“当事者"をめぐる社会学 の商品レビュー
どこか屁理屈にも聞こえるけど、こうして日々対面している状況を常に思考し続けることこそが学問だ、と大学人に言ってほしいような論集。例えば今のも含めてシゴトで関わる状況がまさに「当事者」をめぐるそれ。けれど指摘されているような被差別の非差別を「聖別化」なんて現実あり得ないわけで。なの...
どこか屁理屈にも聞こえるけど、こうして日々対面している状況を常に思考し続けることこそが学問だ、と大学人に言ってほしいような論集。例えば今のも含めてシゴトで関わる状況がまさに「当事者」をめぐるそれ。けれど指摘されているような被差別の非差別を「聖別化」なんて現実あり得ないわけで。なので無思考に哀れんだり、その「当事者性」たるを確固としたものにするため汗水なんてのもなんかオカシイ。そういう意味で、価値創造型の支援を含む調査での思考が薄かったこと、それが物足りなかったところ。
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読んで良かった。 あのような考え方は突き詰めれば自分に還ってくるのは必然で、それをどのように処理するか、どのように向き合うのか。 好井先生の文章が飛び抜けて読みやすい。
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- ネタバレ
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社会調査における参与観察法の重要性を考えるときに, 「当事者」とは何かを検討してあるとよい。 本書は,ずばり「当事者」についての整理なので面白い話が多い。 特に,再帰的当事者についてが,社会調査における入れ子構図をよく表しているかもしれない。
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研究者が研究を行えるのは、対象者が研究者にその場を共有することを許しているからであり、それがなくなれば、研究者と対象者との人間的なつながりも、研究そのものも頓挫してしまう。 これを知って、「なるほど。すべての人間関係に言える仕組みだ」と思った。 わけも分からず人間関係の軋轢に目...
研究者が研究を行えるのは、対象者が研究者にその場を共有することを許しているからであり、それがなくなれば、研究者と対象者との人間的なつながりも、研究そのものも頓挫してしまう。 これを知って、「なるほど。すべての人間関係に言える仕組みだ」と思った。 わけも分からず人間関係の軋轢に目を回してもがいていた私には、はっとする気づきだった。 これからは、どんな人間関係も、この方程式をコンパスのようにあてがうなら、判断や決断がやりやすくなるかもしれない。 そして「自己責任」を相手に要求することの恐ろしさ。 それは相手を見下し、陥れる暴力とさえなりうる。 自分の立場を立ちながら相手にできる限りの共感を示すことの大切さも、この本は教えてくれた。
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