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兄弟(下) の商品レビュー

3.6

5件のお客様レビュー

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2023/03/16

上下巻合わせて1000ページ超に、 汚さと下劣さ、猥雑さをばらまいた 文革から開放経済の中国40年は兄弟の物語。 なんかとり憑かれたように読ませる。 すげえな余華。 でもあんまり残らない。

Posted byブクログ

2016/10/27
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※このレビューにはネタバレを含みます

 はっきり言って、当初期待していたような兄弟愛の物語を味わうことはできなかったが、そもそも私のこの期待の仕方が間違っていた。  宋鋼は優しいというよりも愚鈍にすら見え、李光頭はあまりに横暴で自分勝手、それでいてそれを補って余りあるようなカリスマ性もない。李光頭は後半、気持ちの良い男として描かれるが、都合の良い成金との印象の域を出ない。エピソードや表現も物語が進むにつれより低俗度を増す。  しかし一方で、上巻に続き下巻でも、中国の近現代史が背景として濃く描かれていた。人々が資本主義的な経済に取り込まれ、それぞれが豊かになることを追求し始めた改革開放。人々の変わりように時代の無常を感じるとともに、時に醜いほどにエネルギッシュな彼らの上昇志向は、資本主義の時代に生きる現在の私たちのあり方を再び見つめなおす契機ともなった。李光頭への投資の経過に一喜一憂する点心の店に集まった5人の様子や、経済力が日々の生活における地位や人生の幸福を全て規定するように描かれた劉鎮の姿は印象的であった。その中で、林紅と過ごしたつつましい20年間が最高の幸せであったと語る宋鋼の遺言は燦然とした輝きを放っている。  物語としての質という意味では個人的にはあまり評価できないが、背景として描かれる中国の近現代を通して、結果的に少なからず考えさせられるという点では、読む価値がある一冊ともいえる。  

Posted byブクログ

2016/06/22
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

小説としては本当に面白かった。ページを捲る手が止まらない。 他のレビューにもあるように、内容はとても下品である。 あの有名な余華の小説を初めて読んだのだが、こんなに下品な内容の本を書くのだろうかと驚いた。 上巻、下巻はずいぶんと話の内容が違う。 上巻は目も背けたくなるような文化大革命時のできごとが書かれている。 義父が本当にかっこいい。 拘束され批判対象になっていながらも、妻との約束を守るために上海に行こうとする。 兄弟二人でも生きていけるように、料理を教える。 こういう人間が多数殺されてしまった時代のことを小説や映画の題材にすることは多い。 人間とは、生きるとはどういうことか。人間が生きる上で必ず起きる疑問だからなのだろうか。 李光頭の義弟・宋剛のことが今でも気になっている。彼は幸せだったのだろうか。豊胸手術してまで仕事をするべきだったのだろうか。何も自殺しなくても良かったのではないだろうか。彼は結局、妻のことよりも自分の兄弟のほうが大事だったのだろう。幼少期の辛い時期を共にした兄弟のことがどうしても嫌いになれなかったのだろう。 読み物としては、本当に面白い。 ただ、作者はなにを伝えたかったのか。いろいろなことが本書に詰め込まれているため、私にはよく理解できなかった。他レビュアー様の意見をもっと拝見したい。

Posted byブクログ

2011/02/27

余華さんのベストセラー小説の後半。 兄弟の生き様に一人の美女が絡み、そして、劉鎮の人たち、政府のエライさん、詐欺師などなど、たくさんの人達も絡んでくる。改革開放によって劇的に変動する価値観のなかで、兄と弟はどう生き、どう動き、どう悶えたのか。 一応共産主義の国、中国。しかし、この...

余華さんのベストセラー小説の後半。 兄弟の生き様に一人の美女が絡み、そして、劉鎮の人たち、政府のエライさん、詐欺師などなど、たくさんの人達も絡んでくる。改革開放によって劇的に変動する価値観のなかで、兄と弟はどう生き、どう動き、どう悶えたのか。 一応共産主義の国、中国。しかし、この小説を読むと、日本よりももっと市場と思考と感情に忠実なのでは、と感じます。 ただ、この展開、下巻は上巻よりも好き嫌いが激しそう。「嫌悪感」すら抱く人がいるかもしれない。この本は、たとえ面白いと思っても、薦める対象は選ぶべきでしょうね。 最後で痛烈に感じたことがあるのですが、これを言うとネタバレになるので、やめておこう。

Posted byブクログ

2011/01/04

文革に翻弄される家族を描いたシリアスな上巻とはガラリと変わって、開放経済の波に乗ってのし上がる主人公らの姿を描いた下巻はハチャメチャなスラップスティック。 シリアスとスラップスティックとの間、悲劇と喜劇との間の大きな振れ幅は、時代がそれだけエネルギーを帯びていたことの現れだろう...

文革に翻弄される家族を描いたシリアスな上巻とはガラリと変わって、開放経済の波に乗ってのし上がる主人公らの姿を描いた下巻はハチャメチャなスラップスティック。 シリアスとスラップスティックとの間、悲劇と喜劇との間の大きな振れ幅は、時代がそれだけエネルギーを帯びていたことの現れだろう。 登場人物たちは何だかよく分からないエネルギーの奔流に押し流され、あるいは上手いこと流れに乗って、思いも掛けない方向に向かってゆく。その軌跡が悲劇になったり、はたまた喜劇になったりする。 あるいは、文革以降、中国はひたすら“狂って”いる、ということかもしれない。 そういうわけで、時代に流されない男たちは悲惨な最期を迎えることになるのだが、滅び行く者の中で宋凡平はひたすらカッコイイ。男の中の男。 でも、僕の好みは、詐欺家業にさっさと見切りをつけて点心屋のオヤジに収まる、韓流ドラマ狂の周游だったりする。 泣いて笑って一気に読める。オススメ。ただし、高エネルギーにアテられるのでかなり疲れる。 それに、とてもお下品。それがいいんだけど。

Posted byブクログ