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ある小さなスズメの記録 の商品レビュー

4.1

102件のお客様レビュー

  1. 5つ

    38

  2. 4つ

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2023/01/17

感想 ペットではなく友人。ともすると人間は万物の長であると思い込んでしまう。そんな奢りを捨てることで自然の美しさが目に入る。真摯に向き合う。

Posted byブクログ

2022/11/12

この本は、「ライオンのおやつ」等の作者でもある、 『作家小川糸さん』が、ドイツ、ベルリンの公園での 心休まる読書の時間を楽しむため、 読んでいた本の中で文庫版が出ている本書を その大切な時間を楽しむ相棒として選んだ、 その事実に刺激され読むことにした。 これは時代的に...

この本は、「ライオンのおやつ」等の作者でもある、 『作家小川糸さん』が、ドイツ、ベルリンの公園での 心休まる読書の時間を楽しむため、 読んでいた本の中で文庫版が出ている本書を その大切な時間を楽しむ相棒として選んだ、 その事実に刺激され読むことにした。 これは時代的には第二次世界大戦時。 日本と同様に対戦下は物資が悉く不足し、 エネルギー、人材、食料と不足だらけのイギリスロンドン。 (1940年7月〜1952年8月) ドイツから執拗に空爆を受けている当時、 親雀がそのこ雀の体躯の障害を見抜き、 羽化して間もなく巣から放り捨てた子雀を、 作者のクレア・キップス婦人が救ったことから始まる。 キップス夫人は寡婦であり、ピアニストであり、 市民防衛隊の一員であった。 その雌雄が判別すると名前をクラレンスと名付けた。 この本の素晴らしいところは、動物学者でもない彼女が、 その真摯な態度と探究心で、まるで鳥類学者でも分からぬほどの 深い真実を探究しているところでもある。 愛情を持ち深い観察を粘り強く続ける態度は、 愛玩動物に対するそれではすでになく、 生命に対する尊厳を持ち続け あらゆる情報を得ようと工夫と辛抱を続けた事実がわかり、 途中から読むのをやめられなくなったほどだ。 前半5〜6歳頃のクレランスの一生の中で輝く時代の素晴らしさの 表現も楽しく目を見張るが、 老年期に入り大病をし、12歳で死ぬまでの、 彼の日常への眼差しや工夫観察、 洞察の素晴らしさは哲学とも呼べるような、一種荘厳な時間を感じた。 手の中に隠れるようなイギリスの家スズメだが、 命には動物も人間も垣根がないように感じられる。 手放しでお勧めできる名作である。

Posted byブクログ

2021/05/18

買ってから数年積読してしまっていたが、犬を飼うようになった今こそ読むタイミングだったのだとしみじみ思った。 生き物を飼えることの幸せを噛み締めることができた一冊。 巻末の、今回は訳者でもある大好きな作家・梨木香歩さんのあとがきにとどめを刺された……

Posted byブクログ

2020/12/21

雀は賢い‼️ 生まれたばかりの まだ産毛の雀の雛を拾い 育て 自立?飛び立って行った 育鳥の経験の あと 読んだので わかる!わかる! 鳥類は とんでもなく 賢い 生きていく知恵に目を見張るものがある と 実感 日常 鳥類を見る目が変わった

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2020/08/15
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

「一人暮らしの寡婦」と、障碍があって捨てられたスズメの暮らし。著者の落ち着いた文章の中できらめく愛情と観察の細やかさからは、彼をこれ以上ないほど愛しながらも対等な同居人として尊重していることが伝わってくる。それが翻訳者の梨木さんの、相手を尊重して包み込むような姿勢や美しく柔らかい文章と深くマッチしているのだろう、かなり読みやすく喜びが伝播するような素晴らしい作品だった。 あとがきで梨木さんも引いている「突然迸るような歓喜の歌をひとくさり歌った」ところや、新しい寝床で「幸福感にあふれた『むにゃむにゃ』を呟く」ところなど、小さなスズメからこんなに豊かな感情の発露が見られるのには本当に胸がいっぱいになる。老衰し体がボロボロになっても新たな体の使い方を見出し、一生懸命練習してものにする生命力。それは、間違いなく彼女の愛が引き出したのだろう。 スズメと人間という生物種を越えた関係であることや、クラレンスが特殊なスズメだった(かもしれない)から感動的というのではなく、そのような枠を取りはらって彼と彼女との関係があまりに深く、かけがえのないものであることがこれほど胸を打つのだと思う。 12年もの歳月を生き抜いてクラレンスは息を引き取るが、喪失感とともにあらためて著者と彼の絆が強く輝いて思い返される。梨木さんが「相棒」の喪失は「自分自身の内部の、部分的な喪失とも等しい」と言い、「内的な必然から、彼女はこの『記録』を、書かざるを得なくなったのだろう。他に何ができようか」と言うのは、そういうことなのでしょう。悲しみとともに「穴」から溢れてくる、愛しくまぶしい何もかもが、一人の心を超えて、時も超えて、私たちのもとへ届いてくる。

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2019/11/13
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

 兎に角スズメを愛でたくなる。  そのまま読んでいたら、盛ってない??と思うような箇所も、前書きでその点に関して触れているので、結構すんなり入ってきた。  著者の知識量がすごい。野鳥の生態一つとっても、知識豊富過ぎ。スズメを養っていく上で、必要に応じて身に付けたものもあるだろうけれど、何と言うか、昔の人ならではの知識とか、頭の良さのようなものを感じた。

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2019/02/19

第二次世界大戦中の1940年のこと。 ある日家に帰ると、玄関先に生まれたばかりのスズメの赤ん坊が置き去りにされていた。羽と足に障害があったことから、親鳥が育てることを放棄し、巣から捨てたのだろう。 その瀕死の赤ん坊を家に連れ帰り、餌をやり育てた。 それから12年、スズメが老...

第二次世界大戦中の1940年のこと。 ある日家に帰ると、玄関先に生まれたばかりのスズメの赤ん坊が置き去りにされていた。羽と足に障害があったことから、親鳥が育てることを放棄し、巣から捨てたのだろう。 その瀕死の赤ん坊を家に連れ帰り、餌をやり育てた。 それから12年、スズメが老衰で死ぬまでの生活を綴ったお話。 スズメにとって著者は、親であり、全幅の信頼を寄せる相手であり、ある時期は恋人でもあった。 娯楽のない戦争中に、ちょっとした芸を覚え、周りの人々や子供たちを楽しませ、ピアノを聞くうちに歌うことを覚え、老いてからは不自由な体にも関わらず最大限の努力と工夫を怠らなかった。 野生のスズメが人に飼われることが幸せかどうか。 そういうことは抜きにして、 このスズメはペットではなく、一己の生命として誇り高くあったこと。 そして最後の最後まで精一杯生きたこと。 人間とスズメの心の交流が、文章を読んでいるこちらの心もあたたかくしてくれる。

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2018/10/09

積ん読の山から引っ張り出して読み終えた。これは小説だと思って読んでいたのだけれど、ノンフィクションなの?

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2018/08/11

第二次世界大戦中、ロンドンに住む著者の家の玄関先にスズメの雛が落ちていた。本能的に拾い上げ、暖めミルクをあげた。よもや助かるまいと思っていた雛は、元気になっていった。しかし、よく見ると翼を傷めており、大きくなっても野生に戻ることは困難と思われた。それから、著者との暮らしが始まる。...

第二次世界大戦中、ロンドンに住む著者の家の玄関先にスズメの雛が落ちていた。本能的に拾い上げ、暖めミルクをあげた。よもや助かるまいと思っていた雛は、元気になっていった。しかし、よく見ると翼を傷めており、大きくなっても野生に戻ることは困難と思われた。それから、著者との暮らしが始まる。 あまり例のないスズメの飼育だが、現代のように写真で手軽に記録ができる時代ではなかった分、著者は細かく観察し文章で記録を残した。戦時中、ささやかながら慰問のために、ちょっとした芸を披露するなど、かわいらしい記録がつづられる。 酒井駒子の表紙絵もかわいいけれど、数は少ないがモノクロの記録写真がかわいらしい。

Posted byブクログ

2018/06/18

素晴らしい一冊。梨木さんの翻訳と酒井駒子さんの装丁。贅沢すぎる。スズメを飼った作者の愛情溢れる視点が感動を呼びます。

Posted byブクログ