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ユーロ の商品レビュー

3.9

13件のお客様レビュー

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2018/11/04

・金融政策集権、財政政策分離 ・ギリシャがユーロを脱退→ギリシャドラクマ暴落→ユーロ建てのギリシャ負債高騰→デフォルト必至 ・ギリシャ危機によりユーロ安のなったことでドイツは競争力上昇

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2018/11/05
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20181028-1105 2010初版なので既読かもしれない。 2010年段階だと、ギリシャ危機がピークを迎えたころ。8年位前の状況を今振り返って読むと、なかなか面白い。まだシリアの難民問題は生じていないので、EU圏外からの大規模移民難民の流入も、生じていない。イギリスも金融危機が生じたので、ユーロ加盟が議論になったというのも、BREXITが大問題な2018年現在からみると隔世の感あり。

Posted byブクログ

2015/07/06

手頃で手堅いユーロの入門書。ユーロのこれまでの実績、ユーロ導入に至る歴史、ユーロの仕組み、2010年時点までの世界金融危機やギリシャ危機とユーロとの関わり、ユーロの今後の展望がコンパクトにまとめられている。ユーロの構造的問題としての、競争力問題を中心としたリージョナル・インバラン...

手頃で手堅いユーロの入門書。ユーロのこれまでの実績、ユーロ導入に至る歴史、ユーロの仕組み、2010年時点までの世界金融危機やギリシャ危機とユーロとの関わり、ユーロの今後の展望がコンパクトにまとめられている。ユーロの構造的問題としての、競争力問題を中心としたリージョナル・インバランスの問題の指摘が興味深かった。 著者は、ユーロの実績を高く評価し、ユーロの崩壊や解体はありえず、制度を前向きに改革するしかないという主張をしている。確かに、ユーロが全体として崩壊することはないだろうが、2015年時点で考えると、ギリシャのユーロからの離脱は避けられないのではないかと思う。ユーロをめぐる情勢は刻一刻と変化しているので、2010年時点までの情勢しかカバーしていないという点が本書の惜しまれる点である。

Posted byブクログ

2012/03/22

ユーロの成り立ち、長い歴史の中での現在の到達がよくわかる作品。ギリシャ危機といわれるものが、その後著者の予告のとおり解決に向かったことで、この著書の価値が判る。

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2012/02/17

ユーロ危機が叫ばれている。大学のゼミが欧州政治であった為、復習のつもりで読んだ。 氏の見解(2010年著なので少し古いが)は、「ユーロは崩壊しない」という結論。 通貨統合のもたらした意義と背景を丁寧に説明されているが、特に1990年以降急速に発展した金融経済(マネー経済)から欧州...

ユーロ危機が叫ばれている。大学のゼミが欧州政治であった為、復習のつもりで読んだ。 氏の見解(2010年著なので少し古いが)は、「ユーロは崩壊しない」という結論。 通貨統合のもたらした意義と背景を丁寧に説明されているが、特に1990年以降急速に発展した金融経済(マネー経済)から欧州経済を守った意義が大きい。確かに、1992年のEMS当時の投機筋による欧州通貨危機と、それに続いたアジア通貨危機は、ユーロ発足を政治的な観点からも大きく前進させた。 しかし、ユーロ発足後の欧州経済の発展は、当初の「シナリオ外」の好循環、つまりバブルであった。(財務的にわりと危なく、国債の金利が高かった国が、ユーロ発足後信用度が高まり国債金利が切り下げられ、資金が流入してバブルになった)ギリシャは粉飾を続けていた。欧州経済安定のために、欧州各国が支払った資金は5500億ユーロ(IMFは2000億ユーロを出資)ギリシャに続いて他の国も危なくなったら、独・仏などの国民の怒りは計り知れない。 氏は、ドイツにとってユーロを手放すことは逆に損になるとしている。その理由は、マルクが高くなり製造業が大きなダメージを受けるというが、それは本質からずれて詭弁であるように思う。 それでも、やはりユーロは崩壊しないだろう。少なくとも欧州内部から自壊することを必死に独、仏は食い止めると思う。 ユーロは多くの欧州国民にとって前進/進歩の証であり、それを手放すことが改革と考える人は少ないのではないか。

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2012/02/04

2章にユーロ導入までの道のりが書かれている。通貨統合を決定的にしたのは「ドイツ統合という戦後の世界政治の大転換であった。」 通貨統合前の西ドイツの「世論調査では常に60%以上が通貨統合に反対であった。」 「『EC統合とはドイツ問題である』といわれた。ドイツは20世紀、イギリス、フ...

2章にユーロ導入までの道のりが書かれている。通貨統合を決定的にしたのは「ドイツ統合という戦後の世界政治の大転換であった。」 通貨統合前の西ドイツの「世論調査では常に60%以上が通貨統合に反対であった。」 「『EC統合とはドイツ問題である』といわれた。ドイツは20世紀、イギリス、フランスの植民地帝国主義に対抗して中欧地域に覇を唱え、二度のヨーロッパ戦争・世界大戦の口火を切った。EC統合は第二次世界大戦後に西ドイツを西欧に包摂して、仏独不戦体制の構築を目的にスタートした。ECとは西ドイツを平和のうちに西側体制に包摂するための知恵と努力の結晶であった。」 しかし1989年11月のドイツ再統一によって欧州情勢は全面的に転換した。主権を回復したドイツがECを離れてソ連(あるいはロシア)と取引し、再び中欧に支配権を確立するような次のヨーロッパ戦争につながるかもしれないという警戒感がEC各国を支配した。 「イギリス・サッチャー首相とフランス・ミッテラン大統領はドイツ統一に反対したが、ソ連の再強化を警戒したアメリカは強く統一を支持し、ソ連のゴルバチョフ大統領も統一に反対しなかった。米ソが支持するとなれば、イギリス、フランスが阻止するのは不可能であった。不可能とわかると条件闘争になる。 EC諸国はドイツ統一を無条件に承認し、東ドイツを即ECに迎え入れ、また西ドイツの中央銀行制度を模範に通貨同盟を組織するという約束をした。その代償としてドイツはマルクを放棄し単一通貨を採用する。マルク放棄とドイツ財政のECレベルでの規制によって「独り歩き」を封じる。 この取引をコール首相に代表されるドイツ支配層は受け入れた。ドイツ財務省の手になる当時のユーロ解説文献には、「マルクを放棄する以外に統一ドイツが他のEC諸国に受け入れられる道はなかった」と書かれている。 マルク放棄を決意した西ドイツ政府は、統一通貨を西ドイツ風に制度化することを要求した。統一通貨はマルク同様に物価安定を目標とすること、欧州中央銀行制度は西ドイツ連銀制度をモデルにすること、などである。ECBの所在地がドイツの金融センターであるフランクフルトに決まったのも、その一環と考えられる。」 「ドイツ統一がなければ、あれほどすんなりとドイツ型の通貨同盟が受け入れられることはなかったであろう。通貨統合を時代の風が後押ししていたのである。そしてこのことは、ユーロが『政治的通貨』というDNAを継承していることを物語っている。 さらにコール首相の決断が非常に重要であった。コール首相は世論調査の結果が通貨統合に不利であってもまったく動揺しなかった。『欧州統合は平和か戦争かの問題だ』と繰り返し、世論を押し切った。統一ドイツが統一通貨の制度に組み込まれなければ、また戦争に向かうかもしれないという危機感をもっていたのである。ドイツ南部で敗戦の日を迎えた若きコールは鉄道が麻痺していたため故郷の街まで徒歩で帰ったのだが、その途上で見たドイツの町々は空襲で見るも無惨に破壊されていた。『ドイツは二度と戦争をしてはならない』と念じて彼は政治家になった。」 2010年6月に開かれた80歳の祝賀会においてコールは「ドイツ人がドイツのことだけを考え、ギリシャやユーロ圏全体のことを考えないことに警告を発した。戦争体験世代が政界からいなくなった21世紀のヨーロッパに危機感を抱く人は少なくない。」

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2012/02/19
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教科書的な所が多かったけど、後半になるにつれ面白かった。物価の安定、金利の安定って日本じゃ感じないけど、大切なんだな。

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2011/11/25
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ギリシャ危機よりユーロについて精力的に執筆していた田中素香氏(中央大教授)のユーロについての本。学術書を書くマニュアルがあるとするならば、それをきちんと徹底した本であると思う。というのは、序論・概論・歴史・今日・建設的提案という流れは非常に汎用性が高い型通りに書かれているからである。そのおかげあって、内容的には穴がなく一通りユーロについては理解できた。筆者が述べるよう、今回のギリシャ危機の原因はユーロによるものでもなく、ましてやギリシャが自らユーロを離脱することにメリットはない。一方で、ドイツやフランスといった主な基金負担者は、ユーロ及び自国の経済のためには非常に政治的行動力をともった決断が必要と言えるだろう。その意味では、今回のギリシャ危機はユーロ圏にとって試練の時と言える。また、最近ではユーロ国債なるものが考案されているが、これは安易に減税を求めるポピュリズム民主主義の抱える問題の先送りに過ぎず、相互の国による監視・管理こそが最も望まれる提案である。その前提において、ドイツが憲法の中に財政に関する規定を付けくわえたことは先進的と言える。いずれにせよ、これから流動的となるユーロを確かな視座を持って見据えることを可能にする良書であると言える。

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2011/10/15

田中素香さんは今のギリシャ含めユーロに対する市場の過度な悲観論に対して、またメディアに煽られて狭量で、偏ったものの見方しかできない人間に対して、注意を促しているようにも思えた。あとがきにも著者はそのことについて言及している。「通貨は一つだが、財政はバラバラ」-そんなところに今回の...

田中素香さんは今のギリシャ含めユーロに対する市場の過度な悲観論に対して、またメディアに煽られて狭量で、偏ったものの見方しかできない人間に対して、注意を促しているようにも思えた。あとがきにも著者はそのことについて言及している。「通貨は一つだが、財政はバラバラ」-そんなところに今回の欧州危機の欠陥があったと一概に片づけている人がどれだけいるだろう。かくいう私も、要因はそれだけではないにしろ発端の一因だとは考えていた。しかし一般には多くの人がニュースや番組で出演するどこかの教授やその畑の人の意見にあまりにも簡単に感化されすぎであると思う。実際に現地にいって研究したり、EU関係者にでもなって当事者にならない限り、私たちはもっと広い視野をもち、一時の事象に囚われず、その国の歴史を軽視するべきではない。「だってテレビで○○大学の教授が言ってたし」「だってニュースで言ってたし」とかそんな根拠はユーロを過度に批判、否定する何ほどの根拠にもなりはしない。批判するのならそれ相応の根拠が必要である。私は意見を主張することの難しさをこの本で改めて痛感させられました。歴史や統計、様々な著者の方の意見を読んだ上で、自分の意見に責任を持ちたい。

Posted byブクログ

2012/04/08

通貨統合の歴史と政策決定過程、さらには昨今の世界金融危機とギリシャ危機以降のユーロのあり方を概説する。論旨としては、ユーロの通貨統合の歴史とそのモーメンタムを提示し、一部の雑誌や学者に囁かれている「ユーロ崩壊論」に異議をとなえる内容である。 元来、ECBは通常業務を行うものであ...

通貨統合の歴史と政策決定過程、さらには昨今の世界金融危機とギリシャ危機以降のユーロのあり方を概説する。論旨としては、ユーロの通貨統合の歴史とそのモーメンタムを提示し、一部の雑誌や学者に囁かれている「ユーロ崩壊論」に異議をとなえる内容である。 元来、ECBは通常業務を行うものであり、今回のような金融危機への緊急対応を行う制度は整備されてこなかった。そのため、今回の出来事を踏まえてユーロの制度改革が進むと筆者は述べる。 今後は財政赤字の大きい南欧諸国(PIIGS)とドイツを中心とした財政健全国との齟齬の解消が焦点となる。金融市場の監視と各国財政の健全化、また支援ローンの返済をいかに行うかが鍵だ。

Posted byブクログ