お初の繭 の商品レビュー
架空の世界観が構築されているが、舞台は明治から昭和の戦前のあいだぐらいの人身売買がまかり通っていた頃の僻地寒村。 製糸工場に奉公に出る少女たちを抗いがたく待ち受ける地獄の釜。 昨今では当たり前となっているミステリー要素がないので展開は拓けていて寓話、風刺的な印象を持った話。 細か...
架空の世界観が構築されているが、舞台は明治から昭和の戦前のあいだぐらいの人身売買がまかり通っていた頃の僻地寒村。 製糸工場に奉公に出る少女たちを抗いがたく待ち受ける地獄の釜。 昨今では当たり前となっているミステリー要素がないので展開は拓けていて寓話、風刺的な印象を持った話。 細かい所で物足りなさを感じることがあったが、全体的に情景を想起させてくれる文学表現があり良かったと思う。 物語の終わりが著者のありがちなセンチメンタリズムを感じさせない締めくくりであったのが個人的にいい読後感を味わえた。
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製糸工場に奉公に出た少女たちの恐怖と悲劇を描いたホラー版女工哀史。エログロで気持ち悪いけど、淫靡で妖しい雰囲気が全体に漂ってて和風ゴシックホラーといった感じだった。 前半のうちに養蚕工場がどんなところか想像がつくけど、はっきりとは明かされない。どちらかというと官能的な雰囲気の方...
製糸工場に奉公に出た少女たちの恐怖と悲劇を描いたホラー版女工哀史。エログロで気持ち悪いけど、淫靡で妖しい雰囲気が全体に漂ってて和風ゴシックホラーといった感じだった。 前半のうちに養蚕工場がどんなところか想像がつくけど、はっきりとは明かされない。どちらかというと官能的な雰囲気の方が強かった。後半というか真相が明かされるラストは悪趣味で、場面を想像するとホント気持ち悪い。虫嫌いにはちょっとキツイ。 だけど登場する外国人の名前はちょっといかがなものかと思ったwwwせっかくの妖艶で淫靡な雰囲気が彼の名前がでるだけで笑いに変わって台無しにされるwwww
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和製ホラー。製糸工場に奉公にいった少女が体験する妖艶で恐怖のお話。第17回日本ホラー小説大賞大賞受賞作品
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「お初(主人公)の元気なホラー」 大正をうかがわせる時代絵巻。 お初が製糸工場に奉仕にいく話。 その働き場はどこか変で……。 繭に隠された秘密とは。 貴方の心も何かを隠す繭があって、 その中には気持ち悪い蚕が住んでる。
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後味が悪く、気味が悪いといったらありゃしない!というような内容ですが、私は好きです……こういうじめじめホラー。 そしてどうでもいいことに若旦那の意味不明雄叫びの台詞が頭に残って仕方ない……なんでやねん。
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オチはかなり早い段階で読めるが、むしろそのことが、「これからどのようにそのオチに向かって話が進んでいくんだろう」という興味をそそることに繋がっていると思う。世界観も魅力的。
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まずまず面白かったです。 女工哀史、あぁ野麦峠を彷彿とさせる舞台設定。読み進めるうちに展開が見えてくるんですがそれが逆にゾクゾクとした恐怖感を誘います。 ややもすると単調に感じる「ですます調」の語り口も物語にマッチしてると思います。 エログロもほどほどで婦繰(ふぐり)夜狩鳥(よが...
まずまず面白かったです。 女工哀史、あぁ野麦峠を彷彿とさせる舞台設定。読み進めるうちに展開が見えてくるんですがそれが逆にゾクゾクとした恐怖感を誘います。 ややもすると単調に感じる「ですます調」の語り口も物語にマッチしてると思います。 エログロもほどほどで婦繰(ふぐり)夜狩鳥(よがりどり)おぼこ袖などのネーミングにユーモアセンスも感じられます。 ラストは残酷なんですが嫌な感じは残らずどことなく懐かしさを感じる物語でした。
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『読者をむせび泣かす途轍もなく怖いお伽噺』という煽り文に惹かれて買ったものの、実際に読んでみれば怖さは全く感じられず。 え……? と思いつつも読み進めていけば、なんとも言い難い内容……。途中で投げ出したくなるとまではならず、かといって面白いか面白くないかと問われれば答えられない。...
『読者をむせび泣かす途轍もなく怖いお伽噺』という煽り文に惹かれて買ったものの、実際に読んでみれば怖さは全く感じられず。 え……? と思いつつも読み進めていけば、なんとも言い難い内容……。途中で投げ出したくなるとまではならず、かといって面白いか面白くないかと問われれば答えられない。全部読んだ上で、答えに詰まる本だった。 読んでみて良かったか、買ってみて良かったか。……うーん、どうだろう? 文体のですます調が私に合わなかったというのもあるけれど、どうも全体的に恐ろしさというものが欠けているような気がする。 結局、面白くなかったのかもしれない。やっぱり大賞というブランドと、どこか怪しげな雰囲気の表紙に惹かれて買ってしまったのはいけなかったのかも。
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読了、77点。 ** 明治から昭和初期頃に掛けての、紡績産業が盛んな時期、 貧しい農村で暮らす少女たちは義務教育を終えた12歳になるとすぐ親元を離れ「瓜生製糸会社」に勤めることとなる。 3年間という勤務を勤め上げて村に帰って来れるのは5人に1人程度という厳しい現場であるというが...
読了、77点。 ** 明治から昭和初期頃に掛けての、紡績産業が盛んな時期、 貧しい農村で暮らす少女たちは義務教育を終えた12歳になるとすぐ親元を離れ「瓜生製糸会社」に勤めることとなる。 3年間という勤務を勤め上げて村に帰って来れるのは5人に1人程度という厳しい現場であるというが、村に帰ってきた「模範工女」には大きな富が与えられる。 お初も学校卒業と共に、村の少女3人と共に製糸会社へ、そこでは驚きの身体検査から日に三度の入浴以外は特にすべきこともない異様とも言える贅沢な生活、そうして養蚕製糸の現場でお初が目にしたものは… ** 第17回日本ホラー小説大賞、大賞受賞作品。 非常に面白くすらすら読めました。 昭和初期あたりを想定して描かれていてその頃の雰囲気を感じさせてくれる描写はあるのに、決して文章そのものが読み難い訳じゃないのは良かったです。 同大賞の短編賞になった『少女禁区』(http://booklog.jp/asin/4043943881)の巻末の選評を読んでいた為にある程度事前情報があり、その中でこの小説に関してすぐにオチが見えた、という選評を覚えていましたが、その為にホラーとしての怖さが失われる事もありませんでした。 むしろ本当にそう来るのか、と身構えっ放しでかなりドキドキしながら読めました。 そんな訳でホラーの芯になる部分はかなり早くから想像は付くんですが、その落し所は結構珍しいというか何と言うか、 オーソドックスだし斬新でもないんだけど最近はそっちじゃないパターンの方が多かったかな~という印象が強かっただけに、またこの落とし方で良かったと今は感じています。 個人的には短編賞の「少女禁区」の方が作品の世界観と文体は好みだけどやっぱり甲乙付け難いかな。 次回作にも期待です。
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日本ホラー小説大賞受賞作。 製糸工場に奉公に出される貧しい少女たち。そこで待つものは・・・ ある程度読むと展開は予想がつくんだけど、それでもなかなか面白かったです。 ジメッとした感触がね。なんとも。 文章の感じがちょっと好みじゃなかったけど、でも難しいこと考えずにサッと読めるホ...
日本ホラー小説大賞受賞作。 製糸工場に奉公に出される貧しい少女たち。そこで待つものは・・・ ある程度読むと展開は予想がつくんだけど、それでもなかなか面白かったです。 ジメッとした感触がね。なんとも。 文章の感じがちょっと好みじゃなかったけど、でも難しいこと考えずにサッと読めるホラーですね。
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