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ある小さなスズメの記録 の商品レビュー

4.1

104件のお客様レビュー

  1. 5つ

    40

  2. 4つ

    26

  3. 3つ

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2026/03/29

驚異と客観性に満ちた記録内容も、抑制された中にユーモアと愛情が滲む文体も、素晴らしかった。 クラレンスの後半生がより胸を打つ。

Posted byブクログ

2025/09/19

第二次世界大戦中、生存能力がないとみなされ巣から落とされたと思しきスズメのヒナを拾い、その寿命が尽きるまで一緒に暮らした女性が書いたエッセイ。生物学的、鳥類学的にも貴重な記録となるだろうと、著者がクラレンスと名付けたスズメの様子をつぶさに描写している。だが客観的になりすぎず、著者...

第二次世界大戦中、生存能力がないとみなされ巣から落とされたと思しきスズメのヒナを拾い、その寿命が尽きるまで一緒に暮らした女性が書いたエッセイ。生物学的、鳥類学的にも貴重な記録となるだろうと、著者がクラレンスと名付けたスズメの様子をつぶさに描写している。だが客観的になりすぎず、著者のクラレンスに対する愛情もとても感じる、時代背景に反してやさしい話である。 スズメは日本では身近な鳥だが案外解明されていない部分が多いというのは聞いたことがある。いろんな場所で見かけるスズメを観察してると洗濯物のヒラヒラが怖くて餌に近づけない臆病なやつから上野公園でパンを食べようとするサラリーマンに襲い掛かる図々しいやつまで、結構個性があるとは思う。とはいえそれは個性の範囲内の話だとは思っていたが、クラレンスは歌を歌ったり芸をしたり、ホッピングが難しいとわかると歩いたり、生活に賢く適応しているように見える。その歌をコピッて譜面にするという発想は流石、ピアノに携わる著者である。 ヨウムに言葉を教える研究の、「アレックスと私」と一緒に読みたい本だ。 「アレックスと私」ではアレックスの死の際に明らかに取り乱した著者とは対照的に、クラレンスの死を覚悟し、静かに迎えた著者のあっさりとも取れる描写が、逆に静かなる喪失感も想起させる。単なる「ペットかわいー♡」ではないこの記録が、学術的だけでなくクラレンスの生きざまを生き生きと表現しているように思う。 今は文庫版の電子書籍も出ているが、装丁がいいと聞いたので、中古書店を探して手に入れた。1ページ1ページを大切に開きながら読みたい本のうちの1つ。

Posted byブクログ

2025/09/13

鳥飼いが普段、愛鳥に対して想っていること、愛おしいと感じること、心配になること、その全てが映し出されていました。80年も前から、愛おしい鳥との暮らしを通じて思うこと願うことは同じなのだな。鳥とは本当に感情も表情も豊かで、個性的で、一羽一羽が唯一無二の存在。それが手に取るように分か...

鳥飼いが普段、愛鳥に対して想っていること、愛おしいと感じること、心配になること、その全てが映し出されていました。80年も前から、愛おしい鳥との暮らしを通じて思うこと願うことは同じなのだな。鳥とは本当に感情も表情も豊かで、個性的で、一羽一羽が唯一無二の存在。それが手に取るように分かる、鳥を愛する人たちにとって宝物になるような一冊でした。

Posted byブクログ

2025/05/01
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

ある小さなスズメの記録 人を慰め、愛し、叱った、誇り高きクラレンスの生涯 副題は余計。ただの小さなスズメとドイツの空襲と戦ったあるイギリス婦人の記録。 ただの記録。 おそらくキップス婦人はとてつもなく愛おしい私の小さな不虞のスズメを失ってしまうであろう悲しさに耐えきれずに筆をとったのだと思います。 節度をもった文体。淡々とした語り口。静かなユーモア。 だからこそ、この本は胸を打ちます。 3/25で私の小さなチワワのクッキーとお別れして丸4年となります。 この本で、竹蔵の中に空いている小さいけれども大切な穴を思い出すことができました。 訳者の梨木さんも愛犬を最近亡くされたそうです。 この本は”人と共に歩んだ誇り高い小さな友”と共に歩んだことのある人の良き慰めとなってくれることと思います。 竹蔵

Posted byブクログ

2023/01/17

感想 ペットではなく友人。ともすると人間は万物の長であると思い込んでしまう。そんな奢りを捨てることで自然の美しさが目に入る。真摯に向き合う。

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2022/11/12

この本は、「ライオンのおやつ」等の作者でもある、 『作家小川糸さん』が、ドイツ、ベルリンの公園での 心休まる読書の時間を楽しむため、 読んでいた本の中で文庫版が出ている本書を その大切な時間を楽しむ相棒として選んだ、 その事実に刺激され読むことにした。 これは時代的に...

この本は、「ライオンのおやつ」等の作者でもある、 『作家小川糸さん』が、ドイツ、ベルリンの公園での 心休まる読書の時間を楽しむため、 読んでいた本の中で文庫版が出ている本書を その大切な時間を楽しむ相棒として選んだ、 その事実に刺激され読むことにした。 これは時代的には第二次世界大戦時。 日本と同様に対戦下は物資が悉く不足し、 エネルギー、人材、食料と不足だらけのイギリスロンドン。 (1940年7月〜1952年8月) ドイツから執拗に空爆を受けている当時、 親雀がそのこ雀の体躯の障害を見抜き、 羽化して間もなく巣から放り捨てた子雀を、 作者のクレア・キップス婦人が救ったことから始まる。 キップス夫人は寡婦であり、ピアニストであり、 市民防衛隊の一員であった。 その雌雄が判別すると名前をクラレンスと名付けた。 この本の素晴らしいところは、動物学者でもない彼女が、 その真摯な態度と探究心で、まるで鳥類学者でも分からぬほどの 深い真実を探究しているところでもある。 愛情を持ち深い観察を粘り強く続ける態度は、 愛玩動物に対するそれではすでになく、 生命に対する尊厳を持ち続け あらゆる情報を得ようと工夫と辛抱を続けた事実がわかり、 途中から読むのをやめられなくなったほどだ。 前半5〜6歳頃のクレランスの一生の中で輝く時代の素晴らしさの 表現も楽しく目を見張るが、 老年期に入り大病をし、12歳で死ぬまでの、 彼の日常への眼差しや工夫観察、 洞察の素晴らしさは哲学とも呼べるような、一種荘厳な時間を感じた。 手の中に隠れるようなイギリスの家スズメだが、 命には動物も人間も垣根がないように感じられる。 手放しでお勧めできる名作である。

Posted byブクログ

2021/05/18

買ってから数年積読してしまっていたが、犬を飼うようになった今こそ読むタイミングだったのだとしみじみ思った。 生き物を飼えることの幸せを噛み締めることができた一冊。 巻末の、今回は訳者でもある大好きな作家・梨木香歩さんのあとがきにとどめを刺された……

Posted byブクログ

2020/12/21

雀は賢い‼️ 生まれたばかりの まだ産毛の雀の雛を拾い 育て 自立?飛び立って行った 育鳥の経験の あと 読んだので わかる!わかる! 鳥類は とんでもなく 賢い 生きていく知恵に目を見張るものがある と 実感 日常 鳥類を見る目が変わった

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2020/08/15
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

「一人暮らしの寡婦」と、障碍があって捨てられたスズメの暮らし。著者の落ち着いた文章の中できらめく愛情と観察の細やかさからは、彼をこれ以上ないほど愛しながらも対等な同居人として尊重していることが伝わってくる。それが翻訳者の梨木さんの、相手を尊重して包み込むような姿勢や美しく柔らかい文章と深くマッチしているのだろう、かなり読みやすく喜びが伝播するような素晴らしい作品だった。 あとがきで梨木さんも引いている「突然迸るような歓喜の歌をひとくさり歌った」ところや、新しい寝床で「幸福感にあふれた『むにゃむにゃ』を呟く」ところなど、小さなスズメからこんなに豊かな感情の発露が見られるのには本当に胸がいっぱいになる。老衰し体がボロボロになっても新たな体の使い方を見出し、一生懸命練習してものにする生命力。それは、間違いなく彼女の愛が引き出したのだろう。 スズメと人間という生物種を越えた関係であることや、クラレンスが特殊なスズメだった(かもしれない)から感動的というのではなく、そのような枠を取りはらって彼と彼女との関係があまりに深く、かけがえのないものであることがこれほど胸を打つのだと思う。 12年もの歳月を生き抜いてクラレンスは息を引き取るが、喪失感とともにあらためて著者と彼の絆が強く輝いて思い返される。梨木さんが「相棒」の喪失は「自分自身の内部の、部分的な喪失とも等しい」と言い、「内的な必然から、彼女はこの『記録』を、書かざるを得なくなったのだろう。他に何ができようか」と言うのは、そういうことなのでしょう。悲しみとともに「穴」から溢れてくる、愛しくまぶしい何もかもが、一人の心を超えて、時も超えて、私たちのもとへ届いてくる。

Posted byブクログ

2019/11/13
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

 兎に角スズメを愛でたくなる。  そのまま読んでいたら、盛ってない??と思うような箇所も、前書きでその点に関して触れているので、結構すんなり入ってきた。  著者の知識量がすごい。野鳥の生態一つとっても、知識豊富過ぎ。スズメを養っていく上で、必要に応じて身に付けたものもあるだろうけれど、何と言うか、昔の人ならではの知識とか、頭の良さのようなものを感じた。

Posted byブクログ