アジア力 の商品レビュー
本書は、ありがちな各国別の状況分析とは異なり、日本を含むアジア全体を一つの経済領域とみて、マクロ的な視野から分析したものである。よって、深い部分への洞察がやや不足している感は否めないが、アジアを全体として捉えるタイムリーな分析書が意外に少ないので、かなり参考になった。
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アジアの潜在的産業力を把握するのにかなり役にたった。 数字や引用を多用せず、テーマも前後との関連もわかりやすく、私のようなアジアをちょっとかじったレベルの識者にとてもわかりやすい内容だった。 中国が上昇気流の真っ只中から、下降に転じるリスクが見え始めている点や、インドの潜在力、...
アジアの潜在的産業力を把握するのにかなり役にたった。 数字や引用を多用せず、テーマも前後との関連もわかりやすく、私のようなアジアをちょっとかじったレベルの識者にとてもわかりやすい内容だった。 中国が上昇気流の真っ只中から、下降に転じるリスクが見え始めている点や、インドの潜在力、他各国の産業構造の特色などは面白い。 近い将来、インドは中国の産業構造を引き継ぎつつも、中国にはなかった発展を見るかも知れない。 それは 労働集約型産業と同時に知識集約産業も同時に育っているからだ。 また 人口の増加が労働力を常に補給しながら、自国の消費力も押し上げることになる という説明は アジアの今後の可能性を感じさせる。 いま、日本は人口も減少、高齢化、そして労働集約産業は完全に外に流れてゆき、しかし米国ほどのイノベーション力もないなかで、(作者は日本はそこで生き残ってゆく道を選ぶべきと説くが)どう進んでゆけばいいのか。 すでに日本は、量でも質でもアジアを牽引していない。 この先さらに牽引力は失われてゆくのか。 この本は 2009年あたり時点を最後に、分析されている。 いま2012年、日本の高齢化、経済破綻、円高はさらに進行し、 家電メーカーの大崩落も発生している。 作者には再度、同じような分析をしてもらいたいと思う。
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「アジア力」とは何か。 具体的なデータを見せながら過去から現在のアジアの変遷を論じ、これからの日本の在り方をまとめた良書。 本書において気になったのは、日本の次世代市場としての中国市場偏重である。 現在の日本企業は中国市場偏重だと言っても過言ではない。 中国語が話せる人材を積極的に登用し、投資先として真っ先に考えられるのは他でもない中国である。 しかしこれは長期的に日本企業の成長を考えた上で、正しい選択といえるだろうか。 筆者はこれに対し、過去の米国市場偏重と同じであると批判する。 中国の成長は様々な点で注意を要する。具体的には、 ①一人っ子政策などで無理矢理に人口統制をした結果、国内人口ピラミッド構成がおかしい ②自国技術力がほとんどない状態で産業を無理矢理に発展させようとした結果、ジョイントベンチャーや外資誘致によりこの問題を解決させたが、自国の研究開発能力は著しく弱くなってしまった ③今までは豊富な労働力で支えていた経済だが、成長に伴って雇用のミスマッチが発生している。すなわち、現代っ子は農工に従事した経験がないため、低賃金・大量生産の工場で働くことを拒む傾向がある 確かに現在の中国の成長は著しいものがある。しかし、GDPで総計されているものを、もっとミクロな視点で観察することが重要である。 上記の問題を提起した上で、筆者はこの中国市場偏重は、過去に日本が米国市場偏重であったのと同じで、短期的にしか物事を考えていない、いわば戦略決定のミスだと主張する。 そのような状況に鑑みた上で、これからの日本はどうするべきか。筆者は今までのように日本がリードするアジアではなく、アジアの中に溶け込む必要性があると主張する。 具体的には、 ①高付加価値商品だけでなく、アジア新興国のニーズにあったコモディティ量産能力を向上させ、中間層向けの製品を作ること。 ②それを行う基礎となる「イノベーション」の発展がますます必要になる。そして、それを可能にするのは「人材」である。すなわち、日本企業にはもっとアジア全体に人材発掘の可能性を広げるべきだ。 これはある意味では正しい。今までの日本企業には、日本で売れたものは世界でも売れる、という神話が存在していたように思える。 一方で、高付加価値で攻める戦略は新興国企業、すなわち韓国や台湾が新規参入するにつれて弱くなってきているようにも見て取れる。従って、新しい層を取り込むためのイノベーションが必要である。 だが、例えば日本の農業を例に取るとどうなるのか。工業とは違って農業はいづれにしても高付加価値製品として売り込むしかないように思える。東南アジアの米産出国の値段には、到底かなわないからである。しかし、そのような国も、大量生産から次第に質の向上に努めている現状がある。工業の未来だけではなく、農業も日本を支える産業の一つである。アジアの中でこれからどう生きるか、その点を農業に焦点を当てて論じられる必要があるだろう。 いづれにしても、「変化する力」としての「アジア力」のなかで、日本がすべきことはその中に溶け込むことである。そのためにも、日中韓の大国は産業連関という立場で協力し、ASEAN新興国をまとめていく必要があるだろう。
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日本経済が停滞し,閉塞感が募るのと反比例するように,日本以外のアジアは成長し,熱気を帯びてきた.(冒頭の一文) 日本経済新聞社のベテランジャーナリストが,中東までをアジアとして視野に入れ,独自の視点から解説した現代アジア論,らしい. 主として,アジア地域内の産業と消費の成長から,アジア成長を考察している.アジアの成長地帯を三日月になぞらえて表現する様は,いい観点だと思った. しかし,残念な点がたくさんある. 話の中心は主として中国であり,さして新しい視点もない. 解説図がひどい.わかりずらい,を象徴したような図がちらほら. 都合のよい解釈が多い. 例えば,『中国農村部には今なお余剰労働力がある』『中国の成長が限界に達することを想定すれば』など,主張のスタンスがちょっと定まっていない. 専門書ではないのだから仕方ないのかもしれないが,期待が少しあっただけに残念.
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グローバルなパースペクティブから今まさにアジアで何が起きているかを網羅。情報量は大変多く参考には成るのだが、如何せん分析の薄いデータの網羅という感じで、頭にストンと入りづらい部分があった。軽く目を通しておいて、必要に応じて参照する、という感じの本かな。
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世界で販売されている携帯の95%はアジアで生産されている。 アジア各国が産業育成でまず手掛けるのは繊維産業。日本もそうだった。ユニクロももう中国ではなく、バングラディッシュで生産している。 中国政府は内需拡大で貿易摩擦や人民元切り上げの外圧を回避する戦略を取っているが、内需拡大の...
世界で販売されている携帯の95%はアジアで生産されている。 アジア各国が産業育成でまず手掛けるのは繊維産業。日本もそうだった。ユニクロももう中国ではなく、バングラディッシュで生産している。 中国政府は内需拡大で貿易摩擦や人民元切り上げの外圧を回避する戦略を取っているが、内需拡大の決め手になるのは労働者の賃金や農業収入の増加。しかし賃金上昇などは中国の輸出型産業の競争力を削ぎ、雇用創出にはマイナスとなる。 iPhoneは中国で生産されているが、その工場で働いている労働者は4か月飲み食いなしで働かなければ買えない。 BOP向けビジネスで最初に成功したのはユニリーバのシャンプーを1回使い切りサイズで販売したこと。これによってBOPの人たちも買いやすくなった。 アジアではエアコン、安全性のある食品が売れる。 印バパは中国のような人口政策を取っていないからこれからも伸びる。 フィリピンの人口も日本を抜くことになる。
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次の半世紀ほどの社会経済の行方が経済や産業に注目して解説している。人口学的な観点(ヤングバルッジ、人口ボーナス)に立っているのが特徴的。 アジアは人口学的に発展をし続ける要素を持っている。 しかし、実際に発展をするかどうかは政治的なリスクを追っている。 経済発展の軸は太平...
次の半世紀ほどの社会経済の行方が経済や産業に注目して解説している。人口学的な観点(ヤングバルッジ、人口ボーナス)に立っているのが特徴的。 アジアは人口学的に発展をし続ける要素を持っている。 しかし、実際に発展をするかどうかは政治的なリスクを追っている。 経済発展の軸は太平洋、アセアン、インド洋へと移動をしている。 産業の発展は国は違えどある程度体系的に捉えることができる。 出生力の変遷は儒教、仏教国は子供に対しての教育コストなどから弱まり、キリスト、イスラム教国は変わらない。
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