ビザンツ の商品レビュー
ビザンツを知る上で重要な事柄をテーマ別に述べている。各テーマは時代順に並べられていてビザンツの歴史を俯瞰するのにも適した内容。また西欧に従来からあった蔑視に基づくビザンツ理解についてその背景を考察し、蔑視が生み出した単純な歴史の理解からは離れたところにある「驚くべき」魅力を備えた...
ビザンツを知る上で重要な事柄をテーマ別に述べている。各テーマは時代順に並べられていてビザンツの歴史を俯瞰するのにも適した内容。また西欧に従来からあった蔑視に基づくビザンツ理解についてその背景を考察し、蔑視が生み出した単純な歴史の理解からは離れたところにある「驚くべき」魅力を備えたビザンツの実態に迫っている。
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「西でも東でも無い帝国、ビザンツ。」 アジアにとってはアジアの西のはてヨーロッパにとってはヨーロッパの東のはてにあるビザンツ帝国は、その微妙な存在感を保ちつつ1000年の繁栄を誇った。古代ローマ帝国の継承者を自負して東ローマ帝国を名乗り、人々の名前も西欧風だ。そのわりにはその衣...
「西でも東でも無い帝国、ビザンツ。」 アジアにとってはアジアの西のはてヨーロッパにとってはヨーロッパの東のはてにあるビザンツ帝国は、その微妙な存在感を保ちつつ1000年の繁栄を誇った。古代ローマ帝国の継承者を自負して東ローマ帝国を名乗り、人々の名前も西欧風だ。そのわりにはその衣服は男性女性ともに長衣を用い、ヨーロッパの宮廷衣装などとは違ったらしい。陰謀は日常的に張り巡らされて、長子相続というような観念は確立されておらず、前皇帝を倒して即位する皇帝次第で皇室の交代はしょっちゅうあった。 同じキリスト教国でありながら西欧の国々からは異端としてどこか突き放してみられ、あまつさえ13世紀には首都コンスタンチノープルは十字軍によって略奪の憂き目をみている。一方イスラム勢力であるトルコからは常にその領土を脅かされ、アジアとヨーロッパの境目に存在し続けたビザンツは必然、ヨーロッパキリスト教世界の防波堤ともなっていた。ビザンツが1000年持ちこたえなかったら今のような「ヨーロッパ」というくくりはなく、そこがビザンツ帝国の最大の歴史的功績であると著者は言う。 本書は、西のはてで東のはて、もとい、実は西でも東でも無い国ビザンツ帝国の謎を、歴史や文化や経済をより細かい項目やキーワードごとに検証したビザンツ帝国本の決定版ともいうべき一冊。学術書一歩手前くらいのトーンでかつ詳細に「ビザンツ」というなじみの薄い中世帝国の実態を明らかにしてくれる。
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ビザンツ帝国の政治・経済・社会・文化をひと通り学ぶには格好の本であろう。数千年におよぶ帝国の歴史的変容を重要な出来事ごとにピックアップして解説している。
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