逃げゆく物語の話(F) の商品レビュー
面白い作品がいくつか見つかった。特に石黒達昌「冬至草」に惹かれた。やや重たいが、怪奇SFっぽくていい。 「夕飯は七時」★★☆☆☆ - ちょっと不思議系SF。知らない言葉を聞くとそのイメージが具現化されてしまうこども三人兄弟の話。 「彼女の痕跡展」★★★★★ - 朝起きると恋...
面白い作品がいくつか見つかった。特に石黒達昌「冬至草」に惹かれた。やや重たいが、怪奇SFっぽくていい。 「夕飯は七時」★★☆☆☆ - ちょっと不思議系SF。知らない言葉を聞くとそのイメージが具現化されてしまうこども三人兄弟の話。 「彼女の痕跡展」★★★★★ - 朝起きると恋人を失ったかのような喪失感。街中で見つけた「彼女の痕跡展」には自分の私物が並んでいた。 - 短いながら、面白い設定。 「陽だまりの詩」★★★☆☆ - 主人を埋葬するために作られたロボットが主人公目線。徐々に人間らしさを獲得していくロボット。最期は主人もロボットだったことがわかる。 「ある日、爆弾がおちてきて」★☆☆☆☆ - ラノベ。ある日、空から昔好きだった女の子が降ってくる。それは本人ではなく、姿がよく似た爆弾だった。 「光の王」★★★★★ - なぜだか、先週の水曜のことが思い出せない。周りに聞いてもみな同じ日の記憶がない。なぜだか思い浮かぶ外国人少年の顔。なぜか頭に浮かぶ意味不明な言葉。という不思議だけどなんか現実にもありそうな設定がよかった。 - 最後は夢オチ的な、すべて虚構でした的な終わりだけど、それもまた悪くない。 「闇が落ちる前に、もう一度」★★★★☆ - 世界は8日前に生まれた。という事実を発見してしまった男子学生。世界はすべて虚構だった、そしてこの世界はあと9日ほどで消滅する。という嘆きを離れた場所にいる恋人にメールをする、という体裁の短編。 - 特にオチもなく終わるが、設定がおもしろい。 「冬至草」★★★★★ - 放射性物質を含む奇怪な新種植物、冬至草にまつわる物語。異常論文ぽくもあり、ホラーSF感もある。読み応えあった。 - 人間の血液を養分に育つというグロさと、その冬至草に魅せられた半田という男の半生。 - 最初、読みにくくて飛ばそうかと思ったが、そうしなくてよかった。雪女と同じ著者。 「延長コード」★★★☆☆ - 津原泰水作品あるあるの気がするが、あまりSFっぽくない。が、どこか奇妙な空気をまとった短編。 - 数年前に家でした娘が亡くなり、暮らしていたという家を訪ねる父親。 - 何がどうなる訳でもないが、最後までさらっと読めた。 「第二箱船荘の悲劇」★★★☆☆ - 奇妙設定を説明するだけで終わるタイプのSF。常に変形し続けて住人も中で迷子になるようなアパートの話。 「予め決定されている明日」★★★☆☆ - 仮想現実もの。現実世界っぽいほうが仮想世界(諒子の世界)で、不可思議な世界が現実世界(ケムロの世界)。 - 算盤人のケムロは毎日何を計算しているのか知らされていなかったが、それは仮想世界を演算していた。 「逃げゆく物語の話」★☆☆☆☆ - ラングドールという人型の書物。設定はユニークだけど、あまりハマらなかった。
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Sの方に比べていわゆるSFというものの周辺あたりの作品群 SFというより「ファンタジー」ということばが便利すぎる 『夕飯は七時』恩田陸 ★*3 児童文学というか右に並ぶタグでいうところの「いとけないは正義」類の話 SFというかFのどまんなか感 この作者の作品はいまひとつどこが...
Sの方に比べていわゆるSFというものの周辺あたりの作品群 SFというより「ファンタジー」ということばが便利すぎる 『夕飯は七時』恩田陸 ★*3 児童文学というか右に並ぶタグでいうところの「いとけないは正義」類の話 SFというかFのどまんなか感 この作者の作品はいまひとつどこが凄いといわれるのかわからない 『彼女の痕跡展』三崎亜記 ★*3 「世にも奇妙な物語」系の話を呼ぶよいいいかたがないことが ファンタジーの問題だ 『指輪物語』がファンタジーだみたいな味方と同じく問題だ この作者の作品も上に同じく凡庸にしか感じない 『陽だまりの詩』乙一 ★*4 この作者の作品は話の持って生き方がとてもあざといのだが それはわかっているけれどでも良いと思わせる運びの巧みさが味 巧みだ 『ある日、爆弾がおちてきて』古橋秀之 ★*5 再読 ライトノベルな「文体」を完全にものにしているところがすごい 手癖でなくわかっていて技術でこれだけかけるんだからとにかく凄い あまり完璧に走らず誰も黙らせる代表作を書いて欲しい 『光の王』森岡浩之 ★*3 文章も題材もあまり目を引くところがない 『闇が落ちる前に、もう一度』山本弘 ★*3 再読 確かに10年前ならともかく2011年だと古びた作品 同じ作者でももう少し切れ味良い作品を選ぶべきだったのでは 上の『光の王』と同じような題材だけに 差はわかりやすい 『マルドゥック・スクランブル”-200”』沖方丁 ★*4 短い中にしっかり雰囲気出ていて流石な感 この作者の作風も出来上がっているように思うので 当面読まなくてよさそうな 『冬至草』石黒達昌 ★*4 「サイエンスフィクション」な感じのルポルタージュ 小説としてはやや引き弱いけれど雰囲気個性充分 『延長コード』津原泰水 ★*4 文章技術を芸として売る「文芸」種の作品 収録作の中で小説技術でいったら最高 なのかもしれない 『第二箱舟荘の悲劇』北野勇作 ★*3 こういう作風なのはわかるが 届く先がどこだか謎だ 『予め決定されている明日』小林泰三 ★*3 算盤という素材からの展開は面白いけれど 落ちも話の持っていく向きも残念 もっと面白くなり得そうに感じる 『逃げゆく物語の話』牧野修 ★*3 上で★*3が付いている作品に共通して代表するような面白みを狙った作品 「ホラー」みたいなのだとわかりやすいが 「ファンタジー」とより広くなると共感しにくいのではなかろうか 「SF」と狭くなると覚えめでたくなりえるのか
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序 大森望 夕飯は七時 恩田陸 彼女の痕跡展 三崎亜記 陽だまりの詩 乙一 ある日、爆弾がおちてきて 古橋秀之 光の王 森岡浩之 闇が落ちる前に、もう一度 山本弘 マルドゥック・スクランブル"-200" 冲方丁 冬至草 石黒達昌 延長コード ...
序 大森望 夕飯は七時 恩田陸 彼女の痕跡展 三崎亜記 陽だまりの詩 乙一 ある日、爆弾がおちてきて 古橋秀之 光の王 森岡浩之 闇が落ちる前に、もう一度 山本弘 マルドゥック・スクランブル"-200" 冲方丁 冬至草 石黒達昌 延長コード 津原泰水 第二箱船荘の悲劇 北野優作 予め決定されている明日 小林泰三 逃げゆく物語の話 牧野修
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
[ 内容 ] 00年代の日本短編SFの精華、時間・奇想編。 恩田陸/三崎亜記/乙一/古橋秀之/石黒達昌/津原泰水/森岡浩之/山本弘/北野勇作/小林泰三/牧野修/冲方丁の作品を収録。 [ 目次 ] [ 問題提起 ] [ 結論 ] [ コメント ] [ 読了した日 ]
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二つ対になったシリーズで、Sの方は宇宙とかそういう舞台が大きめな話が中心で、F編は地球の身の回りの生活が舞台って感じの分け方。 中々どれもこれも味わい深く、良い作品だった。 己の存在の不確かさを理論的に証明してしまった研究者が恋人にメールを送る 「闇が落ちる前に、もう一度」(山...
二つ対になったシリーズで、Sの方は宇宙とかそういう舞台が大きめな話が中心で、F編は地球の身の回りの生活が舞台って感じの分け方。 中々どれもこれも味わい深く、良い作品だった。 己の存在の不確かさを理論的に証明してしまった研究者が恋人にメールを送る 「闇が落ちる前に、もう一度」(山本弘) とか、 仮想現実を扱った 「予め決定されている明日」 とかはなんか良い感じにSFで、今有る現実とはなんぞやみたいなことを考えると楽しい。 言葉のイメージがそのまま具体化する兄弟姉妹の話とか、無限に広がって行くボロアパートの話とか、なんか微笑ましいものとかもあり、まあ他にも色々あって、とても面白かった。
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ふしぎ系の作品が多い短編集ですが、個人的に特に気に入ったのは、 乙一「陽だまりの詩」、古橋秀之「ある日、爆弾がおちてきて」、牧野修「逃げゆく物語の話」というちょっと切ない系のお話でした。 SFというと、レーザー光線がバンバン飛び交うようなものを想像している人にとってはイメージがか...
ふしぎ系の作品が多い短編集ですが、個人的に特に気に入ったのは、 乙一「陽だまりの詩」、古橋秀之「ある日、爆弾がおちてきて」、牧野修「逃げゆく物語の話」というちょっと切ない系のお話でした。 SFというと、レーザー光線がバンバン飛び交うようなものを想像している人にとってはイメージがかなり違うと思いますが、ちょっとしんみりする感じのSF作品も中々いいものです。 冬の時代から夏の時代へ突入したとも言われる今の日本SF界を知るための1冊として、とても価値ある1冊ではないでしょうか。
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以前レビューした「ぼくの、マシン」と対になっている日本SFアンソロジー。 こちらはすこしふしぎ系の話を集めている。 個人的に言わせてもらうと、正直、こっち系統のは好みではない。ようするに「奇妙な話」なのだ。こういうのはさんざん読んできて食傷気味でよほど飛び抜けてると思えないと読ん...
以前レビューした「ぼくの、マシン」と対になっている日本SFアンソロジー。 こちらはすこしふしぎ系の話を集めている。 個人的に言わせてもらうと、正直、こっち系統のは好みではない。ようするに「奇妙な話」なのだ。こういうのはさんざん読んできて食傷気味でよほど飛び抜けてると思えないと読んだ気がしない。 その中で、ちょっと毛並みが違うが冲方丁のマルドゥック・シリーズの未収録短編ぐらいか、満足できたのは。まああの世界観そのものだなと安定していた。 付録として近年の日本SF概況がまとめられている。これが興味深かった。 日本の主要SF関係の受賞作や各年の代表作などの作品名作家一覧になっていた。
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SFなのか?科学的アイディアが皆無なのがある。ベスト集成でわざわざいれる必要はないだろ・・・ SFというより、異色短編という趣。わざわざSFで出さず、異色短編で出せばいい Sのが断然好み ただし、ちゃんとSFらしい作品もあり、レベルが高く、満足 全体的に重苦しい話が多い、...
SFなのか?科学的アイディアが皆無なのがある。ベスト集成でわざわざいれる必要はないだろ・・・ SFというより、異色短編という趣。わざわざSFで出さず、異色短編で出せばいい Sのが断然好み ただし、ちゃんとSFらしい作品もあり、レベルが高く、満足 全体的に重苦しい話が多い、なぜだ
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楽しみにしていたファンタジー編。SFを「少し不思議な物語」と定義するのは面白いし、賛同するよね。 オープニングは「夕飯は七時(恩田陸)」。でも、思いは理解できるんだけれど、面白いかといわれると面白くはない。次の「彼女の痕跡展(三崎亜記)」はちょっと意味が分からない。 し...
楽しみにしていたファンタジー編。SFを「少し不思議な物語」と定義するのは面白いし、賛同するよね。 オープニングは「夕飯は七時(恩田陸)」。でも、思いは理解できるんだけれど、面白いかといわれると面白くはない。次の「彼女の痕跡展(三崎亜記)」はちょっと意味が分からない。 しかし、「陽だまりの詩(乙一)」はなかなか良い。ロボット同士の駆け引きというかなんというか。ほかの作品を読んでみたいと思う。次の「ある日、爆弾がおちてきて(古橋秀之)」はライトノベル(?)って感じ。かわいい彼女はニトロを常用しているが心臓病で死んでしまうって・・・・他人ごとではないなぁ。 少し期待の「光の王(森岡浩之)」は、悪くは無いがオチが平凡過ぎる。既読の「闇が落ちる前に、もう一度(山本弘)」は、やはりいい作品だ。「マルドゥック・スクランブル“-200”(冲方丁)」ってマニア受けしそうだが、私にはあわなかった。 くどい割には盛り上がりに欠ける「冬至草(石黒達昌)」、意味不明に近い「延長コード(津原泰水)」、流し読みしてしまった「第二箱船荘の悲劇(北野勇作)」。この辺で挫けそうになる。 気を取り直して「予め決定されている明日(小林泰三)」を読むが、イマイチに終わる。さらに「逃げゆく物語の話(牧野修)」は最悪だった。後味が悪い作品が後半に来るとがっかりする。 でも、全体的には楽しいファンタジーだったかな。
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「ぼくの、マシン」に続く0年代SF全集 どれも面白かったけれど、特に好きなのは 乙一「陽だまりの詩」 北野勇作「第二箱船荘の悲劇」 陽だまりの詩は「ZOO」に掲載されたのを以前読んでいた。乙一の作品の中では一番好き。話の端々で感じる違和感が、最後の感動に繋がっていき、泣ける。...
「ぼくの、マシン」に続く0年代SF全集 どれも面白かったけれど、特に好きなのは 乙一「陽だまりの詩」 北野勇作「第二箱船荘の悲劇」 陽だまりの詩は「ZOO」に掲載されたのを以前読んでいた。乙一の作品の中では一番好き。話の端々で感じる違和感が、最後の感動に繋がっていき、泣ける。 北野勇作はシュールでぶっとんでる。だがそれがいい。 今まで知らなかった作家の小説も知ることができ、満足
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