の報告は、この思想に基づく方針を示した。「むやみに防潮堤などをかさ上げするのではなく、避難計画や避難路の整備などまちづくり、地域防災計画と連動させ総合的な防災対策を進める。」あとはこれに、人々がいかにして自覚を持って取り組めるかという事にかかっている。災害の恐怖を伝えていかねばならない。 科学がいかに津波を解析しようとやるべきことはひとつ。「逃げろ!」なのだ。

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2018/10/14

尊敬する河田先生による、とてもバランスの取れた「津波災害/減災」の一般向け解説書。 まず逃げることを優先する、地域で繰り返し逃げることを訓練する、ことが大切。このことが単なる地震学者ではない災害の専門家である著者の膨大な経験と研究成果のエッセンスとして繰り返し語られる。 本来、...

尊敬する河田先生による、とてもバランスの取れた「津波災害/減災」の一般向け解説書。 まず逃げることを優先する、地域で繰り返し逃げることを訓練する、ことが大切。このことが単なる地震学者ではない災害の専門家である著者の膨大な経験と研究成果のエッセンスとして繰り返し語られる。 本来、原子力よりもこちらが緊急の論点であるはずだ。一昨年に発刊されている本書はとてもタイムリーである。あまり読まれていないようだが。岩波書店も、反原子力の俄エネルギー専門家の泥縄著書ばかりプロモートすることはやめて、津波防災をとても丁寧にあつかっているこの本をもっと宣伝するべきだ。

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2011/06/02

読み終わって、ひたすら、悔しい!との感想。 どうにもならなかったことも多かったのだろうが、この本の知見がもっと広まっていれば、命を失わずに済んだ人も数多くいたと思われる。 著者の河田惠昭さんが館長を務める「人と防災未来センター」にも何回か訪ねたことがある。こちらも展示品を見ること...

読み終わって、ひたすら、悔しい!との感想。 どうにもならなかったことも多かったのだろうが、この本の知見がもっと広まっていれば、命を失わずに済んだ人も数多くいたと思われる。 著者の河田惠昭さんが館長を務める「人と防災未来センター」にも何回か訪ねたことがある。こちらも展示品を見ることで減災の重要性を再認識することができる。 これからもコメンテーターや関西大学社会安全学部長としての精力的な情報発信に期待したい。

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2019/06/29

なんと今回の地震の3ヶ月前の出版である。 吉村氏の本は小説家の目から見た津波であったが、こちらは津波防災研究の専門家のもの。 津波の種類で近海の地震によるものとチリなどの遠方の津波の違い、津波の発生と伝わり方のメカニズム、古文書に見られる過去の事例、防災避難への対策を説いている...

なんと今回の地震の3ヶ月前の出版である。 吉村氏の本は小説家の目から見た津波であったが、こちらは津波防災研究の専門家のもの。 津波の種類で近海の地震によるものとチリなどの遠方の津波の違い、津波の発生と伝わり方のメカニズム、古文書に見られる過去の事例、防災避難への対策を説いている。また「津波は引き波から」とか「ゆれが小さいと津波はこない」などの伝承が正しいかどうか、などを検証している。・・これはある場合にはあてはまり、そうでない場合もある、ということで伝承に捕らわれてはいけないとしている。それほど、津波は時と場所で状況が異なるということらしい。 で、この本を出すきかっけだが、2010年2月27日に発生したチリ沖地震津波で、わが国で168万人対象に避難指示が出たにもかかわらず、実際に逃げた人が3.8%だった、という事実に危機感を覚えたためと最初に記している。このままでは大災害が起きる、被害を防ぐには、津波のメカニズムを知り、それを「避難」という行動に結びつけなければならない、そのためにこの本を書いたとある。津波は「避難すれば助かる」のだと読者に伝えたいとある。・・・避難すれば、高い所に、ということであるが、今回の津波の動画を見ていると、ほんとにグラっときたらすぐに行動を起こさないといけないんだなあ、という気がする。しかし著者も今回、ここまでのものは想像できなかったのでは。それほど自然の驚異はすごいんだ、ということを逆に教えてくれる。 また古文書にみられる時代を追っての事例をみると、事例研究も大切だなあという気がする。そして忘れてはいけない、ということ。 これは吉村氏の本を買った本屋に無かったので、少し遠くの県内では一番大きい本屋で買った。しかし普通の岩波新書の所に普通に置かれていた。別に震災コーナーも作ってあったのだがそこには無かった。あるいはそこに置いといたのだがそこでは売り切れていたのか。。 これも吉村氏の本と同じようにひら積みにしていい。

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2011/05/09

東日本大震災の3ヶ月前に出版された津波災害の仕組みと怖さ、対策法をわかりやすく説明した本です。  津波のメカニズムと恐ろしさを図や写真等をもちいてわかりやすく説明しています。たとえば、通常の波と津波の違いについて、2mの津波は波というよりも2mの高さの濁流が海から流れてくる、な...

東日本大震災の3ヶ月前に出版された津波災害の仕組みと怖さ、対策法をわかりやすく説明した本です。  津波のメカニズムと恐ろしさを図や写真等をもちいてわかりやすく説明しています。たとえば、通常の波と津波の違いについて、2mの津波は波というよりも2mの高さの濁流が海から流れてくる、など直感的にわかりやすい説明をしています。  そして、津波は地震や台風などと違い、避難することで確実に命を守ることができる唯一の災害であると説いています。  そのためには、津波の仕組みと恐怖を正しく理解し、津波情報にどう注意したらいいか、津波が着たらどうすればよいかについて社会科学的な点からも考察しています。  津波は必ずしも引き波から始まるとは限らない、復興には事前に被災後の街づくりを計画しておかないと時間が無くて結局もとの町になってしまう、過去津波がきたことが無いところは単に記録に残ってないだけである、など、気づかされることが満載でした。  この本が、もう少し早く出版され、何かで話題になっていたら救えた命もあるのではないかと悔やまれるくらいの本です。一読の価値アリです。

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2011/05/07

情報化時代はとうの昔に過ぎ、 情報過多時代、情報混沌時代を生きている。 後で知れば必要な知見はそこにあったのに、 それ以前にはとんと気づかない。うかつであった。 帯にこうある。 (無論、3.11以前に書かれた惹句であろう。)    必ず、来る!    災害研究の第一人者が示す...

情報化時代はとうの昔に過ぎ、 情報過多時代、情報混沌時代を生きている。 後で知れば必要な知見はそこにあったのに、 それ以前にはとんと気づかない。うかつであった。 帯にこうある。 (無論、3.11以前に書かれた惹句であろう。)    必ず、来る!    災害研究の第一人者が示す    備え、対策、そして実践 河田惠昭『津波災害ー減災社会を築く』を読む。 著者は現在関西大学社会安全学部長・教授であり、 阪神・淡路大震災記念 人と防災未来センター長を兼務している。    私が読者にとくに伝えたいことは、   「避難すれば助かる」という事実である。    そのためには、まず津波に関する知識の絶対量を    増やすことが先決である。    これらの知識で新しい”常識”を身につけるのである。    (本書「まえがき」p.iiiより引用) しっかりとした知識に基づく避難を 河田は「生存避難」と名付ける。 津波防災・減災対策を進めるためには 文理融合型の研究・教育組織が必要だが 日本のみならず世界でも皆無である。 それが本書執筆の動機となった。 読んでいて目ウロコの記述がいくつもあった。 例えば津波は高波、高潮とはまるで違う。 津波は海面がどれだけ盛り上がったかだけではとらえられない。 海面から海底まで数百メートルから1kmちかく ほぼ水平に水が動くため減衰せずに海岸線、防波堤を襲う。 つまり、巨大な水の固まりがぶつかってくると考えればよい。 そして防波堤にぶつかると運動エネルギーが 位置エネルギーに変換され、高さが1.5倍になる。 5メートルの津波が7.5メートルになるのだから 5メートルの防波堤はやすやすと越えてしまう。 河田が主張してきた言葉、 「水は昔を覚えている」も恐ろしい。    昔、海だったところや湿地帯だったところに    市街地などが発達しても、    いったん、洪水や高潮、津波はん濫が起こると、    昔に戻って、また海や湿地帯に戻るということである。    (本書p.136より引用) 本書を読んでいると、 3.11の東日本大震災によって起きた津波災害を 正確に予言しているように思う。 現実にはマグニチュード9.0、 世界観測史上第四位の大地震であったことは 著者の予想をも越えていたかもしれない。 すべての災害を100パーセント防ぐことはできないが、 「減災」する社会を築くことはできる。 そのためには個人の知識量を増やすだけではなく、 地域コミュニティ、自治体、企業、政府などと連携した 集団の実地訓練が欠かせないことを知る。 (文中敬称略)

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2011/05/04

神戸市中央区に「人と防災未来センター」がある。阪神・淡路大震災の知恵や知識をわかりやすく発信して災害に強いまちづくりを目指す、阪神淡路大震災を経験した神戸ならではの施設だ。 そのセンター長である河田惠昭氏の最新の著書が本書。今年1~4月期の神戸新聞・夕刊の「随想」で連載をされてい...

神戸市中央区に「人と防災未来センター」がある。阪神・淡路大震災の知恵や知識をわかりやすく発信して災害に強いまちづくりを目指す、阪神淡路大震災を経験した神戸ならではの施設だ。 そのセンター長である河田惠昭氏の最新の著書が本書。今年1~4月期の神戸新聞・夕刊の「随想」で連載をされていたので、神戸新聞読者にはなじみ深い存在かも。 その「随想」連載中に、今回の東日本大震災が発生、特に大きな津波被害が起きた。本書では河田氏が科学的に津波のメカニズムと防災の考え方、さらに重大災害時の人の心理状態まで説明していて実に分かりやすい。オススメの一冊。

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2011/04/27

なんというタイミングだろう。3月11日の東北・関東大地震、そしてそれにつづく大津波が起こる、数ヶ月前の12月にこの本は出ている。まるで、今度の大津波を予測したかのようだ。本書は、きわめて実践的で、これから起こるべき東海、南海地震で引き起こされる津波対策マニュアル本としても読める。...

なんというタイミングだろう。3月11日の東北・関東大地震、そしてそれにつづく大津波が起こる、数ヶ月前の12月にこの本は出ている。まるで、今度の大津波を予測したかのようだ。本書は、きわめて実践的で、これから起こるべき東海、南海地震で引き起こされる津波対策マニュアル本としても読める。それは、著者が防災・減災(こんなことばができていた)の第一線で、長い間働いてきたからである。著者は本書で、津波の恐ろしさを具体的に例をあげ、それに対する人々の備えに警鐘を鳴らす。津波は単に高い波ではなく、いわばビルがおしよせてくるようなものだ。しかも、それは、一度だけでなく何度でもやってくる。引いた津波に安心し、海岸を見に行って津波にあうことも少なくないという。また、4メートルの津波に5メートルの堤防があっても役に立たない。それは、津波は堤防にぶつかると上にむかってせりあがるからだ。著者がさらに強調するのは、津波災害での人々の避難率がきわめて低いことだ。情報社会は人々の自己判断を見失わせる。地震がおこったとき、どうすべきか、津波情報を待つのではなく、ふだんの訓練と自己判断がカギになる。今度の災害では、8割以上の人々が津波でなくなった。わたしたちが今なにをするべきか。この本から教えられることは多い。

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2011/04/08

 津波災害を正しく理解させ、そのことから防災につなげようという趣旨の本。数メートルの津波がいかに恐ろしいかは2011年3月11日の大地震で起こった津波映像で理解した人が多いと思うが、冒頭にある説明でが50cm級の津波でも恐るべきものだという感覚が正しいのだと気づかされた。  過去...

 津波災害を正しく理解させ、そのことから防災につなげようという趣旨の本。数メートルの津波がいかに恐ろしいかは2011年3月11日の大地震で起こった津波映像で理解した人が多いと思うが、冒頭にある説明でが50cm級の津波でも恐るべきものだという感覚が正しいのだと気づかされた。  過去にも津波被害が何度も起きているのにも関わらず、東日本大震災ではさらにすさまじい被害を生んだが、過去に襲われていないという地域もまたこれを機に津波に対する理解と対策を進めるべきだろう。「ここには津波は来ない」という根拠のない迷信のために避難ができず、被害者を増やさないためにも。そのために読む本としては非常によい啓蒙書である。

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