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終わる世界のアルバム の商品レビュー

3.8

14件のお客様レビュー

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2024/05/28

それでも憶えていたい。 この世界では、人が次々と消えていく。誰が消えてしまったのか分からない、誰も気に留めない。消えてしまった人間は、あらゆる人の記憶から、あらゆる媒体の記録からも、消えてしまう。つまり誰も、その存在を憶えていない。何事も無かったかのように、生活は続く。辻褄を合...

それでも憶えていたい。 この世界では、人が次々と消えていく。誰が消えてしまったのか分からない、誰も気に留めない。消えてしまった人間は、あらゆる人の記憶から、あらゆる媒体の記録からも、消えてしまう。つまり誰も、その存在を憶えていない。何事も無かったかのように、生活は続く。辻褄を合わせるような代償行為を残して。 しかし、例外があった。ぼくは消えてしまった人を憶えている。ぼくが愛機「ニコンU」で撮影すると、そこに写った人の存在した記憶が、ぼくにだけ残る。それは自らの手でモノクロ写真として現像すると、より強く残るようになる。消えた両親の記憶も残っている。人が消えているのに、平気で生活している人たちが信じられなかった。そして、他人と親しくすることを避けていった。だんだん、ぼくも人が消えていくことに慣れていく、諦めに近い感覚で。でも、写真を撮ることは止めなかった。フォトファイルに残し、クラスメイトの名前を書き込むことまでして。それが何の代償行為かも分からず。 世界の終わり。SFな話かと思ったら、恋愛モノでした。憶えていることが辛いのか、憶えていないことが辛いのか、どっちが寂しいのだろう。切なくなるストーリーでした。描かれていないエピソードがあるけど、そのエピソードがこの物語の本質だとおもう。想像するだけで胸が締め付けられる。 こういう話、大好きです。 とにかく切ない。忘れるほうが楽に決まってる。無意識に高まる感情が人間なんだろうな。バッドエンドというレビューもあったけど、これはハッピーエンドなのでは? あの写真店の店主が バイキングの小峠としか思えなかった(笑)

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2017/10/25

うーん。 神様シリーズと同様、この著者の書き方がどうも自分に合わない。 (要するに共感しづらい) 世界に入りづらく、だけど途中でやめるのも気が引けてなんとか読み終えた。 物語の世界は惹かれるものだっただけに残念だった。 結局何が言いたいのか…? ラストシーンも特に感傷に浸ることも...

うーん。 神様シリーズと同様、この著者の書き方がどうも自分に合わない。 (要するに共感しづらい) 世界に入りづらく、だけど途中でやめるのも気が引けてなんとか読み終えた。 物語の世界は惹かれるものだっただけに残念だった。 結局何が言いたいのか…? ラストシーンも特に感傷に浸ることも出来ない。

Posted byブクログ

2014/01/05

若干唐突な展開もあったけど、読みやすくて一気に読んだ。忘れないことで感じる痛み、忘れることで痛みを感じないこと。大切なことは何?というのがテーマでした。 痛みを知った主人公の描写はとても良かったです。

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2014/01/05

【あいつむぎ2013年10月陳列】2013.10.8 推薦者:ジュジュ(http://ayatsumugi.blog52.fc2.com/blog-entry-326.html)

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2013/07/23

物語全体が表紙のイラストそのままの雰囲気ですごく素敵でした。現実でも人と関わればかならず別れがくるわけで、そのときのために関係を浅く保っておくという主人公の考えは確かに一理あるとおもいます。でも、それじゃあさみしすぎるなぁなんて。いろいろと考えさせられる作品でした。最初から終わり...

物語全体が表紙のイラストそのままの雰囲気ですごく素敵でした。現実でも人と関わればかならず別れがくるわけで、そのときのために関係を浅く保っておくという主人公の考えは確かに一理あるとおもいます。でも、それじゃあさみしすぎるなぁなんて。いろいろと考えさせられる作品でした。最初から終わりまでじわじわ終わっていくような、本当に雰囲気を楽しめる作品です。

Posted byブクログ

2013/06/15
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

文章がとにかくきれいだなと思いました。 人を失う悲しみ、誰かを思うどうしようもない愛しさを美しくも儚い世界の中でしっかり感じ取れました。 今を大切にしたいと思える一冊です。

Posted byブクログ

2013/03/23

神様のメモ帳に引き続き読んだものです。 静寂なお話でした。 ちょっと"旅に出よう、滅び行く世界の果てまで。"を思い出させる部分がありました。 怖いのに怖いものを見る。というような感じで、さみしく、辛いのにそれを見ずにはいられない。 この人だけは残しておきたい。...

神様のメモ帳に引き続き読んだものです。 静寂なお話でした。 ちょっと"旅に出よう、滅び行く世界の果てまで。"を思い出させる部分がありました。 怖いのに怖いものを見る。というような感じで、さみしく、辛いのにそれを見ずにはいられない。 この人だけは残しておきたい。だからって残しておくことがいいことなのか、良くないことなのか。 そんなお話です。

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2011/10/27

設定がすごく不思議。話自体は大盛り上がりするでもなく、ゆっくり終末へ進んでいくかんじ。 2011/10/27

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2011/09/10
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

すでに消費がだいぶ進んでいるジャンルですが、後発として出しても、杉井光らしい繊細さとある種の冷たさに引き込まれる良作になってます。物語を作るのが上手い。 終末もの好きな人は、今更とは思わず手に取るべき一冊かと。

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2011/08/25

死んでしまったら存在した証拠が消えてしまうようになった世界と、カメラに撮り、自ら現像することで記憶を維持する少年の、せつない物語。周りでは恐らく唯一知っているその方法は、少年の心を周囲から遠ざける。 ある日、不思議なことが起きる。消える世界で新たに出現した少女がいた。そしてその少...

死んでしまったら存在した証拠が消えてしまうようになった世界と、カメラに撮り、自ら現像することで記憶を維持する少年の、せつない物語。周りでは恐らく唯一知っているその方法は、少年の心を周囲から遠ざける。 ある日、不思議なことが起きる。消える世界で新たに出現した少女がいた。そしてその少女の出現から、少年の世界は変わる…。 なんとも切ない、カメラと、写真と、記憶の物語。一人だけが知っている世界の変化を少年はあきらめて受け入れ、自分を保持する。しかし、名前だけを残して一度は消えた少女は、そのようにして世界から自分を守る少年を弾劾する。

Posted byブクログ