猫は秘密の場所にいる(文庫版)(3) の商品レビュー

波津彬子(著者)

2011/11/27

うるわしの英国シリーズが文庫にまとめられたのが、この『猫は秘密の場所にいる』３巻のようですね。扱いようによっては重々しくなりそうな設定をさらりと軽やかに、しかも読みごたえのある短編集を堪能出来ます。

2011/02/21

　先の２冊と同じタイトルで、同じ雰囲気ですが、ちょっと別物。
　短編集を通しての主人公はいない。
　まあ、それでもそれぞれの猫が主役といえばそうなんだけど。

　親戚をたらいまわしにされてきた孤児が、ちょっとヘンクツな男に引き取られて…。
　よくある話ではあるけど、よくある話で終わらせないところが毎度すごい。
　誰かを愛したい、愛されたいという普遍の思いと、自分の居場所を求めるという絶対的な本能を、鮮やかに描いていると思う。

　と、ヘンクツ男の妻への愛の深さには思わず頭をたれてしまうのである。

　美しく、そして強く柔軟な物語たちだった。