1,800円以上の注文で送料無料

バウドリーノ(上) の商品レビュー

4

28件のお客様レビュー

  1. 5つ

    9

  2. 4つ

    10

  3. 3つ

    8

  4. 2つ

    0

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2022/08/01

権力というものは、多くの人が信じたがる美しい嘘によって支えられている。 中世のイタリア半島は、こんなに小国(都市?)が乱立して、お互いに戦争を仕掛けあっていたの?古代ギリシャみたいだ。 ゾシモフによる聖ヨハネの王国に至る地図についての戯言を聞いて以来、バウドリーノは聖ヨハネの...

権力というものは、多くの人が信じたがる美しい嘘によって支えられている。 中世のイタリア半島は、こんなに小国(都市?)が乱立して、お互いに戦争を仕掛けあっていたの?古代ギリシャみたいだ。 ゾシモフによる聖ヨハネの王国に至る地図についての戯言を聞いて以来、バウドリーノは聖ヨハネの王国の実在を半ば信じるようになってしまった。自分が聖ヨハネの手紙を捏造したことを考えれば、聖ヨハネの王国に至る地図なんて眉唾話に飛びつくなんて正気かと思ってしまうけれど、地球が球形か平面かということすらまだわかっていない時代だからな。 ヨーロッパの中世といえば、魔女狩りくらいの印象しかなかったけど、魔女狩り以外にもいろいろしていたみたい。この話で語られるいろいろは、魔女狩りに劣らず血なまぐさい戦争の連続なわけだけど。 バウドリーノが正義について語るシーンは、皇帝と出会ったばかりの少年時代と、この巻のラストのセリフくらいだけど、どちらも印象的だ。 上巻の序盤では「皇帝が何が正義か何が悪かを決める」と語り、ラストでは「われわれが正義を目指してまっすぐ進む」と語っている。下巻でどう変化していくのかも注目したい。 下巻になったら、フリードリヒが誰に殺されて、バウドリーノが誰を殺すかも明らかになるだろうし。

Posted byブクログ

2019/06/24

聖杯伝説とユダヤ人消えた10部族の話を盛り込みながら、人間の創造力と想像力をシニカルな視点で描きつつ、果たしてそれを書いている自分も後世の大捏造者かもしれないとする作者。 世界は同心円状に広がるメタフィクションかなのかも?と思わせる壮大なファンタジー。

Posted byブクログ

2018/08/25

ウンベルトエーコ 「 バウドリーノ 」中世ローマの歴史パロディー。バウドリーノが 司祭ヨハネの国をめざす冒険譚。バウドリーノが言えば、それが真実になる 「意味のない歴史はない〜出来事を考察し、それらをつなぎ合わせ、その結び目を発見する必要がある」 「大物のそばにいれば大物に...

ウンベルトエーコ 「 バウドリーノ 」中世ローマの歴史パロディー。バウドリーノが 司祭ヨハネの国をめざす冒険譚。バウドリーノが言えば、それが真実になる 「意味のない歴史はない〜出来事を考察し、それらをつなぎ合わせ、その結び目を発見する必要がある」 「大物のそばにいれば大物になれる。大物は実は小人物。われわれが権力を握れる日が来る」

Posted byブクログ

2017/07/14

プレスター・ジョン伝説を背景に第4次十字軍で廃墟と化したコンスタンティノープルで、赤髭フリードリヒの容姿たる主人公が虚実定かならぬ半世紀を語る。

Posted byブクログ

2017/04/02

最初のシーンは印象的。第四回十字軍によって略奪されるコンスタンティノープルで主人公バウドリーノが歴史家ニケタスを救出するところから始まる。 そこからバウドリーノが神聖ローマ皇帝の養子となった生涯を記録に留めるよう語り出す。 淡々と話が進んで行く調子で、今まで読んだエーコの作品とは...

最初のシーンは印象的。第四回十字軍によって略奪されるコンスタンティノープルで主人公バウドリーノが歴史家ニケタスを救出するところから始まる。 そこからバウドリーノが神聖ローマ皇帝の養子となった生涯を記録に留めるよう語り出す。 淡々と話が進んで行く調子で、今まで読んだエーコの作品とは大分趣きが異なる作品。

Posted byブクログ

2016/02/05

 13世紀、ほぼ野蛮人に等しい十字軍の乱入で陥落したコンスタンティノープルでビザンツ帝国書記官長ニケタスはギリシャ語を流暢に話すバウドリーノというラテン人に助けられた。バウドリーノは歴史家であるニケタスに、彼自身の歴史を聞いてくれと頼む。  バウドリーノは神聖ローマ帝国の治下で同...

 13世紀、ほぼ野蛮人に等しい十字軍の乱入で陥落したコンスタンティノープルでビザンツ帝国書記官長ニケタスはギリシャ語を流暢に話すバウドリーノというラテン人に助けられた。バウドリーノは歴史家であるニケタスに、彼自身の歴史を聞いてくれと頼む。  バウドリーノは神聖ローマ帝国の治下で同盟と対立を繰り返すイタリア自治諸国の狭間の寒村の農民の子だが、類い稀な言語能力を示し、しばらく聞いているとその言語を話すことができてしまうのだった。神聖ローマ帝国皇帝フリードリヒ赤髭王は、この寒村でドイツ語を流暢に話す少年をみつけ、聖人も皇帝側についたというお告げとして陣営に連れ帰る。それを端緒にバウドリーノは皇帝の養子として学問の道を歩み始めるのだ。  バウドリーノは言語の天才。そして言葉というのは嘘をつくためにあるのだ。  「語る嘘がことごとく真実となってしまう男」という本書の紹介文を読むと『ほら男爵の冒険』を思い浮かべるが、ちょっとそうではない。バウドリーノは政治的言説を生み出す天才で、時宜に適った言説は真実になるというのが正しいのではないか。上巻ではイタリアを平定しようとする赤髭王の苦闘と、彼の宮殿でのバウドリーノの師匠オットーの「司祭ヨハネの国を探せ」という遺言に突き動かされていくバウドリーノの話が展開する。「司祭ヨハネの国」の権威をフリードリヒの統治に使うのだ。そこにさらに聖杯伝説が絡んでくる。  『薔薇の名前』に比べたら確かに軽い味わいだが、エーコが描く中世世界はそんな薄っぺらなものでもない。バウドリーノの生まれた村が要塞を築き、フリードリヒに楯突き、バウドリーノはそれを仲裁するのだが、これも「アレッサンドリア」と名付けることで都市ができるのだ。ちなみにそこはエーコの故郷。『バウドリーノ』はバウドリーノ並みの嘘つきエーコが書いた物語。  司祭ヨハネの国は東方にあると信じられた、ほとんど楽園に近いキリスト教国であるが、インドにあるとも言われ、われわれ読者はそんなものはありはしないと知っていて読むのだが、さてエーコ先生はどんな罠を仕掛けてくることか。  ともあれ、帯にもあるようにある種の冒険小説として、どんどんページをめくってしまう。

Posted byブクログ

2013/11/05

中世美学も創作も「なんでも」できるイタリア人哲学者兼作家の一作。東方・ジパングを目指すヨーロッパ人の精神の一端も描かれ、マルコ・ポーロの東方見聞の動機もより鮮明に想像できます。 九州大学 ニックネーム:天神(あまがみ)ルナ

Posted byブクログ

2013/07/16

神聖ローマ皇帝フリードリヒに仕えたバウドリーノの、奇妙奇天烈な冒険の人生。歴史小説でありながら、冒険小説であり、そして強烈なエンターテイメントでもある。物語が持つ強い力にぐいぐい惹きつけられる。

Posted byブクログ

2013/07/02

荒唐無稽の話だが、世界史や教会の知識があれば、もっと楽しめるんだろう。ストーリーとしては、取り立てて面白いとも面白くないとも、という感じ。ウソが行き着く先は、ということで、次が気らになります。

Posted byブクログ

2012/12/21

中世の感覚を垣間みることは出来るが、物語の進行には「?」若干期待はずれ。暗い雰囲気を求めすぎたのかな〜?

Posted byブクログ