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埋葬 の商品レビュー

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6件のお客様レビュー

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2013/06/25

妻はわたしを誘ってくれた。一緒に死のうとわたしを誘ってくれた。なのにわたしは妻と一緒に死ぬことができなかった。妻と娘を埋める前に夜が明けてしまった。私は妻との約束を果たすことができなかった。 山梨県河口湖町の廃墟のホテルで・・・ 三十歳前後の女性と・・・ 生後一年ほどの幼児の遺...

妻はわたしを誘ってくれた。一緒に死のうとわたしを誘ってくれた。なのにわたしは妻と一緒に死ぬことができなかった。妻と娘を埋める前に夜が明けてしまった。私は妻との約束を果たすことができなかった。 山梨県河口湖町の廃墟のホテルで・・・ 三十歳前後の女性と・・・ 生後一年ほどの幼児の遺体が発見された・・・ 最初は無理心中だろうということだったが・・・ その後、十八歳のフリーターの少年が警察に出頭し、犯行を仄めかす・・・ 自供によると、埼玉の本田高史さん宅で、妻の悦子さんと、娘の詩織ちゃんを殺害し、二人の遺体を河口湖畔まで運び遺棄した、とのこと・・・ だが、その後・・・ 被害者家族の本田高史さんが、妻と娘の遺体を河口湖畔まで運んだのは少年ではなく自分であると告白する手記を発表した・・・ 本田高史の手記と・・・ この事件を取材した男のインタビューとで構成されているこの本・・・ マジで分かりにくい・・・ たぶん最初読みにくい・・・ で、読み進めていくと・・・ あれ?おかしくない? となる・・・ で、読み返すと実際おかしい・・・ 本田高史の手記とインタビューの内容と冒頭に書いてある事件の経過と・・・ 照らし合わせるとどうも合わない・・・ こういうことかな?とおぼろげには分かる(気がする)けども・・・ でもハッキリとは分からない・・・ 言い切れない・・・ おかしい、なんだこれは・・・? 事実が事実を上書きしていてゴッチャになっている・・・? 混ざってるよ! 嘘も混じっているのだろうか・・・? な、ん、な、ん、だ、こ、れ、は・・・? と揺さぶられる物語・・・ 『写真に写っている子猫を見てカワイイと思ったときに・・・ それは子猫がカワイイのだろうか?それとも、その写真自体がカワイイのだろうか? 内容なのか形式なのか? 』 というような箇所が途中あるけども・・・ この本について書いているワタシも、そう問われている気がする・・・ ワタシの答えはどっちも、です・・・ って、ズルイか・・・ でも、内容もクレイジー、形式もクレイジーなので・・・ オススメちゃん・・・ ちなみに・・・ 『本当の彼女なんてわたしは知らない、わたしはただわたしが知っている彼女について語っただけである・・・』 とあるけど、この本に関してワタシが書くのもそういうことかな・・・?

Posted byブクログ

2012/07/16

くどい部分も確かにある。だが、その中の狂気じみた箇所も魅力のひとつなのかも。 自分が彼女の立場に、彼の妻であり彼のではない子の母という立場になったとき、どうするか考えた。…私と一緒に死んでくれますか、は言えないな。

Posted byブクログ

2011/11/20

独特のの語り口が印象的。 様々な人によって語られる、殺された女性。 犯人である少年と、彼女を埋めた夫の、心の動き。 論理の展開の異様さに、ぞくぞくしながらも引き込まれた。 ぐるぐる掻き回される感じで眩暈がするような読後感だった。

Posted byブクログ

2011/07/30
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

もう3回目の読み直し。 読み直すほどにその意味が分かってくる感じがどうしようもない。 1回目でその意味を捉えきれる人は少ないと思うけれど、3回も読み直すのも理解力なさすぎだろうっていう。この本の凄さを腑に落とすために、こちらが挑戦されている感じです。 まともな書評は、Web上にいろいろ出ているのでそちらを。

Posted byブクログ

2011/05/05

死者(不在者)のことを語る人たちの話を聞く物語。 複数の人が彼女について語れば語るほど、彼女の輪郭はぼやけていく。 でもどれが「ほんとう」とか「うそ」とかそんなことは関係なくて、そもそも関係の中にしか人は存在できないのだから、誰かが語る彼女も彼女の一部なのだ。

Posted byブクログ

2011/07/16

母子殺人事件被害者の夫の手記、被害者周辺人物への取材、犯人の少年との対話から、事件の顛末を〈わたし〉を中心の語り手として語られる。 前半の手記パートは殺された妻子を以前旅行した廃墟となったホテルまで運ぶ詳細を描いたもので、その異様さに最初は驚くれど、被害者本田悦子の周辺人物への取...

母子殺人事件被害者の夫の手記、被害者周辺人物への取材、犯人の少年との対話から、事件の顛末を〈わたし〉を中心の語り手として語られる。 前半の手記パートは殺された妻子を以前旅行した廃墟となったホテルまで運ぶ詳細を描いたもので、その異様さに最初は驚くれど、被害者本田悦子の周辺人物への取材、犯人への取材も含めて浮かび上がってくるのはこの本田悦子(えっちゃん)の特異性で、この〈えっちゃん大先生〉は、この〈えっちゃん大魔王〉は相当に変わっている。 例えば、「むかしね」とか「近いですしね」とか「意外と便利ですしね」とかこの〈しねが死ねに思えて禁止せずにはいられない〉という話や、バイトしていたファミレスで自分のする提案が自分の会社の利益になっていると気づき、バイトを辞めてしまう話。自分の会社の利益と言うことはよその会社の不利益。自分の聡明さが人を殺すことにつながっているとかそんなとこまでいってしまう。 これは、夫である本田高史の悦子に対する、犯人の少年のえっちゃんに対する愛の物語だ。

Posted byブクログ